6話
「な、なんで?3つも使えるはずないのに・・・」
そう言いながら、自分の目しりもちをついている女の子はこちらを睨んできた。
「騙したわね・・・」
「騙してなんかないから。元々、手を組むとも言ってないし。まぁ3つ使えるのは俺自身も謎なんだけどね・・・」
あの近距離で風の刃を避けるのは無理なため、女の子はとっさに火の壁を作ったが、出来上がる前に風の刃がきてしまったため、目の前で火の壁の出来損ないとぶつかり爆発してしまい、吹き飛んでしまったのだ。そして、そんな女の子を見下ろしながら、
「そんなことより・・・君、俺と手を組まないか?まぁ、この距離ならいきなり火の玉来ても避けれるし、ウィンドカッターなら君のMMPを壊せる。どう?悪い話じゃないと思うけど?」
それを聞いた女の子は、またまた頭の上に?マークを浮かべてこちらを見上げた。
「は?何言ってんの?さっき思いっきり攻撃して、あたしと手を組まないって・・・」
「誰も手を組まないなんて言ってないって。」
「・・・・意味わかんない。」
そりゃそうだ。交渉を持ちかけた相手に攻撃され、立場が逆転した時に何故、こちらが交渉を持ちかけられたのか。
「いや。ただ、上から目線はどうも気に入らなくてね。で、どう?」
「はは、ははははははは。」
突如女の子は腹を抱えて笑い出した。
「何?もしかしてそんな理由であたしは攻撃されたの?くくく。いいよ。手を組むよ。相当変わった奴だね、あんた。まぁ、いきなり女の子に攻撃したことは許さないけど。」
「君なら避けれるだろ?あれくらい。だからやったんだよ。まさか吹っ飛ぶとは思わなかったけど。俺的にはその『あんた』とか『お前』とか呼ばれたくないから、こういうことしたのに呼び方は変わんないのか。」
はぁ~と落ち込みつつ。自分と同じくらいの歳の子を見下ろしていると、
「名前も知らない人をなんて呼べってんのよ。・・・よっと。」
女の子は立ち上がり、スカートについた砂を払い落としながら、ポケットからMMPを取り出した。
「あんたも・・・って、『あんた』って嫌なんだっけ?じゃあ、先に名前教えてくれる?」
「おぉ不良少女が改心し始めた。」
「誰が不良だ。ちょっと言葉遣いが汚いだけだろ。で、名前は?」
「名乗るのは普通自分からだろう?」
女の子がイラッときたのを見て、内心にやけてる自分。昔から人を怒らすのだけは得意だった。
「・・・・咲崎琴音」
「・・・・・・・・・ブッ」
思わず吹いてしまった。さっきまでの口の悪さ、いきなり攻撃をする性格と名前とのギャップに耐えられなかったのだ。
「何笑ってんの!さっさと名前言いなよ!」
「ゴメン。ゴメン。つい、ギャップの大きさに・・・・ブッ」
「・・・・いいから早く言いなよ。話が進まないでしょう!」
「クククク。えっと、俺は霧月海璃。16歳で高校1年生でっす。」
よろしくと言わんばかりに手を差し出しすと、思いっきり嫌そうな顔をしながら女の子はその手を握りかえしてきた。
「・・・高1か・・・あたしは高2だから。これなら上から目線でも構わないんじゃない?なんせ歳上なんだから。なぁカイリ君。」
「歳とか関係ないから。次上から目線で話し出したら、水色の縞々って呼ぶから。・・・それとその『君』づけの呼び方、合ってないよ。」
「・・・・・・・て、てめぇ・・・・」
プルプル震えながら不良少女こと咲崎琴音は全身から怒りのオーラを出しまくっていた。
「『てめぇ』とかダメだから、この水色の縞々の不良少女よ。」
「いっぺん殺す!絶対に殺す!いつ見たんだ!さっきか?さっきなのか!?もしかしてそのために攻撃してきたんじゃないだろうな!?」
堪忍袋の緒が切れたのか、琴音は騒ぎ出した。
「ほらほら。また口調が、殺すとか女の子が言う言葉じゃないでしょうに。・・・そんなことよりパーティーてどやって組むの?」
そんなこちらの言葉を完全に無視して琴音は掴み掛かってきた。一つ年上といえど、所詮女の子。いくらこちらが平均より背が低いと言えど、男の子。負けるはずもなく、つかんできた手をひねり上げる。
「いた、痛い痛い!ギ、ギブ!」
そう言って、掴んでいた手の腕をペシペシ叩いてきたので、離してやり、
「そんなことより、パーティ―――」
「分かってるよ!ちゃんとした言葉遣いでしゃべるから、そっちも変な名前で呼ぶなよ・・・・あと、水色の縞々は忘れろ。」
キッとこちら睨み、自分が頷いたのを見て、話しをつづけた。
「パーティーはMMPのこのボタンを押して、それで―――――」
こうやって初めての戦いはドローに終わり、パーティーを組むこととなった。