14話
3人が向かった先は、喫茶店ロールだった。
「おいおい。お前らの学校ってこんな簡単にサボってもいいのかよ・・・」
「そんなの海璃には関係ないでしょ」
「いやいやあるだろ」
朝ということもあって、店内にはほとんど人影がなく、3人は店の中央の席に座った。
「ほぅほぅ お二人さん仲がよろしいようで。」
「「よくない!」」
「あらあら~ 息もピッタリ。」
奏の喋り方はゆっくりとしている。外見のかなりのんびりした感じからして、その話し方に違和感はないが、琴音とは正反対とまではいかないがタイプとしてはかなり違っているのにも関わらず、2人は仲がいいようだった。
「琴音と谷口さんは仲いいの?」
「ちょっと。なんで奏は苗字でさん付けなのに、あたしだけ呼び捨てなわけ?」
「ぇ?そんなん自分より年上の人だからに決まってるだろ。」
「あたしも年上なんですけどぉ?」
「あぁ。ゴメン。ゴメン。間違えたわ・・・精神年齢が俺よりも年上だからに決まってるだろ。」
「・・・あたしは精神年齢が低いとでも?」
そんな二人を奏は可笑しそうに眺めていた。昔から琴音は気が強く、周りの人からは敬遠されがちだった。
顔は可愛いのだけれど、やはり性格が悪いのか男の噂を聞いたことは今までに一度もなかった。
なのに。そんな琴音のMMPに知らない男のアドレスが入っていたのだ。
携帯に入っていればすぐに気がついたのだけれど、まさかMMPにだけ登録して連絡をとりあっているとは思いもしなかった。
それに、やってきた男の子は気の強い琴音とうまく打ち解けているようで、それをみているとどうしても口元が緩んでしまう。
「ちょっと谷口さん。谷口さんからもなんか言ってやってくださいよ。この聞き分けの悪い、現実を見ようとしない捻くれた人に。」
「なっ!?誰が聞き分けが悪いですって!?あたしの何処が捻くれてるっていうの!?」
「・・・おいおい。自覚なしってのは相当イタイぞ。」
あの琴音があんなに楽しそうに男の子と話している。
琴音が男の子と話すときは大抵が、喧嘩が始まる1歩手前なことばかり。
ついに見かねた母親が女子高に入れなければ、高校でも喧嘩ばかりしていたかもしれない。
流石に中学と高校は違う。いくら琴音でも高校の男子には適わないだろうし。
それでもやはり、ナンパしてくる男子に対して毎回のように喧嘩を売っていた琴音がこんな会話をするなんて。
「フフフフフ。」
「ちょっと!何笑ってんの!だいたい奏が変な誤解するから!」
「だってぇ。ねぇ。そんなに目の前で楽しそうにされたらぁ誤解もなにも、そう思っちゃうよぉ。」
「なっ!?楽しくなんかしてない!」
「そうですよ。楽しいわけないじゃないですか。」
「・・・あんた、口元が笑ってんじゃない!」
「おいおい『あんた』はないだろ。いい加減に学習したらどうだ?」
「・・・て、てめぇ・・・」
「はいはい琴音ちゃん抑えて抑えてぇ。霧月君だっけぇ?君も挑発しちゃだめよぉ。」
やれやれ、と海璃は琴音を挑発するのをやめ、琴音は奏に抑えられながら浮かせていた腰を下げたが、常に海璃を睨んでいた。
「せっかく琴音ちゃんに彼氏が出来たと思ったんだけどなぁ・・・」
「いやぁ。これから彼氏になる予定なんで、期待していてくださいよ、谷口さん。」
「本当!?じゃあ私の事は今日から、奏か義姉って呼んでねぇ~。」
「義姉さんはちょっとアレだから・・・奏さんって呼ばせてもらいます。」
「ちょっと!何言ってんの!あんた達―――」
―――ポォン
「!?MMPか?」
「あらあら。お二人さんのMMPまで息がピッタリ。」
「そうなんですよぉ。」
「これは関係ない!」
琴音は全力で否定して、ヘラヘラと笑っている海璃を睨みまくっていた。
そして、二人は自分のMMPの画面に目線を移す。
「これは・・・」
MMPに来たメールにはこう書かれていた。
―――対戦者が現れました。
相手
MinMin 魔法使いLv3
Lily 魔法使いLv3
この前 対戦板にこちらのパーティーを登録し、のせておいたのだ。
対戦するにあたってパーティーの合計Lvが制限されてくる。
自分のパーティーLvの合計が、掲示板にのっているパーティーのLvの合計より高い場合は対戦することはできない。
この場合は、琴音がLv4、海璃がLv2のため、合計はLv6。そして、相手は3と3でLv6。
ちょうど同じのため、対戦が可能となる。
「ちょうどいい相手じゃない。」
「?どうしたの2人ともMMPをジっと見ちゃって。」
「いやぁ。スイマセン奏さん。用事思い出しちゃって。」
「琴音ちゃんも?」
「え?あ・・・う、うん。ゴメンね奏。誤解は今度、ちゃんと解くから。」
やけに『誤解』の部分だけを強調して琴音は奏に言った。




