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閑話休題2〜可愛い猫

 今日は子猫の姿のアーティとチョーク。

 ミアに抱っこされながら朝食に向かっていて、ご満悦そうですが……


「行くぞ、双子」


 ヒョイッと首根っこを持たれて引き離されてしまった。


「あ、マルコさん。おはようございます」


「ああ、おはよう。カイは?」


『ヴー』

『シャー』


 宙ぶらりんのアーティとチョークが一矢報いるべくジタバタしているが、マルコはミアに夢中で全く気付いていない。


「今日は1日騎士団に入らせてもらうみたいです。動きたいみたいで」


 護衛のような番犬のようなカイがいないので、ミアとゆっくり話ができる珍しい機会にマルコが嬉しそうだ。


「そういえば、何で猫に? こうなるのは、この子たちだけですか? 何だか色々起こりすぎて、普通に受け入れてました。ふふっ」


 ミアが笑いながら聞いてくるのが可愛いかったので、マルコは固まりそうになっている。


 それを見て、聞いてはダメだったことかもしれないとミアは焦って「秘匿事項なら言わないで」と付け加えた。


 「あー、まぁ、あまり外部には漏らさないでもらいたい話ではあるから、朝食が終わったら一緒に来てもらえるか? 後で食堂に迎えに行く」


 ミアはうなずいて、首根っこを゙持たれているアーティとチョークを受け取り、朝食へ向かった。





 普段は誰にも愛想の良くないマルコが、ミアを迎えに食堂へ来た。


 それだけでも従者たちには驚きなのに、ミアの手を取ってキスをして、エスコートまでして行ったので、噂にならない理由がなかった。

 その日の従者たちの会話は、マルコとミアの話で持ち切りだったとか。



 マルコがアーティの首根っこを持ち、ミアがチョークを抱っこして連れていたので、移動中アーティは終始不機嫌で、ミアは困り顔で笑っていたけれど。


 そんなミアも可愛くて、マルコだけでなく、すれ違う従者たちも見入っていた。



 ミアが案内されたのは王族の図書室で、鍵付きの扉の向こうにも鍵付きの扉のある部屋で、果たして自分が入って良いのだろうかとミアは不安になっていった。


 マルコは1冊の本を「俺の説明より分かりやすいだろ」とミアの目の前に出した。


 読んでも良いのか戸惑うミアを見て、マルコは笑って話した。


「父も母も了解しているから大丈夫だ」


 なかなか重いことを言うわね……


 ミアは呼吸を整えて、有難く本を受け取った。


 部屋には小さな丸い机があり、それを挟んで1人用ソファが2脚向かい合わせに置いてある。

 ミアはその内の1つにそっと座った。


 マルコは子猫たちを持ってミアの反対側のソファに座り、1人と2匹はミアを眺め始めた。


 



「最初は呪いだったけれど、子どもの時期が長いと皇子たちは狙われやすいから、結果良かったんですね」


 眺めていたミアが突然自分の方へ向いたので、マルコは驚いてしまった。


「あ? ああ、2年もしないうちに成人するしな。そうしたら、もう普通の人間らしく成長する」


「呪いを解かずに、人の姿で成長を早めないのは、なぜですか?」


「人の姿だと、成長痛ていうのか? あれが酷く辛いらしい。猫だと普通の成長速度だからな。だから猫でいる方が楽なんだよな」


 アーティとチョークは同意の鳴き声を上げた。


「時々人に戻るのは、呪いの気まぐれだろう。成長が著しい時は猫の時が多いとか、成人あたりは人の姿が多いとか……調べてはいるが、よく分かっていないのが現状だ」


「そうなんですね。子どもの時期って、それなりに大切って聞いたので……ちょっと勿体ないけど」


 時折、膝に移ってきたアーティとチョークに目をやり触りながら、ミアは真剣に聞いている。





 先ほど「予定の時間だ」と言ってマルコはミアの手にキスをして行ってしまったので、ミアがアーティとチョークを抱っこして部屋まで戻っている。



「姉上!!」


 すると、カイがすごい顔で走ってきた。



「カイ、王城で走ってはダメよ」


 カイの乱れた髪を整えていたミアの手を、カイが握った。


「第一皇子と2人でいたんだろ。何もなかったか?」


 例の噂は騎士団に混ざっていたカイの耳にも入ったのだ。訓練が終わってダッシュで戻って来たらしい。


「何で知ってるの? 何もないわよ。図書室に入らせてもらってただけよ。アーティとチョークもいたから、2人きりではないし」


 カイに抜刀させないためにも、去り際にマルコが手にキスしたなんてミアは口が裂けても言えないし、悟らせないように頑張っている。

 動揺をごまかすために、ミアは片手で抱っこしているアーティとチョークをカイに見せた。


「……くそっ、やっぱ可愛い猫だな」


「ふふっ、可愛いわよね」


 ミアの腕で嬉しそうな鳴き声の大合唱が始まった。


「はぁあ、ずっと世話したかったのになー」


 カイが悔しそうにアーティとチョークの頭を優しく指でつついた。


「そうね、ずっと一緒だと思ってたんだけど。皇太子殿下だなんて。ふふっ、何が起こるかわからないわね」



 いつか来る、その日まで、その言葉は出さない。


 まだもう少し一緒にいられるのだから。




 アーティとチョークが、2人に向かって必死に鳴いている。




 トゲトゲしているアーティチョークの花言葉は、"警告"、"独立独歩"、"傷つく心"、"傷つく恋"、"孤独"、"厳格"とそれらしいものが並ぶ。



 しかしこんな言葉もある。



 "そばにおいて"




「「ずっとずっと、ミアのそばにいさせて」」



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