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7.波風とか火に油とか!

 転移先は、船着き場だった。

 ここも結構、人が多い。


 相変わらず、男性達からはイヤラシイ視線が、女性達からは容赦なく冷たい視線が、ボクに向かって飛んで来る。



「とにかく、フェロモン魔法を何とかしないと……」



 すると、取説君がフェロモン魔法についての解説をしてくれた。

 と言っても、取扱説明書を読み上げただけだけどね。



『取説君:ルカ‐0721号のフェロモン魔法は、()()だけに()()発動です』



『取説君:ルカ‐0721号のフェロモン魔法の出力初期設定値は、最大となっています。止めることは出来ません。()()……ではなく、()()により出力を下げたい場合は、ステータス画面の『*』をクリックし、特殊機能ページへと進んでください。そこにフェロモン魔法出力調節のボタンがあります』



『取説君:ルカ‐0721号のフェロモン魔法を最大値から下げた場合、それにより放出できなくなったエネルギーを別の形で放出する必要が生じます。代行処置として24時間毎に1時間、ルカ‐0721号の陰部に何かを挿入してください。この際、男性器を用いることが推奨されます』



 色々突っ込みたいところはあるけど……。

 取扱説明書に

()()……ではなく()()

 なんて記載があるし……。


 ちなみに、ここでの突っ込みは、挿入のことじゃなくて、ボケツッコミの突っ込みを意味している。

 そう言う意味では、ボクは色々と(アソコに)突っ込みたいなどとは思っていない。



 それはさて置き。

 フェロモン魔法の高出力を避けたければ、毎日1時間はHしろと言うことだ。


 あと、男性器の使用は推奨であって必須ではない。

 代用品を使えば済む話だろう。


 でも、それって、道具を使ってオ〇ニーしろってことだよね?

 フェロモン魔法の出力を下げられるのなら、背に腹は代えられないけどさ。



『取説君:ルカ‐0721号は、長さ30センチまで受け入れ可能です。太さは、一般男性の頭くらいまで許容します』



『取説君:そのサイズを超える方がご使用される場合は改造が必要です。その際にはサポートセンター(アサスズメ王国メンチン大森林の中 魔導士エロス研究所)までご連絡ください』



 多分、そのサイズを超えるヤツはいないと思う。

 取説君が、関連項目として読み上げてくれたんだと思うけど、ボクには完全に不要な情報だね、これは。

 男とヤルつもりは、一切ないから。

 三次元女性ともする気は無いけど。


 ただ、一瞬、『メンチン』が『チン〇ン』に見えて焦った。

 ボクも、ちょっと頭がおかしくなっているなぁ。



『取説君:ルカ‐0721号は、聞いたり読んだりした単語を即座に下ネタに変換することが多々あります』



 これも不要な機能だな。

 何気に下ネタを連発しそうで、先が思いやられる。



 それと、今まで考えていなかったけど、ボクが作られたところはアサスズメ王国と言うところだったのか。

 じゃあ、今いるここもアサスズメ王国内かな?



 そう言えば、ボクはマップ機能が搭載されていた。

 それを使えば、ここが何処か分かるんじゃないかな?



『取説君:ルカ‐0721号は、マップ機能が内蔵されており、ストリートビュー機能も付いております。これにより、今まで行ったことが無い場所もイメージできるため、最大移動距離以内であれば、転移先の制限はありません』



 今回は、転移魔法の発動が目的じゃないけど。

 取り敢えず、ボクはステータス画面の中の、マップ機能を勃ち上げ……じゃなくて立ち上げた。


 すると、左上の方に現在地の国名や市名が記載されていた。

 それによると、今いるところは、『アサスズメ王国タンヤオ市』となっていた。


 地図の縮尺を変えたりして色々見たところ、タンヤオ市は王都からは割と離れているけど、結構大きな地方都市のようだ。



 先ず、早急にやるべきことは、フェロモン魔法の出力を下げることだ。

 ボクは、ステータス画面の『*』をクリックし、特殊機能ページに進むと、フェロモン魔法出力調節のボタンを押して、出力を最低まで落とした。


 これで、どの程度、ヤロウ共がおかしくなるのを防げるかは分からない。

 でも、普通に話ができるくらいになってくれることを祈る。



 ❖  ❖  ❖



 ふと、ボクは辻向かいに靴屋があるのを発見した。

 何時までもピンヒールと言うわけには行かない。

 もっと歩きやすい靴を買おうと思い、ボクは、その靴屋に入った。



 中には、女性店員が一人と男性店員が一人いた。

 女性店員の方からは、ボクに冷たい視線が飛んできていたけど、宿やギルドの受付嬢ほどは酷くない。



 突然、この二人のステータス画面が開いた。

 どうやら、H関連事項をチェックするために、ステータス覗き見スキルが勝手に発動してしまったようだ。


 ちなみに、彼女のHP……ハレンチパワーは『23/25』だった。

 上限値がHP分布の平均値で、現在発動している値がHP分布の最頻値だ。



 一方の男性店員からは、熱い視線が送られていたけど、いきなり飛び付いて来たりHをお願いしに来たりするわけではない。


 今までの人達と比べれば、これでも、かなり落ち着いている方だろう。

 フェロモン魔法の出力を下げた効果は、一応出ているようだ。



 あと、女性の方だけど、

『(前世の業)特に無し。

(現行)一緒にいる男性店員と婚約し、昨夜も一発している』

 と書かれていた。


 それから男性の方だけど、

『(前世の業)前世では初体験が遅かったため、今世は早期のロスト童貞を希望。

(今世過去)速やかにロスト童貞を済ませたいとの前世の希望を叶えるため、今世では逆レ〇プされることになった。しかし、相手が好きな女性だったため、結果的に合意であり、トラウマにはなっていないのは幸い。

(現行)一緒にいる女性店員と婚約し、昨夜も一発している』

 とのこと。


 二人は職場恋愛ってことか。

 このまま波風立たずに、幸せになってくれることを祈るよ。



 ボクのステータス画面には、ボクの身体の各サイズが記載されていた。

 靴のサイズは22.5センチ。


 ボクは、自分に合うであろうサイズで、カカトが低い靴を探し、それに相当しそうなモノを二足、手に取った。


 そして、

「済みません。試し履きしても宜しいでしょうか?」

 と女性店員に聞いた。


 すると、

「どうぞ」

 と答えてくれたけど、少しイラついた表情が見え隠れしていた。


 フェロモン魔法の出力がゼロになっていないから、基本的に女性異性愛者からは嫌われるってことだ。

 でも、今までと比べれば、これでも数段マトモな会話が出来ていると思う。


 これまでだったら、何か一言、女性からは余計な事を言われていると思うからね。

『そのHな身体で汚さないでくださいね』

 とか、

『それで男性を踏むんですか?』

 なんて台詞が、余裕で飛んできていると思う。



 そして、ボクは、一応、

「ありがとうございます」

 と定型的に女性店員にお礼を言うと、二足を順に試し履きした。

 やっぱり、実際に履いてみないと入るかどうか分からないからね。



 履いた感じは特に問題無し。

 サイズは丁度良さげだ。

 なので、

「二足とも買います。お代はいくらでしょう?」

 と女性店員に聞いた。



「一足五千Genです」


「では、一万Genですね」



 ボクは、アイテムボックスから大銀貨一枚を取り出した。

 すると男性店員が割り込んで来て、

「二足で割引が入って六千Genです」

 とボクに言って来たんだけど?



「ちょっと、割引は三割で七千Genでしょ? 何で余計に割引してんのよ?」



 こう男性店員に言ったのは女性店員。

 何気に、その男性店員を見る目がキツイ。



「そっちこそ、割引無しで儲けようとしていただろ! 差額分を着服しようとしていたんじゃないか?」



 なんか、店員同士……婚約者同士で訳の分からない言い争いが始まってしまった。

 フェロモン魔法出力を下げる前と比べれば、かなり緩和されたとは思うけど、基本的に女性はボクに対してアンチ、男性は甘々な状態が続くと言うことだ。


 やっぱり、フェロモン魔法の影響は消せないんだね。

 出力は下がったけど、ゼロにはなっていないから。



 ボクは、大銀貨を女性店員に渡すと、

「正しい額でお願いします」

 と言った。


 安く買えるに越したことは無いけど、ボクの場合は、魔法で金貨を出せる。

 それに、ボクにとって今一番重要なことは、ピンヒール以外の履物を何でもイイから早く入手することだ。


 なので、正直なところ、

『適正額であれば、一万Genでも七千Genでも、どっちでも構わないから!』

 って言うのが、この時のボクの本音だった。


 普通の金銭感覚だったら、多分、そんな風には思わないんだろうけどね。

 三千Genは、何気に大きいから。


 この時、ボクは少し金銭感覚が狂っていたのかも知れない。

 金貨を出せる弊害だろう。

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