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転生少女は過去の英雄に恋をする  作者: 大天使ミコエル


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87/240

87 トーラリスの村

「兄さん!」

 メンテとリナリが声を上げる。

 二人の兄弟なんだ……?

 ずいぶんと背は高くがっしりしているけれど、確かに、似ている。

「私は、カメリア。メンテとリナリの兄だ」


「……似てる」

 と、呟くと、隣でヴァルが「そうだな」と小さく言った。


 森は果てがないと思えるほど続く森だった。

 どちらの方を見ても、ただの森だった。

 学園があるグラウの森ほど明るくもない。かといって嫌な暗さもない。華やかさもなく、だからといって綺麗でないわけでもない。ただ、そこは遠く遠くまで森だった。


 森の中をひたすら歩いた先で、その光の中に踏み出すと、その瞬間、突然明るくなった気がした。


「え?」


 咄嗟に顔を上げる。

 人の騒めきが聞こえる。

 目の前に広がるのは、大きな村だった。

 大きな木があちらこちらにそびえ立つ。その木々の袂に、緑の草でドームのようなものが取り付けられていた。どうやら、それが家になっているようだった。

「こんにちは」

「こんにちはー」

 村の大人達と口々に挨拶を交わす。子供達は、走ってきて様子を窺ったり大人の後ろに隠れたり、いろいろだ。

 カメリアが、そのまま村の奥へ案内してくれる。

 歩いていくと、村の奥。木々がまばらになったまたその奥に、大きな白い神殿が建っていた。

 大きな柱が立ち並び、荘厳としか言いようがない、大きな神殿だ。

 それが、トーラリス族の中心である神殿だった。


「宿泊は、ここの予定です」

 みんなで神殿を見上げる。

 ここに?

 修行でもするんだろうか。お寺に泊まるようなもの、かな?

 なんて考えていると、通されたのは、神殿の奥にある宮殿のような場所だった。

 高い天井。大理石の床。そして、溢れかえるほどの金色の壺や調度品。赤い絨毯。

「うわぁ……」

 思わず声が出る。

 そこで出迎えてくれたのは、これまた上等な民族衣装に包まれた男性と女性だった。

 顔を見て、直感する。

 もしかしてこのお二人は……。

「紹介するよ」

 と言ったのは、やはりメンテだった。

「うちの父と母だよ。父は神殿を守る長なんだ」

 やっぱり、ご両親!

 長、ということは双子は族長の息子と娘なんだ……。

 シエロが頭を下げ、挨拶をした。

「この度は招待いただき、感謝いたします」

 シエロの目つきが変わる。真面目な顔だ。金色の髪が揺れる。

 それは、一瞬、心臓が波打つほどの綺麗さだった。


 食事でもてなすと言われ、通された部屋は、中庭と繋がっているテラスのような場所だった。そこに大きな大理石のテーブルが置いてある。大きな金の燭台が映える。

 テーブルについたメンバーの人数は、思った以上に多かった。

 双子の両親、それに双子の兄だという人がカメリアも入れて5人、姉だという人が3人。合計で10人。

 家族だけでこんなに……。

 つまり、双子は12人家族なのだ。

 一瞬、両親のどちらかが違うとか……?なんて思ってしまったけど、そういうわけでもない。

 家族はどう見てもみんなそっくりだ。

 双子は家族の中でも華奢な方に見えた。けど、どう見ても家族全員似ている。

 そして、テーブルに並ぶ、ご馳走の数々。やはり森で獲れるらしい鳥料理などがメイン。果物も豊富だ。

 思った以上のもてなしを受けて、泊まる部屋も凄かった。

 ベランダへ繋がる大きな窓の付いた部屋。部屋のど真ん中には大きなベッドが据えられている。

 ……この世界では、このサイズのベッドが標準なんだろうか。

 5人くらいで寝られそうなベッドに、割り当てられたのはエマとチュチュの2人。

 やっぱり男子部屋もこうなのかな、なんて思いつつ。

 けど、シエロとヴァル、2人が仲良くベッドに入る想像はできない。


 寝る前に出されたお茶をチュチュと飲んでいるところで、コンコン、と扉がノックされる音が聞こえた。

「はーい」

 エマが返事をしながら扉を開けると、そこに立っていたのはリナリだった。

 ピンクのくしゅくしゅとしたルームウェアに、大きな白い枕を持っている。

「リナリ」

 名前を呼んで軽くハグすると、3人で大きなベッドへ転がった。

この世界ではあまり精霊を神のように祀ることはありません。トーラリス族も、精霊の守護者として側にはいますが、神のように信仰しているわけではないようです。

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