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転生少女は過去の英雄に恋をする  作者: 大天使ミコエル


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67 雨の日

 この国にも梅雨がある。

 夏の前は雨が多くなる。


 雨の中、外で実戦訓練する気にもなれず、今日はみんなでカードゲームに興じる事になった。

 実習室の一つを使って、みんなで床に座って丸くなる。

 それはメンテのお手製カードゲームで、トランプのように、表には全てのカードが同じ模様。裏は、数字ではなく、魔法陣が描いてある。

 2枚ずつ同じ魔法陣があるので、全てを表に並べ、同じ魔法陣を揃えられたらそのカードが取れる。いわゆる神経衰弱だ。


 エマはなんとかついていけているものの、光の魔術以外は正直ちょっと見ただけでは区別がつかない。

 それぞれの魔術の特徴はわかるものの、じっと見る時間がないと厳しい。

「アタシ、これ苦手〜〜!」

 と言ったチュチュも、あまり他の魔術は勉強しないタチなので、それほどカードは取れていない。

 黙々と堅実にカードを積んでいくのはリナリだ。


 断トツで一番なのはもちろんヴァルで、それにかじりついて頑張っているのがメンテだった。

 カードを作った本人なだけあって、魔法陣は得意なのかもしれない。

 いつも爽やかな顔をしているメンテがじっと真面目な顔をしているし、それに気圧されてヴァルも難しい顔をしている。


 緊張の無言の中、あと10枚……あと8枚……とカードが少なくなっていく。


 メンテが冷や汗をかきながら、最後の6枚と対峙して、結局カードを取れないままヴァルの番になり、ヴァルが残り6枚を全部取ってしまってゲームは終わった。

「16枚差……」

 メンテが肩を落とす。

「お前はよくやったよ」

 ヴァルが困ったような顔をして、微笑んだ。


 結局、上から、ヴァル、メンテ、リナリ、エマ、チュチュの順だった。


「苦手すぎる〜」

 と言いながら、チュチュが少し離れたところに仰向けに転がった。

 エマとリナリが落ち込んだままのメンテのそばに寄っていく。

「すごかったよ」

 言いながら、エマがメンテの両手を引き上げて立たせ、

「お茶飲んで、また頑張ろう」

 と、にっこり笑う。

 ヴァルがべーっと舌を出した。

「いつでもかかってこいよ」


 おやつは、エマが用意したマドレーヌだ。

 紅茶はチュチュが、「みんなすごかったよ」と、言いながら入れてくれた。

「いい匂い」

「うちから送ってきたんだ。りんごの紅茶なんだって」

「へぇ、チュチュの家から」

「おいしいね」

「マドレーヌも美味しいよ」

「えへへ」

「待って、ヴァルいくつ食べてるの。アタシまだ食べてないんだけど!?」

「5つめ」

 しれっとヴァルが言う。


 雨が上がる。

 明日もきっと雨だろう。

 でもきっと、楽しい1日になるんだ。

次回からお泊りデート回です!

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