表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は過去の英雄に恋をする  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/240

47 ダンスレッスン(3)

 実際、10歳の子供のための靴は、特に踵が高いわけではない。

 低めのヒール。歩きづらいこともない。

 けれど、履き慣れていない靴で、ダンスをするとなると話は別だ。


「うわっ……たっ……」

 転びそうになったところを、ヴァルが支えてなんとか持ち堪える。

「はぁ……、ありがとう」

 両手を繋いだ状態で、エマはにっこりと笑う。

 いつもの動きやすいブラウスにスカート。足だけキラキラとした靴をはいて、チグハグな格好だ。

「どうしてもつま先がひっかかっちゃう」

「練習だな」

 言いながら、ヴァルはエマをくるくると回した。

 ヴァルの方はそう困ることもないらしく、軽々とステップを踏んだ。

 こうなると、ヴァルの方が先に進んでいるようで、エマはおもしろくない。

 口を尖らしてダンスをしていると、

「なんて顔してんだ」

 とヴァルが小さな声で言った。


 食堂で二人、ホットミルクを飲んだ日から、それが日課になっていた。

「今日もお疲れ様〜」

 ホットミルクのマグを、乾杯の調子で持ち上げる。

「お疲れ」

 正面に座るのも慣れてきた。

 みんなが部屋に引き上げた後。

 寝る前のひととき。

 こんな毎日は、悪くない。


 そして、とうとうパーティーの前日。

 夕食後の練習時間。

 大広間の中心にヴァルが一人立つと、扉が開く気配がした。

 振り向きそこにいたのは、もちろんエマだ。

 今日は靴だけでなく、ドレスもきっちりと着ている。

 頭だけはいつものハーフアップだけれど。

 月色の髪が、ドレスで光る宝石と一緒に煌めく。

「えっへへ、どう?」

 ポーズを決めるエマに、ヴァルがにっと笑った。

「いいな」


 反射するほどの輝く床。

 カツカツと、ヒールの音が響く。

 エマが、差し出されたヴァルの手を取ると、すっと引き寄せられた。

 同じ目線。

 ヴァルのちょっと偉そうな瞳が見える。

 ぐい、っと腕を引かれ、ダンスが始まった。

 輝くシャンデリアの下、二人、くるくると回る。

「ターン!」

 言われて、くるり、と回ると、景色もくるりと回った。

「ふっ……ふふふ」

 楽しくなってしまって、笑いが止まらなくなる。

「ふふっ……あはは」

「おま……どした?怖いんだけど」

 踊りながら言うヴァルも、つられて笑ってしまっている。

「えっへへへ。ちょっと楽しくなっちゃった」

 エマがにっこりと笑顔を向けると、ヴァルがまた笑った。


 練習最後の夜。

 明日はもうパーティー当日。

 二人で大広間で踊るのも、二人で食堂で向かい合うのも、これで終わりになるんだろう。

 エマはそれをさみしく思う。

 けど、さみしく思ってるなんて気付かれたくはなくて。

 自分でもそう思いたくなくて。


 笑いながら、その日最後のダンスを踊った。

残り3話でラブコメ前哨戦が終了します。

第51話からラブコメ本戦へ突入。

本格的にイチャイチャしはじめますが、どうぞよろしく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ