43 寒い日のおたのしみ
「さむいさむいさむーい」
チュチュが階段を駆け上がりながら叫ぶ。
あれだけ雪に埋れたら、そりゃあ体も冷えてしまうだろう。
チュチュは誰よりも雪玉の上で転がったり、雪に埋まったりしていた。
「エマエマエーマー」
階段と階段の間の廊下で、クルクルしながら言う。
「お風呂入ろう!お風呂!」
「え?一緒に?」
「そう!リナリも!」
チュチュがリナリの方へ目を向けると、リナリがにっこりと笑った。
ヴァルとメンテは、何か微笑ましいものを見るような目で、男子の個室階へ。
「アタシの部屋集合!」
と、チュチュがヒラヒラと手を振る。
「じゃあ着替え持っていくね」
「うはぁ〜」
「あったか〜い」
チュチュの部屋に集まったあと。
3人でお湯に浸かる。
個室のお風呂は3人で入っても余裕だ。
お湯はいつでも蛇口から出てくるし、いい匂いがする。ちゃんと聞いたことはないけど、もしかして温泉なのでは、なんて思っている。
湯船は広くて、本当に温泉旅行の気分だ。
「ねえ、知ってる?」
チュチュが面白そうに話す。
「ここのお風呂がこんなに豪華なの、学園長がお風呂好きだからなんだって」
「知ってる!“こだわり”なんだよ」
リナリが嬉しそうに返す。
「そうそう、”こだわり“。シャンプーも厳選の品って言ってたよ」
「学園長のお部屋もあるんだよ。男子階に」
「先生のお部屋もあるよ」
「へぇ、そうなんだぁ」
ぽやっと返事をすると、エマは上を向いて、湯気の行く先を見た。
大魔術師の部屋、かぁ。宝石で装飾された魔術書とか?水晶玉とかあったりして?
チュチュとリナリが先生の噂話に花を咲かせている。
ぱちゃぱちゃと水面が波打つ。
のんびりした時間。
それから夕食の準備までの間、3人はチュチュの部屋に居た。偶然、今日の料理当番はここにいる3人だった。
チュチュの部屋は、意外と無駄なものがない。
本棚はあるけれど、本は普段授業で使っている本だけで、本自体は少ない。
ぬいぐるみならいくつか転がっているが、それだけだ。
服もあまり装飾がない服を着ている。まあ、チュチュは何着てても可愛いけど。
意外と機能美を重視するタイプなのだ。
まだ夕食前だけれど、3人ですでに部屋着に着替えてしまった。
「リナリは部屋着ももこもこだね」
「メンテが寒いと心配だからって」
「チュチュは足寒くないの?」
「へーきへーき」
「エマは、もこもこでひらひらだね」
「えへへ」
時々マリアが新しい服を送ってくれるのだけれど、マリアが選ぶ服はかわいい服が多い。今日着ている服も、ニットでひらひらが作られている服だ。
笑いながら3人でお茶を飲む。
「今日の晩ご飯どうしよっか」
ベッドに寄っかかっているチュチュが言う。すでにお腹が空いているようだ。
床に座っているエマが少し考える。
「私、オムライスがいいな」
「オムライスおいしそう」
「デザートつけよう」
立ち上がりながら、話を続ける。
「このままでいいかなー?」
チュチュが自分の部屋着を引っ張った。
「寒くなければー」
笑いながら部屋を出た。
こんな風に友達と過ごせる日が来るなんて。
自分でも、こんなに毎日が楽しくなるなんて考えたことがなかった。
エマはそれを嬉しく思う。
ここにいられてよかった、と。
備え付けのシャンプーや石鹸があります。とてもいい匂い。もちろん自分で用意してもかまいません。




