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転生少女は過去の英雄に恋をする  作者: 大天使ミコエル


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33/240

33 到着

 翌日は滞りなく馬車が走り、森を抜けたのはその日の昼過ぎのことだった。


 馬が速度を落としたかと思うと、目の前が突然明るくなる。

 ブワッと風を受けて、視界が開けた。


 広い草原。

 明るい日差し。

 遠くには山が見える。


「うわぁ……」

 エマが感嘆の声を上げる。

「ここがシュバルツだ」

 心なしか、そう言ったヴァルもなんだか嬉しそうだ。


 その日は、3人で洋食屋でご馳走を頼んだ。ローストチキンに、サラダに、フルーツ盛りに……。成人していたらお酒を酌み交わすところだったろう。

 最後の夜ってことだ。


 学園に到着する日が、とうとう来た。


 朝はゆっくりと町を出て、馬はカポカポのんびりと歩いた。

 空は晴れて、鱗雲が遠くぷかりと浮く。

「学園は新しくて、先生が2人。生徒はエマも入れて5人しかいないんだ。夕食と馬の世話は生徒が交代でやるからね」

 チュチュがにこにこと色々説明してくれる。

 やがて、小さな町を抜け、明るい森が見えてくる。

 あの熊がいた森とはまったく違う、明るい木漏れ日が眩しい気持ちのいい森だ。

「買い物はだいたいあの町でするんだ。馬も馬車も使っていいからね」

 どこかで鳥が鳴く。

 ゆるゆると歩いた先に、特別大きく開けた場所に出た。

 そこには、大きな城か何かかと思えるほどの大きな木が生えていた。

「すご……い……」

 エマが目をキラキラさせる。

 天上から光が降り注ぎ、木漏れ日が所々で遊んでいる。

 ヴァルが手綱を引き締め、馬車が停まると、その瞬間、チュチュが馬車の後ろから飛び出して行った。木の方へ走っていく。

 それを追おうとエマが馬車の後ろから顔を出すと、そこにはヴァルが既に居て、手を差し出してくれたところだった。


 エスコートされ、草地に降り立つ。

 下から見上げる木は、壮大だ。

「ようこそ、学園へ」

 ヴァルが静かに言って、ふっと微笑んだ。それで、その木自体が学園の建物なのだと初めて気がついた。

 よく見ると、所々に格子窓のようなものがある。一番下には、大きな門のようなものが木にくっついていた。

 そこへ向かってチュチュが走っていく。


 門が動いたかと思うと、静かに開いた。

 ここからだと小さな門だけれど、高さ5メートルほどもありそうな門だ。

 その中から、数人の人間が出てくるのが見える。

 チュチュより小さそうな子供2人がチュチュのもとへ走っていく。

 そしてもう1人。大きな宝玉のついた杖を持って、こちらに向かってくる人が見える。


「…………えっ」


 声を出したのはエマだった。

 その声に振り向いたヴァルは、エマの潤んだ瞳を見て、


「…………は?」


 と小さく呟いた。

学園といっても、いつもいるメンバーは6人。やっとメインキャラがそろいました。

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