33 到着
翌日は滞りなく馬車が走り、森を抜けたのはその日の昼過ぎのことだった。
馬が速度を落としたかと思うと、目の前が突然明るくなる。
ブワッと風を受けて、視界が開けた。
広い草原。
明るい日差し。
遠くには山が見える。
「うわぁ……」
エマが感嘆の声を上げる。
「ここがシュバルツだ」
心なしか、そう言ったヴァルもなんだか嬉しそうだ。
その日は、3人で洋食屋でご馳走を頼んだ。ローストチキンに、サラダに、フルーツ盛りに……。成人していたらお酒を酌み交わすところだったろう。
最後の夜ってことだ。
学園に到着する日が、とうとう来た。
朝はゆっくりと町を出て、馬はカポカポのんびりと歩いた。
空は晴れて、鱗雲が遠くぷかりと浮く。
「学園は新しくて、先生が2人。生徒はエマも入れて5人しかいないんだ。夕食と馬の世話は生徒が交代でやるからね」
チュチュがにこにこと色々説明してくれる。
やがて、小さな町を抜け、明るい森が見えてくる。
あの熊がいた森とはまったく違う、明るい木漏れ日が眩しい気持ちのいい森だ。
「買い物はだいたいあの町でするんだ。馬も馬車も使っていいからね」
どこかで鳥が鳴く。
ゆるゆると歩いた先に、特別大きく開けた場所に出た。
そこには、大きな城か何かかと思えるほどの大きな木が生えていた。
「すご……い……」
エマが目をキラキラさせる。
天上から光が降り注ぎ、木漏れ日が所々で遊んでいる。
ヴァルが手綱を引き締め、馬車が停まると、その瞬間、チュチュが馬車の後ろから飛び出して行った。木の方へ走っていく。
それを追おうとエマが馬車の後ろから顔を出すと、そこにはヴァルが既に居て、手を差し出してくれたところだった。
エスコートされ、草地に降り立つ。
下から見上げる木は、壮大だ。
「ようこそ、学園へ」
ヴァルが静かに言って、ふっと微笑んだ。それで、その木自体が学園の建物なのだと初めて気がついた。
よく見ると、所々に格子窓のようなものがある。一番下には、大きな門のようなものが木にくっついていた。
そこへ向かってチュチュが走っていく。
門が動いたかと思うと、静かに開いた。
ここからだと小さな門だけれど、高さ5メートルほどもありそうな門だ。
その中から、数人の人間が出てくるのが見える。
チュチュより小さそうな子供2人がチュチュのもとへ走っていく。
そしてもう1人。大きな宝玉のついた杖を持って、こちらに向かってくる人が見える。
「…………えっ」
声を出したのはエマだった。
その声に振り向いたヴァルは、エマの潤んだ瞳を見て、
「…………は?」
と小さく呟いた。
学園といっても、いつもいるメンバーは6人。やっとメインキャラがそろいました。




