表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は過去の英雄に恋をする  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/240

27 一人じゃない場所(2)

 日常の中で、ふと、考えてしまう。


 ジークはここにきたことがあるかな。

 ジークが好きな食べ物はなんだろう。


 頭をかすめる度に、思い知る。


 ジークがこの世界に生きていたこと。……今はもういないこと。


 一人、布団に入ると、そのことばかり考えてしまう。


 ジークはどんな風に馬に乗るんだろう。

 ジークはどんな風に魔術を使うんだろう。


 こんなに近くに来たのに、どうやったって会えないんだ。


「ひっ……く…………、ふっ…………うっ……」


 泣き声を抑えるのに、布団を頭からかぶった。

「うぅ…………」


 一人、こそこそと泣いていると、ベッドに誰かが近付く気配があった。

 誰か……来る……?


 閉じた目をさらにギュッと瞑る。


「お?おぉ〜?」

 ぷにぃ、とエマの頬に指が押しつけられた。

「ホームシックちゃんかなぁ〜?」

 言いながら、チュチュはエマのベッドの上に乗りかかり、さらに頬をぷにぷにと触った。

「…………」

 泣き顔を見られたくなくて、慌てて顔を手でこすりながら、起き上がる。

 窓からの月明かりでなんとか顔を見ると、まだまだ幼いその顔が、少し困ったような、優しい顔をしているのが目に入った。

 きっと、心配させた。

「……ありがとう。大丈夫だよ」

 真っ赤な目で、なんとかそう言うと、エマは震えながら笑顔を作る。

 チュチュがその小さな手で、よしよしと頭をなでてくれた。

「ふふっ」


「眠れないでしょ?」

 チュチュが熱いお茶をもらってきてくれたので、二人、ベッドの上で壁に寄りかかって座った。

 ゆっくりと飲むお茶はとても熱い。

 ピンク色の質素なマグカップから湯気が立ち昇る。

 肩からかけた毛布で温まる。チュチュも自分のベッドから毛布を持ってきて包まっていた。

「悲しいことがあったんだよね」

「…………」

 会話をしたのはそこまでで、二人で暗い部屋の中、お茶を飲んだ。


 失敗したなぁ。泣いてしまうなんて。


 窓の外も何の音もなく、ただ、お茶を飲む音だけが小さく聞こえた。


 気持ちが落ち着いて、静寂が過ぎた頃。

「カップ返してくるね」

 エマはそう言って、チュチュからカップを受け取る。

「今日は、ありがとう。おやすみなさい」

 笑顔でそう言うと、可愛らしい笑顔が返ってきた。


 廊下の窓から、月が見えた。

 この世界の月も、前世で見たものと同じように見えた。

 どちらかといえば、こちらのほうが大きく温かいだろうか。

 不思議な世界。

 前世の時なら現実味がない世界だと思っただろう。

 けど、この世界には、エマの家族になってくれた人達がいる。

 初めて友達だと思えた人達がいる。

 乙女ゲームの中にあった世界。


 けど、ゲームなんかじゃない現実味がある。


 私は確かに、ここで、生きている。

この国には温泉の文化があります。山の方では熱いお湯が湧いています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ