表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/240

197 計画

 みんなが集められたのは、大広間だった。

 前に立つシエロが真剣な面持ちだったので、何の話か見当がついた。


 シエロの持つ杖が少しだけ揺らいで、赤い宝玉が光を反射した。

「翼竜対策について、決まったことがあるから、みんな聞いてほしい」

 大広間は、6人が揃っているというのに、静まり返っていた。


「ヴァル、エマ、そして僕の3人は、王都での対策チームに入ろうと思う」


「へ……?」

 声を上げたのはチュチュだった。

「アタシたちは……!?」


「チュチュ、メンテ、リナリの3人は、この町を守ってもらう。町の騎士団は周囲の村に分散する予定だから、この町を守るのは、君たち3人だけになる」


「…………っ」


 チュチュと双子が息を呑む。

「3人で……」

 呟いたのはメンテだ。


「僕たち3人は、1週間後、王都に向かうことになる。いない間は責任者はチュチュになってしまうけど……。任せていいかな」

 シエロが優しい顔で眉を寄せ、首をかしげた。


「はい……」

 チュチュが泣きそうな顔で、けれどしっかりした声で、そう返事をする。


 それから、どんな状況になってもいいように、全員で戦略を話し合った。

「もし、翼竜が到着する前に情報が得られるなら、町の人たちは学園に避難させて欲しい。ここならメンテとリナリも町の人を守りやすい」

「学園ひとつなら、魔術で覆えます」

 メンテの言葉に、リナリも頷く。

「チュチュは、町の人全員を把握しているから、避難に力を入れて」

「はい」


「僕らは王都の追跡チームに入る。翼竜が出現した方向に、向かっていく。……前回、ヴァルと、それにキリアンも入っていたチームだ」


「…………」


 全員が沈黙した。

 思い出さないわけにはいかない。

 翼竜と対峙し、犠牲と共に翼竜を撃退させたあのチームだ。

 ヴァルは……王太子達と山岳地帯に向かい、そこで殺された。


 今度は、私が絶対殺させない。


 エマは、決意の瞳を見せた。


「1週間後、僕らはまず城へ向かい、王と王妃も含めたチームの会議に出席する」


「王と王妃…………?」


 というと、ランドルフとアステールということ?

 『メモアーレン』の主人公と攻略対象に会える?


 私には王子ルートをやり込んだ記憶がある。

 そりゃあ、もちろん、思い入れがないと言ったら嘘になる。

 PVのジーク目的でゲームを始めた私は、初めからずっとジーク推しだ。

 何があってもジークが一番であることに変わりはないけど。

 それでも、推しでなくとも、ランドルフとアステールは特別な存在ではある。


「キリアンも一緒だよ」


「パパも?」

 チュチュの顔が、一層不安になる。


 エマが、チュチュの手を取った。

「大丈夫だよ。みんな居る」

 チュチュの顔が、少しだけ柔らかくなる。

「……うん」


 頑張ろう。

 みんなの為に。

 自分の為に。


 そして絶対また、ここに帰ってくるんだ。

ラスボス戦に向かいますが、まだもうちょっとラブコメ展開です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ