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175 魔術師の塔(1)

 翌日の授業は、魔術師の塔の見学だ。


 その日は朝から、ぞろぞろと魔術師の塔へ向かった。

 近くで見上げるその塔は、煤にまみれるような姿で、遠くで眺めるよりも天を貫くように建っていた。


「ここが……」

 エマ、チュチュ、メンテ、リナリの4人が、口をあんぐり開け、塔を見上げた。

「魔術師の塔へようこそ」

 シエロが塔の前でポーズを取ってくれる。

 腕の動きが優雅としか言いようがない。


 大きな、古い木の扉をくぐって中に入る。

 中は、思ったより広い廊下となっており、思った以上にたくさんの人が行ったり来たりしていた。

 子供もいれば、大人もいる。老人も。


 シエロが案内しながら解説してくれる。

「1階、2階は魔術学習室になっているから、色々な人が出入りしてるんだ。小さな子から、ご老人まで。学習室は、本格的に魔術を学びたい人ばかりじゃなく、気軽に精霊と関われるひとつの方法として通っている人も多いんだ」

 開いている扉の中を覗くと、小さな子供達が集まって、輪になり、魔法陣の説明を受けていた。

「魔法陣の上では、精霊が踊る」

 エマが呟く。

「よく知ってるね」

 シエロがにっこりと笑う。

「はい。子供の頃読んだ本に、書いてありました。魔術師の魔法陣に誘われて、その上で精霊がダンスをするって」

「そう。魔法陣は精霊語で書かれた言葉だ。精霊はその魔法陣に呼び寄せられ、消えるまでのその一瞬、魔法陣の上で踊ると言われている。だから、魔術は、ただ便利なものというだけじゃない。自分を祝福している精霊とのささやかな対話として魔術を学ぶ人も多いんだ」

 確かに、魔術を発動する瞬間は、特別なものだ。

 エマも、魔術を発動する時は、自分の血の巡りを感じ、身に纏う空気を感じる。

 その瞬間が一般的に”精霊との対話“と言われ、それが老若男女問わず、魔術が人気の習い事の一つとして人気を誇る理由だ。


「3階から上は、開発室やらそれぞれの研究室やら」

 言いながら、狭い階段を1列に並んで登る。1段ごとが高く石造りで、登るのも不思議な感覚だ。


 3階の廊下まで行くと、まじまじと見てくる魔術師が居た。

「…………あれ?エマさん?」

「………………。……あ。ルクスさん」

 一瞬わからなかったけれど、目の前に居たのは、子爵家のメイドであるルチアの弟だった。

 帰省中に、子爵家で何度か会ったことがあった。

 確か、ここの学習室出身で、そのまま魔術師の弟子になった優秀な青年だ。

 赤毛でそばかす。ルチアにそっくりな顔で、ルクスはにこっと笑った。

「やっぱりエマさん」


 シエロがヴァルの首根っこを掴んだ。

「新手の刺客に向けるような目、しないでくれるかな」

新キャラってほどの登場ではないんだけど、出しておきたかったんですよ……。

もともと外見も決めていましたのでね!

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