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155 王都へ(2)

 王都への道のりは、快適だった。

 山の方へ行く道と違い、都会へ行く道は、整備され、危険なことはほぼないと言っていい。

 宿に困ることもなかった。

 都会なだけあって人の往来が多い分、定期的に大きな町を辿ることができ、必ず宿に泊まることができた。

 大きな建物が居並ぶ町の中で、大きなホテルに泊まることもあった。


 広い石畳の街道を、馬車はゆったりと走った。

 遠くには、とうとう大きな城がそびえる王都が見えてきた。

 青い空の下、うっすらと石造りの城の屋根が見える。


「いよいよだね」

「だな」

 エマの隣には、ヴァルが居た。

「エマ、王都初めてだろ?」

「そうなんだ〜!すごく楽しみ!」


 本物のお城がある町なんて、それはもうひとつのテーマパークに来たような気持ちだ。


 他の町と違うのは、城壁があることだ。

 城と城下町は、城壁で全てがすっぽりと囲まれていた。

 町には4つある門から入ることができる。学園の馬車は西の門から入った。

 今まで見たどこよりも、華やかな町。

 大きな建物。

 沢山の人。

 けれど、嫌な空気ではない。

 ワクワクするような空気!


 そこからも、馬車はかなり走った。窓の外が騒がしいので、見ていて飽きることはなかった。

『メモアーレン』の背景が詳細なだけあって、知っている場所が所々にある。

 広い植物園、有名なケーキ店、王妃御用達の帽子屋。

 そして……。


「う…………わぁ……ぁ…………」


 エマの口から、感嘆の声が漏れる。


 あれは……!

 あれは…………!


 オープニングにも出てくるセラの像……!


 学園の馬車は、今、中央広場へ差しかかっていた。

 王城にも程近いその広場には、大きな噴水がある。

 その噴水の上にある人魚の像が、この国の象徴、水の精霊であるセラの像だ。


 『メモアーレン』のオープニングは、このセラの像から始まる。

 ランドルフ王太子とアステールの出会いの場所でもある。


 ここ、セラストリア王国の王の家系は、水の精霊に祝福されることが多い。

 このセラストリア王国にある泉に宿っており、セラストリア王家を祝福していると言われている精霊が、水の精霊セラだ。

 セラには、人間の足の代わりに魚の尾ヒレが付いていると言われている。

 いわゆる人魚の姿をした女性だというのが、伝承で伝えられていた。

 ただ、もちろん精霊は人間の前に出てはこないので、本当にこんな姿をしているかはわからないけれど。


 本当にセラの像があるんだ…………!


 目がうるうるする。

 来てよかったぁ。


「ゲームで見た?」

 ふっと声のした方を見ると、ヴァルがいつものからかうような顔で笑っていた。

「そう……」

 急に恥ずかしくなり、口をへの字に曲げた。


 けどやっぱり、感動してしまう。

 セラの像を見上げる。

 滑らかな石像が、水の上で煌めいていた。

王都到着です!

やっと序盤から決めていたセラの像を登場させられました!

せっかくの王都なので、こうしてちょこちょこと最初から決めていた小ネタを出せたらいいな。

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