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154 王都へ(1)

 学園長が王都へ帰り、学園は一時だけれど落ち着きを取り戻した。

 学園長がいるとどうしても夕食は大広間になる。それがどうしても、いまいち落ち着かないのだ。

 今日はやっと食堂で夕食を食べられる日だった。


 そんな久しぶりに気兼ねなく食べることができる夕食の、ヴァルお手製のコロッケを本気で感動しながら食べた後のことだった。

「絵師さんのアトリエ、王都にあるらしいんだ」

 シエロが説明する。

「王都」


 エマが、反応した。


 王都……!

 王都といえば、『メモアーレン』の舞台だ。

 シュバルツ伯爵邸に引き続き、また聖地巡礼できちゃう?

 城には近付けないとしても、遠くから見ることは出来るかも。魔術師の塔を実際に見ることは出来るかな。王都といえば王室図書館だってあるし。

 それになんと言っても、『メモアーレン』のオープニングの最初に出てくる水の精霊の像!

 あれはどうしても見たいもののひとつだ。


「出発は明後日の午前中。少し長く滞在して王都について学んでもいいしね。せっかくの申し出だ。楽しもう」

「はーい!」


 まるで、観光地に行く遠足みたいな気分だ。

「おやつも持って行こ〜!」

 キッチンではしゃいでいるのはチュチュだった。


 そうだ。

 せっかく絵師さんに会えるのだし、何かプレゼントを準備するのはいいかもしれない。


「クッキーでも作る?」

「いいね〜!」

 チュチュからウィンクが返ってきた。


 出発の前日の午後、エマ、チュチュ、リナリは、3人揃ってクッキーを焼いていた。

 3人でおやつ用のクッキーを焼く。エマは、そのついでに、絵師さんへのプレゼント用のクッキーを焼いた。

「ジャムに〜、チョコに〜。エマは何作ってるの?」

「ナッツのクッキーだよ。砕いたアーモンドを乗せてるの」

「それも美味しそう!」

 味見がてら、少しずつお皿に乗せ、お茶を入れた。


「ふふっ」

 まだ温かなクッキーは、口に入れるだけでほわっとして温かい気持ちになる。

「どれも美味しく焼けたね〜」

 チュチュが満足そうに言った。

「絵師さん、喜んでくれるといいね」

 二人とも、ゲームに触れる機会があったからか、絵師さんへのプレゼントを応援してくれた。

 それにしては、二人ともあまりゲームの話をしたがらなかったけれど。


 6人は、また幌馬車に乗り、5日かけて王都へ向かった。

 また、2人が御者台に座り、4人が後ろにいるスタイルだ。


 エマがごろんと転がって青い空を見上げていると、頭の上からふわふわツインテが顔を覗かせた。

「チョコレートのクッキぃ〜〜〜」

 言いながら、チョコクッキーをエマの目の前でゆらゆらさせる。

 起き上がって、「あーん」と口を開けると、チョコクッキーはエマの口の中へ飛び込んできた。

 チュチュの笑顔を眺める。満足げな笑顔。

「美味しい」

「そうでしょうとも!」

 チュチュがにこっと笑うと、エマもその笑顔につられて、にっこりと笑った。

王都といえば、『メモアーレン』の舞台です!新キャラ登場の予感!

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