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23、VSユーリウス

 ユーリウスの剣が私に向けられた。

一瞬で興奮は覚めやり、背筋がヒヤリとする。

「どうして」と心の中はパニック状態だ。


「貴様、何者だ」


体全体から己の魔力をたぎらせながら、ユーリウスが私に問う。


「何故、三属性魔法が使える?それは余程の高位術者しか使えぬ筈だ」


ユーリウスの夜色の瞳が金色に変わり、魔力がほとばしりはじめた。

何か言わなければと思うが、ユーリウスの威圧が強すぎて唇すら動かせない。


「名のらぬのならば、聞き出すまで・・・

歪めし力 戒めし大地 そは我が思いに応えん 

グラビゾン コア」


身体が重くなり、空中から地面に一気に叩きつけられた。かろうじて受け身を取ったが、重力がかかり、身動きできないよう抑制魔法がかけられる。時空魔法と土魔法を合わせた高位魔術だ。


「うぐぅ・・」


土の中に身体がギシリとめりこんだ。あまりの苦しさに息もできない。それでも私は必死に、効果打ち消しの魔法を唱えた。


「世はあらゆるまやかし 見えぬまことの姿よ グラビゾン ヘイラス」


グラビゾン コアの効果が消され、身体が自由になる。これは予想外だったのか、ユーリウスに隙ができた。

私はすかさず攻撃魔法を、ユーリウスに向けて放った。


「巻き起これ嵐 我が祈るままに サリフ イリュート」


ユーリウスの周りに砂嵐が巻き起こり、視界を塞ぐ。だが、ユーリウスはそれを屁ともせず、剣で強引に薙ぎ払った。

詠唱もせずに打ち消し魔法が使えるのは、ユーリウスくらいだろう。

彼がそれほどの高位の魔導士であるという証であるし、私がまともに立ち向かって勝てる相手とは思えなかった。

ここは三十六計逃げるに如かずである。


「光よ 魔を祓いし 我が眷属よ 力を我が手に 

ライトニング アルフェイア」


私はライトニングの上位魔術アルフェイアを唱えた。もちろん倒せるなんて思っていない。

光で目を眩ませて、その隙に逃げるつもりだ。

だが、そんな私の考えなどユーリウスにはお見通しだった。


「魔術は上出来だが、読みが甘い」


あれほど聞きたいと願った言葉を、こんなピンチな状態で聞くハメになるとは思ってもいなかった。

彼は私の魔法などあっさりとかわし、私の喉元にはユーリウスの剣の切先が今にも刺さりそうな距離で突き立てられた。

実際、少し刺さっていて、生暖かい血が一筋首を伝った。

私はゴクリと唾を飲み込んだ。


「・・ユーリ・・ウス・・さま・・」


声が震える。生まれ変わってから、何度も危険な目にあい、死にそうな場面も経験したが、まさかユーリウスに殺される日が来るなんて思ってもいなかった。


「第一皇子に頼まれたクロか?」


「ち・・違います」


「其方、名は?」


「リティアーナ・グレゴリです」


「グレゴリ?魔導士長の一族の者か?」


「アブラム・グレゴリの娘です」


「はっ、嘘をつけ!こんな大きな娘がいるはずがない」


「養女なんです!」


私は必死に素性を説明した。ここで私は殺されるわけにはいかない。

ここまで初対面の印象が悪いと、前世のように恋人同士になるのは無理かもしれないけれど、それでも私は私なりの方法で絶対にユーリウスを守るのだと心に誓っている。


「私は永遠にユーリウス様の味方です」


私の立場を宣言してみたら、ユーリウスは少し剣を向ける手を緩めた。すかさずグレゴリ家の紋章の入った剣帯を見せる。


「蔓薔薇に杖、たしかにグレゴリの紋章だな」


「信じてもらえましたか?」


まだ半信半疑な様子で探るように見てくる。若い頃のユーリウスの人間不信は筋金入りのようだ。

よほど命の危険を常に感じている状態に違いない。


「確かに、敵意は感じないようだが・・」


そう言って、やっと剣を下ろした。私はほっとして、その場にヘナヘナと座り込んだ。


「リティ様!」


クリスタがビーザムに乗って、慌てた様子で飛んでくる。


「オルロワの娘か。この者が其方の領地の者である言うが、違いないか」


「間違いございません・・リティ様、血が・・」


クリスタは私の横に屈み、ハンカチを取り出すと首にあてた。


「すぐに癒しを・・」


「無駄です。先程、グラビゾン ヘイラスを唱えたので、まだ無効化が続いています。それにこれくらいの傷は何ともありません」


「でも、これでは跡になってしまいます」


「わたくしは気にしませんよ」


私はクリスタに安心させるように笑いかけたが、クリスタは悲しそうな顔をした。





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