22、襲撃
黒いローブを着た数人の男達がユーリウスを襲っていた。
男達はユーリウスを取り囲み、魔力弾を撃つ。
ユーリウスは器用にそれを剣で弾き、相手の陣形を崩そうと、空中に飛んだ。男達もその後を追おうとする。
私はすかさず「グラビゾン」を唱えた。一瞬彼らの動きが止まったが、なかなかの手練れであったようで、すぐに魔法は解かれてしまった。
「ユーリウス様!」
ユーリウスは空中から、剣に炎を纏わせて攻撃した。
炎がトルネードとなり、男達の体にまとわりつく。
火の粉があちこちに飛んで、東屋の屋根が燃え始めた。
うう、ユーリウス様、もう少し周りにも配慮して・・・。
煙に気付いたのか人が集まり始める。人的被害が出るのは避けなければならない。
私は黒魔導師達を攻撃しつつ、延焼を防がねばと、この場で最も有効かと思われる最終呪文を唱えた。
「光と水は混じり合い 大地へと制裁を科す 怯め黒き凶つ御魂 清め祓う眩き閃光により」
辺りが急に暗くなる。滝のような雨が降り出し、飛び火した炎が消えていく。
「アルカシア マダイン」
強烈な雷が落ちてきて、稲光が男達を襲った。
「ちくしょう、こんな強いなんて聞いてないぞ。おい、あれを出せ!」
私の魔術範囲から逃れた男達の一人が指示を出し、別の男が懐から黒い土塊を取り出した。
「我が神ヘーパイストス 愚かなミーノースに神力を 土くれに魂を与えよ
ダイタロースゴーレム」
巨大ゴーレムが頭上に現れた。
「ダイタロースか」
ユーリウスがギリと歯を食いしばる。
ダイタロースは全身をマグマのように真っ赤に染め、口から瘴気を吹き出している。
その瘴気にあたると草花は枯れ、大地は焦土と化して、再生不能になってしまうのだ。
現に今も、ダイタロースの周囲はどんどんと腐化が進み、ダイタロース自身が発する強烈な匂いとともに、周囲に被害を撒き散らしている。
「うへぇ、こんなくさい魔物初めてです」
腐った肉のようなすえた匂いが鼻につく。
あまりの臭さに涙が止まらない。
「下がれ!一気に片をつける。私の邪魔をするな!」
ユーリウスが地上で見ている見物人達に向かって叫び、炎を纏った剣を天空に向けた。
「纏え悠久の力 請え迷いし者よ 天空にかかるきざはしの先に 我が祈りにより地に伏して その命を捧げよ!」
ユーリウスの体から魔力の靄が立ち、剣が四属性の魔色を帯びて光を放った。
空に向かって白い階段が現れ、そこから魔力が渦のように流れ出し、ゴーレムの身体を捕らえる。
「アルカシオン スティーリア」
ゴーレムが眩い光に包まれて、一瞬で消し飛んだ。それを見た黒魔道士達も青ざめて、我先にと逃げて行く。
「すごい、これが伝説の四属性魔法!」
ユーリウスの本来の実力を見せつけられて、私は興奮状態だ。前世では呪いによる魔力封じを施されていたので、初めて見る大技である。感動もひとしおだ。
「貴様、何者だ?アルカシア マダインが使えるなんて只者ではあるまい」
油断していた私に向かって突如、ユーリウスの剣が向けられた。




