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12、お話し合いをしましょう

 私たちはとりあえずオフィーリエの屋敷へと移動した。

ゲオルグとビーチェの私を見る目が痛い。

アルカシア マダインの衝撃から醒めないらしい。

ちなみに誘拐犯達は火傷はしたが命は無事であり、ゲオルグの側近達が連れていった。拘置所でいろいろ背後関係を聞くようだ。

あの状況でちゃんと手加減した私を褒めて欲しい。


「で、お前の秘密を教えろ。出身はどこだ。どこで魔術を習ったんだ」


レイに問い詰められて、私は渋々ながら一部を白状することにした。


「私は中央出身でした。しかしそれは前世での話です」


全員が固まった。


まぁ、信じられる話じゃないよね。私だって人から聞いたら信じないもん。


「ちくしょう!前世だなんてふざけたこと言いやがってと思ってるのに、俺はそれを信じるしかないのか」


レイが頭をガシガシと掻く。


「アルカシア マダインだぞ。

伝説の魔導士テオドシオが終生でやっと習得出来たという三属性魔法だぞ。

あれを見たら信じるしかねぇだろ」


「信じてくれるんですか」


「お前みたいな常識外れのふざけた存在、考えたって無駄だろう」


レイが現実主義のわかる男であったことに、私は感謝すべきかもしれない。


「では、逆行転生してきた私からの忠告です。

第二皇子ヴェルスハルトにつくのはやめましょう」


オフィーリエとレイがギョッとなる。


「でも第二皇子は味方につけば俺を領主に推してくれるって約束してくれたし、アクアーリアとの関係もある」


ゲオルグがおろおろしながら呟いた。

彼の母親はアクアーリア出身なので、第二皇子を推すアクアーリアを無碍にできない事はわかる。しかし、私は前世の知識で王家が落ちぶれていった様子を見ている。

第一皇子ディートフリートと第二皇子ヴェルスハルトによる内乱は血で血を洗う骨肉の争いだったし、二人の死後、台頭した第三皇子ジャファラーンは強欲で性根の腐った愚か者だった。

唯一まともな第四皇子のユーリウスも、呪いを受けたせいで聖魔法が使えない状態となっていた。


「前世では彼がエターナルリーベを得て、王になることはありませんでした。いえ、王族の誰もエターナルリーベを得られなかったのです」


レイがオフィーリエと顔を見合わせた。


「では聖結界はどうなる?エターナルリーベを持つ者でなければ、聖結界を維持できないぞ」


「先のことになりますが王家以外の者が得るでしょう。それよりもゲオルグを領主にする方法でしたら良い案があります。オルロワ公に後ろ盾になってもらうのです」


アクアーリアとビストニアの国境沿いに広がる小領地、オルロワ自治区は多数の優秀な魔導士を輩出しており中央での発言も大きい。現魔導士庁長官であるアブラム・グレゴリもオルロワ自治区出身だ。


「あそこには前にもお願いしたが、門前払いだったんだ」


ゲオルグが項垂れる。


「アクアーリアも内部では第一皇子派と第二皇子派の派閥争いが激しくて、実はオルロワがどちらの側につくのかを注視しているんですよ」


オフィーリエの父親は第二皇子派らしい。

オルロワとて他領の争いに利を得られなければ、簡単にはゲオルグの味方につかないだろう。

しかしゲオルグとビーチェは私の大切な友達である。ゲオルグがいなければ孤児院運営はままならなかったし、ビーチェがいなければ子供達の面倒を私一人では見られなかった。私はこの二人を絶対に助けたい。


「わたくしが力を貸しましょう」


いざとなれば胸のエターナルリーベを見せれば、オルロワ公は私の味方になってくれるはずだ。

私はドンと胸を張った。



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