8.ヴィクトリアの思い
第一王子の妻であるローザが妊娠したらしい…
そう聞いた時、怒りで手が震えた
自分が2年半経っても懐妊せず、周りからは急かされるわ責められるわ
おまけに、ルードリッヒとの夜のそれも段々少なくなり今では全くない状態だ。
何故なのよ!
せめてルードリッヒがもっと求めてくれたら、と私は努力を怠らず自分を磨いている。
それなのに、後から嫁いで来たローザがあの病弱な王子と、なんて許せない!
病弱だからもしかしたら、ルードリッヒが王位を継ぐ可能性が高いかもとも思ってたのに、世継ぎが出来たんじゃ もう無理じゃない!
こうなったら、今夜も誘うしかないわ‼︎
夜
お風呂から上がるといつものように侍女に体に香油でマッサージしてもらい、濃い花の香水を付け自慢の豊満な胸が強調されるようなネグリジェに着替えルードリッヒを待つ。
かなり遅い時間
ルードリッヒがお風呂から上がり部屋に入って来た。
ヴィクトリアの姿を見、
「あまり遅いと美容に良くないよ
私も朝早いから、今日はお休み」
「でも、殿方は我慢出来ないんじゃなくて?
私は夜遅くても平気ですから」
ふぅ〜と呼吸を整える声が聞こえ、自分の耳元に近づいてきた
「すまないね…疲れてるんだ」
期待も裏切られ、大人しく寝ることとなった。
翌朝 既にルードリッヒは居なかった。
アルバート!
アルバート‼︎
呼鈴をならすと、すぐアルバートは駆けつけてきた。
「ヴィクトリア様 お呼びでしょうか?」
「こっちまで来て」
寝室に呼ばれ ベッドの天蓋カーテンを手で少し開けてみる
ヴィクトリアは布団を捲りあげ、アルバートの胸を叩いた。
「何故、あの方は…
私がここまでしてるのに!」
「ヴィクトリア様、美人が台無しですよ
また そのような格好で私を誘っているのですか?
そのような姿は大切な人にしか見せてはなりません」
昨日のネグリジェのままなので、豊満な胸やふっくらとした腰が透けて見えている。
「大切な人にしか見せてないわよ
メイドは1時間後に呼んで…」
「かしこまりました。」
すぐ支度する気になれずイライラがおさまるまで待つ事にした。