2.結婚
半月後
いよいよ明日が結婚式当日となった。
父、母も1週間前から王都に入る事ができ、最後の親子水入らずを過ごす事が出来た。
結婚式は当初の予定通りごく少数で執り行う為、緊張する程の人数もいない。
誓いの言葉を覚える程度で済んだ。
結婚式の準備は全てオーマン達が行ってくれ
ウェディングドレスも半月とは思えないほど繊細な刺繍が施され豪華な仕上がりとなっていた。
結婚式当日
お城の一角にある石造の建物 入口には白と淡いピンクの薔薇で装飾されている。ブーケとお揃いだ。
中は教会のような造りになっていて、サイドに木の椅子が並べられている。
入口から外に向けては庭になっていて、フェンスには蔦薔薇が咲いている。
普通は中央にテーブルを囲みパーティをするそうだが今回はないらしい。
私は式を挙げる左の建物で準備にあたる。
レオン殿下は逆の右の建物にいるらしい…。
本当にいるのか怪しいが。
「まぁ、ローザお嬢様 ドレスがよくお似合いで」
アンが細かいお直しをしながら声を掛ける
腰から膨らんだドレスの上から刺繍を施したレースがかけられている。
お揃いの刺繍が施されたヴェールを被り中央の建物(結婚式場)へ移動すると、反対側からオーマンと婚約者であろう王子も現れた。
「やぁ、綺麗だね 良く似合ってる」
品の良い唇から柔らかくあたたかい声が響いてくる。
「レオン殿下…でいらっしゃいますか?
お褒めに預かりありがとうございます。
殿下もとても素敵ですわ。」
「うん、ありがとう。
こんな素敵なお嫁さんを貰えるなんて幸せだね」
ち ちゃんと社交辞令が言える!
もっと弱々しいのかと思ったら 色白ではあるけど
いたって普通。
いやいや、普通より凄くいい!
あ、初対面なので観察しちゃった
「お役に立つよう頑張りますのでよろしくお願いします。」
では、エスコートさせて頂こうか
言って殿下は左手を伸ばした。
私が右手をそっと添えると二人で建物内に入った。
入口の扉が両側から開かれ、二人で静かに前に進む。
神父様の前で誓いの言葉を交わし合った。
静粛な結婚式であった。
式が終わるとオーマンからレオン殿下の控室になっていた部屋に案内された。
「これでお二人は夫婦となられました。
ローザ様は既にご存知かと思いますが、殿下はお身体が丈夫ではないゆえ寝屋の方は暫く控えさせて頂きます。」
殿下の眉がピクリと動いた気がしたが気のせい?
まぁ、話は想定内だったから良いけど
「はい。それは、殿下にお任せしますわ」
「ありがとうございます。
皆の手前もありますから部屋は扉続きの別室となっております。」
病弱だからと言って夫婦の仲は探られたくないらしい。後継も作れないような…とか変に勘繰られないようにする為だとか。
説明が終わると部屋に案内された。
半月間住んでた部屋よりも豪華で広い作りだ。
入って右手には殿下の部屋に続く扉があり、部屋と部屋の間には共通のお風呂が設けられていた。
アンに着替えを手伝って貰うと部屋に1人になった。
「ふ〜 やっと一息つける」
ホットミルクを飲みながら今日を振り返ってみる。
結婚した実感わかないな〜
普通だと今夜は不安とドキドキでいっぱいなんだろうなぁ…
コンコン
ん?今扉叩かれた?
少し考えていると
「私だが…入っても良いだろうか」
えぇ〜⁉︎殿下?何しに?
予期せぬ訪問に戸惑いながら扉の方に目をやった。