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1.婚約者候補として


「マケドニア王国から婚約者を募集する、と書簡が届いた。」


早朝、国王陛下であり父であるヴェルナー陛下より告げられた。


王女として生まれたからには政略結婚は仕方ない。そこから好きになれれば良い方だ。

ましてや、ここはマケドニア王国から南に位置する小国イヴァリス、大国と近づける事に多くのメリットがある。


「お父様 イヴァリスの王女として生まれたからには理解しております。婚約者に選ばれるよう頑張って参りますわ」


「だがな、ローザ、お前の耳にもはいっておろうが、マケドニアの王子は病弱であまり良い噂を聞かぬ

 噂を聞かぬと言うか詳しい話がでないと言うか

少し心配だ」


そう、マケドニア王国は諸国の中央に位置し、武力に置いて随一の力を持つ


その国の第一王子は病弱で戦に参戦しないばかりか夜会や外交もされてないらしい…

その割には今でも素晴らしい戦力を誇るのは現国王のお陰かと囁かれている。


そんな王子と結婚しても、お世継ぎを期待されるだけだろう…お世継ぎ…病弱で大丈夫なんだろうか?


コホン、と喉を落ちつかせ


「噂は存じております。

 ですが、病弱であればお優しい方かもしれませんし

 私も平穏に暮らせるやもしれません」


「うむ、頼んだぞ そなたが聡明に育ってくれて良かった。」


父との話はついたので、2日後に出発する事となった。






出発の朝

馬車2台が準備され、騎士2名と侍女のアナが待機していた。

 ローザお嬢様ご準備が整いましたら参りましょう。

アナが優しく声を掛けてくれ、馬車に乗った。


マケドニア王国には侍女のアナが付いてきてくれる。

アナはアナの母親も侍女として仕えていて、幼少期からずっと一緒にいる

私より2つ上で私が10歳の頃から私付きの侍女となった。


「アナが来てくれて良かったわ

 家族と離れる事になってごめんなさいね」


「私は最初からローザお嬢様の嫁ぐ先までご一緒するつもりでしたよ」


アナはにこっと笑いながら答えた


「私の事より、あちらの王子様が良い方ですと良いのですが…」


マケドニア王国の王子の話は有名だ

皆が心配するのも無理はない


だけどもそれ以上の情報には乏しい

絵姿さえ出回っていない


病弱と言うからには色白でひょろひょろしているのかしら?


そんな話をしながら3日目 王都の城下町に到着した。


さすが大国だけあって、活気があり、色々な食べ物や道具のお店が出ていた。



「もうすぐですね」


なだらかな石畳の先 小高い丘の上にお城が見えた

イヴァリスの10倍はあるだろう広さに感嘆した。


お城に入ると出迎えに1人待っていた。


「ようこそおいで下さいましたローザ王女

 私は王子の側近のオーマンです。」


ブラウンの瞳に黒髪がなびいている。

殿下を見た事も無かったし病弱だから出迎えはないかと思ってたが、やはり。


「イヴァリスより参りました

 ローザと申します。

 滞在中はよろしくお願いします。」


「では、お部屋にご案内しますね」


言って、私とアナはオーマンに着いて回廊を歩く


こちらがローザ王女のお部屋になります、

そう言って通されたのは白に金が施された豪華な部屋だった。

日当たりも良くバルコニーも付いていた。

クローゼットも少し開いていて、私の為に用意した物だと言う衣装や靴が並んでいた。


ん〜何か豪華過ぎない?

他の候補者達も同じなのかしら?

部屋はともかく衣装もこんなに用意するもの?

大国は違うのかしら?


色々聞きたいが、とりあえず確認しなきゃね


「あの、オーマン様 候補者一人一人にこのように準備して頂いているのでしょうか…

衣装も沢山ありますし」


「…え、と 候補者はおりません。

 ローザ王女が婚約者になります。」


オーマンの言う事に驚きを隠せなかった私は

書簡で候補者を募集するとあった事を伝えた。


「説明致しますので、お部屋に入りますか」


私の向かいにオーマン様が腰掛け

アナが私の背後で待機した。


マケドニアの侍女達がお茶の支度を始める


オーマンは一呼吸すると説明し始めた。


「…まず、近隣7カ国において当国の王子に釣り合う年齢の王女が4人でしたので4カ国に募集の案内をだしました。

 …その内1カ国は辞退され、3カ国の王女の中でローザ王女が選ばれました。

 ですのでローザ王女がレオン殿下の婚約者です…」


「お会いする事もなく、ですか?

 選んで頂けて光栄な事ですが どうして私なのでしょう」


「…レオン殿下は病弱と言うのはご存知かと思いますが、穏やかで優しいローザ王女が適任かと思いまして…」


常に会話の前後に間があり 怪しく感じる。

綺麗な顔だが笑ってる顔が表面的だわ

でも、選ばれたのなら国にとっては良い事よね?

病弱な王子と形だけの夫婦でも我慢しなくては

あまり深追いしないでそれなりに過ごせばいいのよね?


私は自分にいい聞かせ


「私が婚約者に決まった事は分かりました。

結婚式などについてはどのように?

父はまだその事を知らないでしょうし 準備を考えると半年は先でしょうか?

レオン殿下とはお会いする機会はありますの?」


「…婚約が決まった事は既に書簡を送ってあります。

ローザ王女がいらっしゃるのと入れ違いになったかもしれませんが。


 そして、大変申し上げ難いのですが 結婚式は半月後に少人数で行う事となります。

 勿論、イヴァリスの陛下、王妃様も招待します。

準備は我々が行いますし、当日は当然レオン殿下本人と会えます…」


殿下とは結婚式当日!?

凄いわ 婚約まで会わないなら分かるけど、結婚式当日まで会えないってないわよね…

お茶や会食もない 話も出来ない 顔も分からない


「殿下はとても綺麗な顔立ちをしていますよ

 …その点は心配いりません。」


不安を察知したのか、オーマンはそれだけ答えると部屋を後にした。


ふぅ〜 長旅で疲れたから今日はゆっくりさせてもらおう。殿下とは会えないし半月間花嫁修行かしら…

夕食は部屋で済ませ

半月後の殿下の顔を想像しながらベッドに入った。









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