番外編 フェルのおはなし 8/12ここから
今日はここからです。フェル視点のほわほわ話です
わちし、フェル。
マルディアの、とっても偉い妖精！
って、草場のじいが言ってた。
つまり、偉いのだ。
わちしは今、リナの家に住んでる。
ふつーの田舎の、フツーの家。
リナは、ピンクのながーい髪の子。
マルディア人で、十四歳くらい。
背はちっこいけど、わちしよりはでかい。
二人は相棒だって、リナが言ってた。
「こらフェル、また冷蔵室のプディン勝手に食べたでしょ！ 私のだって言ったよね」
リナは、よく怒る。ちょっと怖い。
「すまぬ。プディンはもう胃の中じゃ」
ゲップしながら腹をさすってみせると、リナはため息をつく。
「もう……。しょうがないなあ、この子は」
ほんとは、あんまり怒ってない。
リナ、やさしい。
わちし、リナとよく一緒にゲームして遊ぶ。
ゲーム、おもろい。
すた2とか、ぷやぷやとかは、勝てん。
テトラスとか、フェイナルファイツも、すぐしぬ。
ファイオー・エンブラムは、しにまくる。生き返らん。
でも、サムライのゲームはちょっとだけ勝てる。
しんでもおもろいけど、勝つのもおもろい。
わちし、ゲーム好き。
この家には、リナのパパとママがいる。
つまり、わちしのパパとママだ。
ママは、家のおしり……、後ろで駄菓子屋をやっとる。
色んなものを売って、ガキンチョども相手に、金をむしりとってる。
すごい。ああいうのを、やり手の商人って言うらしい。
でも、ママが売ってるものは凄くおもろい。
それに、ママやさしい。
わちしには、こっそりタダでジュースくれよる。
最近、ママは新しいオモチャを売り出した。
それは、メンコじゃ。
マルーオとか、ヤースィーとか、知ってるキャラがいっぱい描かれた紙きれ。
日本の『なんちゃら作り所』とかいう所で作った、やっすい玩具。
リナの絵のやつもある。
あと、わちしの絵のやつもある！
わちし、これを宝物ボックスに持ち帰った。
わちしの絵、上手く描かれとる。
白い羽がいかしてて、かっこいい。さすがわちし、としか言いようがない。
絵を描いた奴も、なかなか上手いと褒めてやろう。
仲間のフェルクルに自慢したら、ウザがられた。
うらやましいんだろう。
わかる、わかる。
だから、わちしはカンダイな心で許してやった。
ママは、わちしにメンコくれた。
だから、ママ好き。
パパは、いつも遅うに帰って来る。
とてもやさしい。
たまに、おみやげにおやつ買ってくる。
珍しいものもあって、とってもうまし。
だから、パパも好き。
リナは多分、あんまり友達おらん。
家にいる時、ずっとゲームやっとる。
ガキンチョとガレリーナの女ども以外、あんまり喋らん。
マルデア人はつがいになるために恋人を作るらしいけど、リナは作ろうとせん。
でも、リナがつがいを作ったら、わちし、ちょっと寂しい。
だから、別にこのままでいい。
ガキンチョどもも、うるさいけどちょうどいい対戦相手じゃ。
わちしが割と勝ちやすいから、好き。
ガレリーナの女たちも、なかなかおもろい奴らじゃ。
社長はアイスおごってくれたし、好き。
リナとわちしは、仲良し。
わちし、リナと色んな所へ行く。
地球っていう、遠い遠い星。
人がめっちゃ多い。
誰も空を飛べんし、魔法がない。
変な世界じゃ。
その代わり、ぐおんぐおん言う変なでっかいヒコーキで空を飛ぶ。
あれはなかなか、速い。
わちしより速いかもしれん。
地球はおもろい。
わちしもリナも、よくわからんけどあっちでは有名人。
キャーキャーと騒がれる、大スターなのじゃ。うぉっほん。
みんな食べ物くれるし、優しい。
アメリカは、でかい。
とりあえず、見渡した分だけ全部アメリカだとリナは言ってた。
ものすごいでっかいビルで、リナはおっちゃんたちと話す。
リナがよく話すおっちゃんは、ハゲかけとる。
頭がツルツル寸前じゃ。
おもろい。
リナは、髪は疲れたら抜けるって言ってた。
わちし、疲れ知らずでよかった。
おっちゃんの言ってる事は難しいけど、リナが怪我しないように心配してるのはわかる。
スカールのおっちゃんも、割と好き。
よく行く日本には、リナのもう一個の家がある。
割と年のいったパパとママがおる、お菓子の店じゃ。
甘い匂いがいっぱいで、めっちゃ美味そう。
リナまんじゅうとかいうのも売っとった。
リナ、うまそうだった。
奈良のママ、とってもやさしい。
お寿司食べさせてくれた。
奈良のパパ、あんまりしゃべらん。
しんぶん、睨んどる。
でも、二人ともリナのこと大好き。
リナが帰ってきたら、大喜びしてる。
だから、わちしパパもママも好き。
リナを好きなやつは、悪い奴じゃない。
わちしも、リナ好き。
ヌーギニアとかいう島で、助けてくれよった。
いっつも人を助けとる。
いっつもみんなに囲まれて、ニコニコ笑ってる。
かっこよくて、かわいくて、やさしくて、ちょっとだけ怖い。
一緒にいると、とっても楽しい。
リナと一緒に、次はどこへ行こう。
わちし、地球の観光ガイドを眺める。
「ここがいいんじゃないかしら」
「地中海グルメ！」
ママと一緒にデバイスを見て、旅のお話をする。
「こないだは、ジャマイカに行きそびれた」
「そうね。朝はしっかり起きないと、置いて行かれるわよ」
「うむ」
寝坊したら、置いてかれる。リナ、かなりきびしい。
「二人とも、別に遊びに行くんじゃないんだからね」
リナがそう言って注意してるけど、リナも楽しんでる。
でも、リナはいっぱい頑張ってる。
ゲームを運んで、地球人を助けて、いっぱい動き回っとる。
だから、たまにはわちしが、助けてやる。
なにしろ、わちしはリナの相棒じゃ。
だから、リナが危ない時は、わちしがいる。
安心せい。いざとなれば、光パゥワーがある。
真空の力は、無限大じゃ。
うむ。
まあ、いざという時の話だし、今は別に遊んでもいい。
「そんなわけで、リナ。サムライゲームやろうぞ」
「あんた、ほんとにサムライ好きだね」
二人でゲームをして、夜が暗くなってく。
「しぬええええ！」
「なんの、白刃取り！」
武士ブレでバチバチの真剣勝負、楽しい。
リナと一緒だと、わちしも笑顔になる。
明日も、リナと一緒に遊ぶ。
一部の終わりまで早めに投稿させてください。
