幕間4
ある町、ゲームセンターにて――――
「ピエロぉ?」
「そうなんすよ、兄貴」
「こんな田舎町でそんな奇抜な恰好する馬鹿、いるわきゃねぇだろ」
「じゃあ俺が見たのは何なんすか」
「だってよぉ、昨日の夜コンビニに行く途中の公園で、ピエロが立っていたって言われてもよ。見間違いじゃねぇの?」
「そんなはず無いっす!あんなにくっきりはっきり見えたんすよ!俺もう怖くて夜中出歩けないっすよ」
「知るかよ。出歩かなきゃいいだろ」
「そういう訳にはいかないっす。夜の散歩は俺の毎晩の楽しみなんすよ。」
「あーもう。じゃあ俺にどうしろってんだよ」
「一緒に確かめに行って欲しいっす!」
「は?やだよ、面倒くせー」
「そんな!兄貴、酷いっす!」
「酷くねぇよ」
「あ、はっはーん。さては兄貴、怖いんすね?」
「あ?」
「近隣一帯を締める総番、最強にして最恐、さらに最凶な鳥飼総一にも、怖いものはあるんすね~。すんませんでした、兄貴。諦めて我慢しますわ」
「・・・じゃねぇ」
「はい?」
「ざっけんじゃねぇ!舎弟に舐められて、引き下がれるかっての!今夜だ!今夜そのピエロとやらに会いに行くぞ!」
「さっすが兄貴!頼りになるっす!」
「おう、任せとけ!この鳥飼総一に怖いものなんてねぇところ、お前に見せてやるよ」
「かっこいいっす!兄貴!」
「よし、じゃあもう少し詳しく話を聞こうか」
「へ?」
「相手を知るってのは大事なことだ。ケンカでもなんでもな。知ってるのと知らないのとでは勝率はダンチなんだよ」
「なるほどっす!勝つために出来ることは全部やる、憧れるっす!」
「よせよ、照れるだろうが。で、そのピエロだっけ?そんな夜に公園で何してたんだ?まさかそのまま突っ立ってただけたぁ言わねぇだろ」
「そうなんすよ!そのピエロ、何してんのかと思ったらすね、なんと・・・ジャグリングしてたんすよ!鼻歌歌いながら」
「ジャグリング?」
「そうっす!一心不乱にずっと。もう俺怖くて怖くて、一目散に逃げ出しましたよ」
ピエロはジャグリングをする。
妖しく笑いながら。
夜中の公園に誰かいるのを見かけるとなんか怖くないですか。
私は怖いです。
昼間とは違うあの空気なんなんですかね。
今日も二本投稿になります。
よろしくお願いします!