第7話 バトル勝利も〈魔力ペイ〉で
「お、もう上がったんだ」
『レベルの低い内は、必要な経験値も少なくて済みます。最初は雑魚モンスターをたくさん狩って、ちょっとずつ上げていくのがよいでしょう』
「わかった、それじゃあこのまま薬草を探しながらモンスターを倒していこう」
シロのアドバイスに従い、僕は薬草を集めながらモンスターと戦っていく。
ブロンズランク向けのダンジョンだからなのか、出会うモンスターはスライムやはぐれゴブリンなどの弱い個体ばかり。
お陰で順調にレベルも上がり、気が付けば既に5レベルまで到達していた。
「ふぅ、けっこう倒したな……もうレベル5か……」
『ポポン♪ ご報告です。マスターのレベルが上がったことにより、【魔力決済】での購入対象が追加されました。アップデートを実行しますか?』
「え? あ、うん、お願い」
レベルが上がったことで、シロに新しい機能が増えるらしい。
どんなことができるようになるか楽しみだ。
『アップデート中……アップデート中……』
またタブレットの中心で円がぐるぐると回り始める。
どうやら、ちょっと時間がかかるみたいだな……
なんて思いながらタブレットを見つめ、歩いていると――
ドンッ
「ぁいてっ」
余所見をしながら歩いていた僕は、なにか大きな物にぶつかった。
タブレットを見ながら歩くのは危ないみたい。
「いてて……いったいなににぶつかっ……た……」
前方を見上げた僕は――すぐに顔面蒼白になった。
そこにあった物とは――
「グォルルルル……!」
巨大な身体と、でっぷりと太った腹。
そして口からは猪のような牙を生やした、巨漢のオークだった。
おそらくこのダンジョンの大ボスだろう。
運悪く、ばったり遭遇してしまったらしい。
「あ、あわわわ……!」
詳しく調べるまでもなく、明らかに強い。絶対に強い。
決して今の僕が出会ってはならない相手だというのは、一瞬で理解できる。
しかしすっかり腰を抜かしてしまい、その場に座り込んでしまう僕。
「グォオオオオオオオオオオッ!」
オークは手にしていた棍棒を振り被り、致命の一撃を繰り出そうとしてくる。
あんな攻撃を食らえばひとたまりもない――!
そう思った瞬間、
『ポポン♪ アップデートが終了しました。【魔力決済】における購入対象の追加を確認。これより、一定レベルの敵との〝バトル勝利〟をご購入頂けます。さっそく〈魔力ペイ〉で支払いますか?』
シロのアップデートが終わる。
バ、バトル勝利だって?
それを買えば、この窮地を脱することができるのか?
ああもう、細かく聞く暇もない!
「は、払う! 払うから! バトル勝利を購入します!」
『タブレットをかざして、画面の中央に対象を映してください』
あわててタブレットをかざし、オークを画面内に納める。
すると――
『ポポン♪ お支払いが完了しました』
次の瞬間――巨大なオークの全身にザァッとノイズのようなモノが走り、まるで消滅するように消えてしまった。
跡形もなく、である。
この場には、僕だけがポツンと残される。
「は……? え……? これは……!」
『バトル勝利を購入したことにより、経験値を獲得しました。おめでとうございます、マスターはレベル30になりました。これにより新機能〈魔力チャージ〉がご利用頂けます。アップデートを実行しますか?』
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