第3話 Heyシロとお声がけください
店主は満面の笑みで、僕に大きなリンゴを渡してくれた。
「え、あ、あれ? お金は――?」
「なぁに言ってんだ。たった今ちゃんともらっただろうが。ほら」
そう言って、彼は手の平に乗せられた3枚の銅貨を見せてくる。
僕はポカンとし、呆気に取られてしまう。
勿論、僕は銅貨を渡してなんかいない。
ただタブレットをかざしただけだ。
それなのに店主は代金を受け取ったと言い、実際にお金を見せてくれた。
これは、認識阻害の魔術かなにかなのか?
あるいは――
『マスターは、【魔力決済】のことをよくお分かりでないようです』
「うわぁ!? な、なに!?」
『よろしければ、少し【魔力決済】と〈魔力ペイ〉について説明させてくださいませ。どうぞ、少し歩きながらお話しましょう』
言われるがまま、僕はタブレットと持ちながら歩き出す。
そしてリンゴをかじりつつ、話を始めた。
「……キミ、会話できたんだね。驚きだよ」
『はい、マスターの【魔力決済】ご利用をサポートするために、音声アシスタント機能が組み込まれております。もしご入り用の場合は、〝Heyシロ〟とお声がけくださいませ』
「へ、ヘイシロ……? シロって言えばいいんだね?」
『〝Heyシロ〟です。これが起動キーになっています。ちなみに、私のことはシロとお呼びください』
「はあ……それでシロ、【魔力決済】ってなんなのさ? さっきのお金は、どこから出したの?」
「【魔力決済】とは、私を仲介してマスターの魔力を通貨に変換するシステムの総称です。変換された魔力は〈魔力ペイ〉として、様々なお買い物にご利用頂けます」
「魔力をお金に……で、でもちょっと待ってくれ。魔力って体力と同じで、時間が経てば自然と回復するよね。それにアイテムを使えばすぐ回復できちゃうし……」
『はい、ですから魔力がある限りずっとお買い物頂けます。私の試算によれば、マスターの魔力は一晩も経てば完全に回復します』
…………あれ?
それって、実は地味に凄い能力じゃないか?
魔力が続く限り、ほとんどお金に困ることはない。
そもそも魔力は放っておけば回復するし、事実上使い放題だ。
ペイポル王国を追い出されてまず金銭に困りそうだったから、この能力は救いだな。
「魔力がある限りお金には困らないのか。それは助かるよ、少なくとも食べ物にはいつでもありつけそうだね」
『喜んで頂けて幸いです。ですが〈魔力ペイ〉と物品の交換は、【魔力決済】の一部の機能でしかありません』
「え? そうなの?」
『はい、購入できる対象は極めて多岐に渡ります。マスターには――きっとご満足頂けるはずですよ』
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