武器ゲット
ヤバイ、武器を手に入れることだけ考えていて、持って行く方法を考えてなかった。
鞄、もとい籠に入れて持って行くなんてできない。
何かないかと周りを見渡す。
コブを冷やしていた布が目に入った。
少し乾いていた。
これをもらおう。
ナイフで布を互い違いに切って長い1本の布にする。
布の真ん中の部分をナイフに巻き付けて、刃でけがをすることがないようにする。
余った端の部分で右太ももに巻き付け、靴下の中に刃の部分を入れて固定する。
完全に乾いていないため、触れている部分が冷たいが、気にしている暇はない。
少し歩いて歩きづらくないか、見てスカートの下にあるかバレないか確認する。
服が大きいからか、見た目に違和感はなかった。
問題なく歩ける。
他の包丁をあった場所とは違う場所に隠す。
小さいの1本だけなかったら、疑われてバレる。
他にも何か持って行こうと考えたが、ナイフ1本に時間がかかったため、諦めて元の部屋に戻ることにした。
この場で誰かに会えば、流石に盗んだと思われる。
下手すればバレる。
バレてもいいが、それは孤児院を、いや、村を出た後がいい。
ずきんを深くかぶり、部屋を出た。
一種の保険だ。
赤ずきんより小さい子には簡単にのぞき込まれるから無理でも、大人であるシスターにあった場合、顔を見るためなら覗き込むか、
ずきんを外さなければならない。
動作が一つ生まれる。
その一つに身構えたり、逃げたりすることができるかもしれない。
何があるかわからないため、何もしないよりましだろう。
部屋に向かって歩いていると、子供達の話声が聞こえてきた。
このまま進むと会ってしまう。
咄嗟に近くの部屋に入った。
赤ずきん達の部屋のようにベットと小さなタンスが二つある。
誰か、子供の部屋のようだ。
鍵をかけようとしたが、鍵が付いていなかった。
息を殺してそのままじっとする。
何で隠れているんだろうと疑問に思ったが、小さい子の相手なんて無理だと考える。
おまけに、赤ずきんだとバレずになんて無理ゲーもいいところだ。
ゲームと同じなら、孤児院を出る時に全員から見送りをされる。
その時は、赤ずきんのセリフをそのまま言えばいけるはずだ。
いけると思いたい。
話し声が部屋の前を通り過ぎて、聞こえなくなった。
孤児院に限り、これ以上武器の調達は無理。
ゲームを一回しただけだから、赤ずきんの性格なんて把握していない。
だから、長時間赤ずきんのふりをするなんて無理。
同人誌のドエスな性格ならよく知っているが、そっちをやろうものなら殺される。
武器で思い出した。
赤ずきんの武器は、狩人のおじいさんからもらった猟銃だ。
初めて村に狼が現れた時に、狼に妻と娘を殺された狩人。
狼へ憎しみや殺意を抱くが、何もできず、ただ森に入っていく生贄の子供達を見送っていた罪悪感。
不注意で失くしてしまった妻の形見を、一緒に探してくれた赤ずきんの優しさに触れて、耐えきれなくなり、赤ずきんに猟銃を渡す。
おばあさんの家がある森に入る手前に狩人の家がある。
そこに行けば、ゲーム通りでなくても、猟銃を手に入れることができるかもしれない。
さっさとおばあさんの家に行ったほうがいい気がしてきた。
行こうとドアの前に立ったら、ドアが開いた。
目の前にシャルロットがいた。
一難去ってまた一難