狩人の家に到着
狩人の家がある所まで戻ってきた。
村からここまで結構距離がある。
見張りなど、意図的に来ない限り、村人の誰かに会うことはないだろう。
・・・・・・ないと思いたい。
それにしても、8歳児にとっては、かなりの距離を走ったはずだが、疲れを感じず、息切れもしなかった。
運動不足の元の体とはかなり違うことにちょっとへこむ。
・・・・・・まあ、ゲームでは、猟銃撃ったり、マシンガン振り回したり、敵から飛び跳ねて逃げたりしていたし、主人公はそういうものだろう。
8歳児相手に落ち込むことはない。
ゲーム同様の身体能力があるなら、選択が増えたということ。
「問題ない。問題ない」
少し落ち込む自分に言い聞かせるように言った。
狩人の家は雑草が生い茂っていて、家に誰かが近づいた様子がなかった。
玄関だろうと思われる扉には、木の板が打ち付けられていて、固く閉ざされていた。
よくよく思い出してみると、赤ずきんは、この小屋を分かれ道の目印だと思っていた。
狩人の家とは思っていなかった。
「狩人を知らない?」
赤ずきんがどういう経緯で、孤児院にいるのか知らない。
ゲームと同じように生まれた時からだと仮定する。
聞いたことがないだけかもしれないし、知らないだけかもしれない。
だが、女の子だらけの孤児院で、噂話が好きな女が複数人いる場所で、花畑の噂は聞いたことがあるのに、狩人の話は聞いたことがないことを考えると、狩人家族は少なくとも8年~10年前には、ここに住んでいないと考えていいかもしれない。
それなら、この小屋と周りの荒れ具合も納得がいく。
ゲームと違う。
「他に何かないの」
何かないか探すために、小屋に近づく。
雑草が鬱陶しいが、近づくことができないわけではない。
掻き分けながら進む。
扉に近づく。
汚れていて触りたくなかったから、蹴ってみた。
少し動いた。
時間をかけて蹴り続ければ、蹴破ることができるだろう。
でも、道に面しているから、それをやるとすぐバレそうだ。
草を掻き分けながら小屋の周りを歩く。
その際に小屋の壁を蹴る。
木で作られているボロ小屋だから、もしかしたら女児の力でも壊れるかもしれない。
途中、窓と思われる所を見つけたが、木の板が打ち付けられていて中を覗くことができない。
身長が足りず、そこに向かって蹴ることもできなかった。
裏に回った時、少し助走をつけて思いっきり蹴ってみた。
蹴った部分がへこんだ。
いけると思った。
自分の口角が上がるがわかる。
「やっべ~。風化してるわ~。劣化が酷いわ~」
誰かが聞いているわけじゃないのに、困った困ったというように言葉が出た。
へこんだ所に向かって蹴り続けた。
しばらくすると、穴が空いた。
「おっ、いけた、いけた」
空いた穴を広げるように周りを蹴った。
通ることができる大きさまで広げる。
広げ終えると、中を覗いた。
床や家具にかなりの埃が溜まっていた。
壁や天井に所々穴があるみたいで、そこから少し光が差し込んでいた。
屈んで床を見てみたが、埃に足跡らしきものはなく、長年誰も中に入っていないことがわかった。
薄暗いが家探しするのに問題なさそうだ。
籠の持ち手を左腕にかけて、右手を使って、籠の中身を隠していた布で口と鼻を押さえる。
「おっ邪魔しまーす」
小声で言うと、中に入る。
さてさて、どこから探していこうか。




