また赤ずきんになった
気が付いたら森だった。
「何これ? どういうこと?」
訳が分からないと混乱する。
さっきまであった事を順番に思い出す。
シャルロットに見つかって、咄嗟におしっこって言ってトイレに逃げて、それから・・・・・・。
「シスターに籠をもらいに行って? みんなに見送られて? 村を通って? おばあさんの家に行くために森を歩いて? 途中お花畑を目指して道を外れて? 転んで? 今ここ?」
私が体験した記憶がないのに、なぜか体験したこととして所々覚えていた。
しかも、その時どう思ったのかも覚えている。
「つーか、さっきまで体を乗っ取っていたのって、赤ずきん?」
正確には、体を乗っ取っているのは私の方だが。
赤ずきん? が、抵抗して出てきて一連の流れになったのか?
よくわからないが、シスターや子供達の相手なんて無理だったんだから、その点を考えたら、助かった。
思い返してみたら、村人達もやばかった。
一見にこやかに挨拶していたが、目が完全に笑っていなかったし。
村の子供達の何人かは、赤ずきんを遠くから見ていたが、気づいた大人に家に入れられたり、見ないように言われていたりしていたっぽいし。
村を出るまで何人か見張っている感じだったし、よくこの子平気で手を振ったりしていたな。
・・・・・・まあ、あの環境でずっと育っていたなら慣れてしまったんだろう。
無理やりにでも今はそう納得しよう。
そして、どういうわけかまた私になったんだ。
切っ掛けはたぶんタバコだろう。
最初に見た時は、タバコがわからなかったようだし、においを嗅いでタバコを思い出したら、私に代わった。
わからないことだらけの状況だが、一つ言えることは・・・・・・。
「あっぶねぇ。マジセーフ」
赤ずきんのままだったら、死んでいたということだ。
何でナイフ持っているだろうと疑問に思っている時点でこの子はアウト。
ナイフの使用方法が考えついていない。
狼を殺そうと思っていない。
なら、狼のことを知らないことが予想できる。
意識がなくても私が体の中にいるなら、殺されば、私も殺されることになるだろう。
・・・・・・狼がいないのか、一瞬頭をよぎったが、村人達の態度でそれはないと思いなおす。
とりあえず、入れ替わりのことはこの際放っておく。
また、赤ずきんになる前に、武器を調達して、狼倒して さっさと家に帰ろう。
「狩人の所に行くか」
服に着いていた土をきれいに払って、手に着いた土も払う。
籠の持ち手を掴んで、道まで戻るために歩き出す。
来る途中に狩人の家があった。
赤ずきんは、猟銃をもらうことができなかったから、隙を見てパクろう。
無理そうなら、他の物を探そう。
道に戻った。
赤ずきんが、道を外れた場所。
その近くにある木の根元に、目印になるように小石をいくつか置いておく。
赤ずきんだって、場所がわからず、においを辿って行こうとしたのだ。
それに、引きこもりオタの私が、特徴のない木を目印に場所を覚えるなんて無理。
におい辿って自力で行くなんてもっと無理。
だが、花畑には後で行く必要がある。
もしかしたら、トリカブトとか、ヒガンバナとか、知っている毒草があるかもしれない。
太陽の位置を確認する。
日が完全に昇りきっていないようだ。
ゲームでは、日が暮れるまでに狼を倒さないと、強制的にバッドエンド。
狩人の家を目指して走る。




