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吸血少女の非日常  作者: 紅空
7/10

7:姉弟の入浴

「はぁ…美味しかった。じゃ、お風呂、おっさきー。」


「え、あ…今………行っちゃった。どうしよう、奏。」


「いいんじゃない? あっちもどうせ姉弟だし。

 俺は気にしないよ、響が入ってきても。」


「こっちは双子だからね!? でも、あたしは気にする!!」


 と、話しているのは私には聞こえておらず

 鼻歌を歌いながら風呂場に向かっていた。


—ガチャ


「ん? 誰かいる?」


「……姉貴、な…で、いる……。」


「なぁんだ。私が最初じゃないのかぁ。

 でも、いいや。久しぶりだね、一緒に入るの。」


 確かに久しぶりに真琴と入る。まぁ、今回は事故だけど…。

 最後に一緒に入ったのっていつだったかなぁ。


 そう考えていると、真琴が“姉貴、バカ”といったのが聞こえた。


「今、姉に向かってバカって言った? ねぇ? 真琴。」


「普通は年頃の弟が入ってたら出てく。

 まぁ、同性なら別に気にしないけど……。」


「私は別に気にしないけどなぁ、だって、減るもんじゃないし。

 恥ずかしくもないし、だって…家族だし。」


「姉貴の貞操概念って特殊だよね…。」


「特殊じゃないよ。ただ、家族と異性の切り替えが良いってだけ。」


「そうだとしても弟とは入らないと思うけど。それも思春期の弟と。」


「吸血鬼で思春期の弟に襲われる理由はないし。

 そもそも真琴はパートナーいるもんねぇ、大事な人。」


「う、うっさい。」


 真琴は少しだけ照れながら文句を言って身体を洗い始めた。

 私はそれと入れ替わりで湯船につかる。


 そして、真琴の大きい背中を見て改めて思う。


「んー…ホントに、真琴って男なんだね。」


「そりゃあね…男だし。俺のこと、なんだと思ってんの。」


「んー、私の可愛い弟で大事な家族。」


 そう言うと、真琴は呆れたような言い方で「あっそ」と言ったけど、

 今のは絶対に照れてる。ホントに可愛いなぁ。


 真琴は、対人恐怖症で家族と響ちゃん、奏…

 そして真琴の大事な人以外とは話せないし、触れることもできない。


 それには理由があって、真琴の外見にも関係してる。


 真琴は、姉である私でさえも思うほど、“カッコイイ”よりも

 “美しい”という褒め言葉が似合う顔のイケメン。

 それは、両親の良い遺伝子を取ったから。


 だから、小さい時の顔は完全に男っていう顔じゃなくて中性的で

 男女ともに魅了する美しさを持ってた。


 でも、整い過ぎてるっていうのも大変で幼い頃に真琴は

 女の子と間違われて誘拐されたことがある。

 それは、まぁ…あまりトラウマにはならなかったんだけど

 中学2年になってからが酷かった。


 成長するにつれて、見た目も今のように男っぽくなって

 色気も出てきて余計に狙われやすくなった。

 そして、私が一番、恐れてたことが起こった。


 それは、響ちゃんがその時だけ生徒会の仕事があって…

 真琴とはバラバラに帰ってきた日だった。


 響ちゃんはてっきり先に帰ってるって思ってたらしいんだけど

 家に真琴はいなくて、家族で探したのを覚えてる。


 (あの時は本当に…怖かった、な)


 私の意識がそこで途切れた。


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