3:校内調査
「では、放課後になりました! 見回りをしよっか。」
「鍵はどうすんの? 警備員にバレないように見回りするんでしょ?」
「うーん、そこは奏の影で。ちょちょいと。ね?」
そう言うと、本日14回目の溜め息がつかれた。
(うん。過去最高に溜め息がつかれてる気がするね。)
「で、俺が確認するけどいいの。」
「うん。警備員もこの時間はいないしね。」
奏は頷いて、指をパチンッと鳴らすと、校舎全体が黒い何かに覆われて
真っ暗になる。それから、10秒後。光が差し込んでくる。
「…1階も2階も3階も気配はまったくしない。不気味なくらいに。」
「……そっか、不気味…ねぇ。
じゃ、屋上に向かって結界でも結び直そう。」
私達は屋上に行って、夕日に染まった住宅街を見つめる。
そして中心核となっている保護色になって
私にしか見つけられない石を壊す。
すると、常人には聞こえないパリンという音が鼓膜を震わせる。
「じゃあ…血、頂戴?」
「はぁ。今日もまた、長い眠りへと…。まぁいいや、ほら。」
奏は諦めたようにネクタイを緩めて首筋を出す。
それを見て何の躊躇もなく歯を突き立てる。
「んく……んく、ちゅ…」
奏はたまにビクッと最初の痛みに耐えると後は普通だった。
そして、血を吸い終わると奏は酷く疲れたような顔をする。
「はぁ~…疲れた。」
「ごめんね?」
奏に軽く謝った後に、抑えていた力を解放すると
瞳の色が鮮血のような赤色に変化する。
そして人差し指で頭上に大きな丸を描くと、淡く輝く光が大きな布が現れ
その布は広がり学園の敷地全体を囲む。
そして、数秒が経つと何もなかったかのように消えた。
「よし。こんな感じで良いかな。じゃ、帰ろっか。奏。」
「動けないから、連れてって。」
「あー、はいはい。」
軽く笑いながら小さくなった奏を抱えて
夜になった空を飛んだ。