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転生帝者の無双魔導 〜転生した最強魔導師、新能力で超最強に!!〜  作者: しまらぎ
第三章 転生帝者の見えない記憶
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帝者、見抜かれる

 小さな個室のソファに腰掛ける俺とエイミーとレイミー。周りには大きな本棚やら魔獣の剥製など、普通の家とは違う様相が伺えた。

 四角く、綺麗な木目の目立つ机を挟んだ向かいのソファには、茶色い毛の可愛いネコの獣人族の女の子が座っている。今朝の運び屋といいこの子といい、今日はネコに縁があるらしい。


 ピンクの花の形をした髪飾りを整えて、彼女は話し始めた。


「やあ! ボクの名前はニャルル。このギルドのギルド長さ!」


 明るく自己紹介をする、ニャルルと名乗ったギルド長の前で、俺たちは訳も分からずに呆然としていた。


「まずは手荒い招待を謝らせてほしい。ギルド付きの騎士団に頼んだら、お尋ね者と勘違いしちゃったみたいで……ごめんねっ!」


 ウインクしながら両手を合わせる彼女は、さっきのネコ集団とは違ってニャァニャァ言わないタイプのネコだった。

 ……それにしても、この顔に体躯、どこかで見たことがあるような……そんな気がする。


 大通りの手前で騎士たちに捕まったと思えば、運が良いのか悪いのか、このギルドに連れていかれ、その一室に入るとギルド長と一緒にレイミーがいて、もう何が何やらまったく理解出来なかった。

 パッと見た限りエリルたちはいなかったし、レイミーはどうやらほかの皆とは別行動をしていたらしい。


 腕と足を組んで、俺は尋ねる。


「……それで、なぜ俺たちはギルドに連れてこられたんだ? なぜレイミーがお前と一緒にいる?」

 

「あやや、そんなに睨まないでよ……」


 思ったことをそのまま口にしただけだが、どうやら少し表情が悪かったようだ。目つきに圧倒されたのか、さっきまでフリフリとしていた茶色と白のしましまの長い尻尾を下げてしまった。


「だいたい、ギルド長とやらが俺になんの用だ?」


 少しだけ目つきに気をつけて、俺は一番知りたい疑問を投げかけた。

 ニャルルは俺と横の二人をまじまじと見つめる。


「ーー君、転生者だね?」


「…………は?」


 ズバリと指差して放たれた言葉に、目をパチパチとさせる。

 かなり自信があったようだが、俺たちのそんな姿を見て少し俯くニャルル。


「あれ、もしかして……違った?」


 パッチリとした瞳が上目遣いでこちらを覗く。

 ニャルルの話しにはなんら間違いはない。むしろそのせいで驚いているのだ。


 たしかに彼女の魔力はそんじょそこらの者より遥かに強く、眼で見てわかる程度には実力がある。俺の魔力を感じとれていることにも関心だ。

 だが……なぜ俺が転生者だと分かるのか。現代民に分かる理由が、俺には分からなかった。


 未だに目をパチパチさせている俺やエイミー、レイミーを見て彼女は言った。


「もしかして、なんでそんな事が分かるのかって思ってるのかな?」

 

 唇に指をあてて、ニャルルはちょっとだけ首を傾ける。

 ニャルルの言葉に驚いたのか、エイミーが目を大きく見開いて、俺のパーカーの裾を引っ張りながら言った。


「マスター、おかしいのです。この獣人は心が読めるみたいなのです」


 どうやらほんとに心が読めるようだ、と言いたいところだが、まさかそんな筈もあるまい。獣人族は精神に関わる術に長けてはいないからな。せいぜい獣としての勘かそこらだろう。

 

 訝しげに彼女を見つめながら、俺は話しを聞いていった。


「理由は二つだよ。まず一つ目は、君の魔力が強いこと!」


 指で数字の一を示すニャルル。まあ妥当な理由ではある。魔力の強さというのは感じ取れる魔力の圧のことだ。俺の魔力は並みの魔導師なんぞ触れずに殺せるほどに強いからな。理由としてあげるのには申し分ない。


 ふむふむと頷いていた俺に、ニャルルは続ける。


「そして二つ目! 二つ目の理由は彼女だよ!」


 そう言ってニャルルが指差したのはレイミーだった。

 俺とエイミーは、レイミーに視線を向ける。レイミーはポカンとしていて、なぜ自分が指を差されているのか理解出来ていないようだ。

 だが、次のニャルルの一言に、衝撃が走った。


「ーー君は双聖の魔導書のレイナミアだね?」


「ーーーーっ!?」


 驚いて立ち上がるレイミーに、あわわと空いた口を手で隠すエイミー。俺は少し驚いたものの、彼女の次の言葉が脳裏に浮かんでいた。加えて言えば、俺はさっき頭に浮かびかけたニャルルについての記憶を、しっかりと思い出していた。衝撃が俺の記憶を呼び覚ましたのだろう。

 

 そして、思った通りニャルルはエイミーを指差して言う。


「それで、君が双聖の魔導書のエイナミアだ!」


「わ、わたしも分かるのですか?」


 口を押さえながら、エイミーは言った。二人して立ち上がって、ドヤ顔のネコをまじまじと見つめる。


「そんなに凄い魔導書を、現代人が扱えるはずないよね」


 俺も少し口元をニヤつかせながら、ゆっくりと立ち上がった。


「ーーお前は、いや、お前も転生者だな?」


「えぇっ? どういう事だよ、マスター?」


 俺のパーカーを揺さぶるレイミーは、まだ理解できていないようだ。もちろんエイミーもである。長く生きている彼女たちとて、会ったことのない人物は知りようがない。

 だが、俺はレイミーやエイミーとは違う。こいつ、ニャルルとは昔に出会っていた。


 では、なぜ俺がすぐに気づけなかったのか。

 それは、彼女が数回にわたり転生し、彼女の魔力に異物が混じってしまっていたからである。フェルゼンの言っていた転生の汎用魔法陣は、きっと完全ではない。不完全だ。完全に転生が出来るのなら、今の俺のように昔の魔力をそのまま引き継げたはずなのである。


 俺は魔力を込めた眼でニャルルを見ると、彼女の魔力に混じるいくつかの魔力を確認した。

 そして、ようやく彼女の最初の質問に答える。


「お前の言う通り、俺は転生者だ。そしてこの二人も、お前の予想通り、双聖の魔導書の精霊、エイナミアとレイナミアで間違いない」


「やっぱりそうだよね! ボクの眼は間違ってなかったんだ!」


 嬉しそうに笑顔を見せるニャルル。よほど嬉しかったのか、尻尾を激しくフリフリしている。

 そのまま、彼女は不思議そうに聞いた。


「だけど、なんでボクの事が転生者だって分かったの?」


「なんでも何も、俺はお前の事を知っていたからな。お前は覚えていないかもしれんが」


「えっ!? ボクたちって会ったことあるの!?」


 ビクンと尻尾が真っ直ぐに伸び、彼女の驚きを声よりも表情よりも分かりやすく伝えた。

 これも予想通り、彼女は俺の事を覚えてはいないようだった。

 だが、俺にとっては好都合だ。彼女には忘れたままでいてもらおう。そのうち思い出す可能性はあるがな。


「今は思い出さずともよい。直接的に関わった訳でもないしな。それに、そのうちわかる時が来るさ」


 そう言って、俺はまたソファに深く腰を下ろす。エイミーとレイミーはシンクロするように、俺の顔とニャルルの顔を交互に見ていた。

 双聖の魔導書であることを彼女が知っていたり、転生している事がバレたり、その彼女も転生していたり、驚きの連続だったからな。俺はこういうのには慣れているが、二人はそうでない。

 

 少しして、ニャルルも落ち着いてソファに腰を下ろす。

 窓のない部屋には日差しが差し込むことはなく、時間の経過が分からないなか、エイミーとレイミーは長いあいだそこに立ち続けていた。

今日は予約掲載です。

眠気との闘いは世界で一番辛い気がします。

もちろん明日も連続で投稿です^_^

次回もお楽しみに!!

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