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転生帝者の無双魔導 〜転生した最強魔導師、新能力で超最強に!!〜  作者: しまらぎ
第三章 転生帝者の見えない記憶
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帝者、故郷に帰る

 レンガの建物が並ぶ通りを進むと、石で作られた大きな門が姿を現わす。爽やかな風が家々の隙間を通り抜け、綺麗な音色を朝の街に響かせていた。


 約束の時間までは十分ほど。俺は一人のんびりと道を歩く。


「おーいリュウヤー!! 早くしなさい!」


 ある程度進んだところで、手を振って叫ぶ赤毛の少女とほか数名が目に入る。

 時間まではまだあるはずだが、女子というのはこうも早く来るものなのか……? 

 

 左からエリル、レミ、ケルン、ネスティア、フェルゼンと色とりどりの服で着飾っている。俗に言う気合いが入っている、というやつか。それに比べて俺はいつも通り。黒を基調とした、ところどころ白の混じった薄手のパーカーを着ているだけだ。


 俺はパーカーのポケットに片手を突っ込んで、もう片方の手を挙げて彼女らのもとへと歩いていく。


「おはようございます、リュウヤさん」


 真っ先にそう言ったのはエリルだ。昨日のこともあってか少し目を合わせづらい。


「おはようなのじゃ、リュウヤ!」


「おはよう、リュウヤくん」


「遅かったな、ディルガノス」


 ネスティアにケルン、フェルゼンも続いた。

 それぞれ大きな荷物を持って、この旅行への楽しみを顔に滲ませていた。


「リュウヤ、そなた魔導書の二人はどうしたのじゃ?」


「ああ、エイミーとレイミーならまだ寝てる。あいつらは起きてる時間の方が短いからな」


 魔導書を手に取って見せながら、俺は呆れたように言った。

 

「それよりも! あなたは何で手ぶらで来てるのよ? これから長旅なのよ?」


「……到着までに五日はかかります……よ?」


 グイグイと詰め寄ってくるレミに、眼鏡をクイッと直して教えてくれるケルン。

 案外早く着くのか、なんて思っているのは俺だけか。そもそも行き道に時間などかけはしないがな。


「なあ、到着までの時間を観光にあてられたら幸せじゃないか?」


「……馬鹿なこと言ってないで行くわよ。ほら、もう運び屋が来たわ」


 ため息をつくレミが指差した方を見てみれば、門の外に続く道から大きな荷馬車……ならぬ荷獣人車が走ってきていた。それを引く獣人というのがまた小さなネコの獣人で、同じような顔が四つ並んでいた。


「とっうちゃーく!!」


「おや? 今日はたくさんお客さんがいるようだニャ!?」


「いやいや……まだお客さんかどうか分からないニャ……」


「もう! すぐそういう事考えるニャ!」


 性格がバラバラな四人のネコたちは、俺たちの方をじっと見つめて様子を伺っていた。

 ネコたちの方へ向かおうとするレミの腕をぐっと掴んで、俺はネコたちを無視してさっきの話しに強引に引き戻す。


「あのなあ、お前は観光したいと思わないのか?」


「それはしたいけど……そんな夢物語なんて考えてもしょうがないじゃない」


 俺の手を振り切ろうと力を込めるものの、ビクともしない。ほかの三人はどうしようかという様子で俺たち二人を見ている。


「うーん、大丈夫なのかニャア?」


「ほんとにお客さんかニャ?」


「……やっぱり違うんだニャ……」


「だからすぐそういうこと言わないニャ!」


 さらに困っていたのはちょっと離れて傍観していたネコの四人だった。下手に近づくこともできず、お客かもしれない可能性を手放すわけにもいかず、小さなネコの四人組はただただ立ち尽くしていた。


「俺には出来るぞ。夢物語を実現させることぐらい、簡単にな」


 腕に加わっていた力がスッと抜ける。


「ーーきゃっ!?」


 その瞬間にグッとレミを引き寄せ、彼女の耳元に口を近づける。

 そして一言。


「ーーこの国を変えたのは、奇跡じゃなかったかーー?」


 ぼそりと口から出た言葉が、漏れ出た息が彼女の耳に吹きかかる。髪の毛と同じ色に染まった頬を抑えながら、彼女は隙をついて俺の手からすり抜けて振り返ると、必死に目をそらしながら言った。


「いいわ……そんなに言うならやってみなさいよ」


 声は小さく顔も隠れてはいるが、ただ照れているだけなのか、隠した口は笑っている。


「さあ、お前たちもこっちへ来い」


「ふふ、リュウヤさんっ」


「ああっ!! ずるいのじゃ!!」


 走り来るエリルが俺の左手を掴み、それを見たネスティアが右手を掴む。あっ、と小さく声を漏らしたケルンは俺のパーカーの裾を掴んだ。


『なんだか凄いことになってんなぁ。私たちも混ぜろよ、マスター』


『少し妬けるのです。なぜ私たちを起こしてくれなかったのですか、マスター』


 首元から頭に直接届く念話が、エイミーとレイミーの起床を知らせた。だが、いま返事をするとややこしいことになる。

 俺は二人の声に気づかないふりをしてそのまま続けた。


「よし、行くぞ。〈転送(シード)〉」


 大きな魔法陣が足元に浮かび、光が俺たちを包み込む。遠くに見えるレンガの建物は薄くなり、目の前にあった石の門も消えていった。そのまま一瞬だけ視界が白く歪むと、小さな声が耳に届く。


「ニャニャ!? 魔法……魔法だニャ!!」


「あの人間、魔導書を使ってないニャ!」


「間違いニャいニャ。あいつ、この前の町の氷の男ニャ!」


「……うぅ……結局お客さんじゃなかったニャ…………」


 ネコたちの驚く顔が目に浮かぶ。それに、どうやらこいつらは俺が転移した町にいたらしい。その事実に少し驚きながら、そして客を失った彼らに少し悪いと感じながら俺は目を閉じた。


 次に目を開いた時には広く豊かな大地と、大きな星の形をした大都市が俺の目に映る景色の全てを埋め尽くしていた。


「久しぶりじゃ! あれから何も変わっていないのじゃ!」


 俺の手を握ったまま、瞳を輝かせるネスティア。

 後ろからはケルンの小さな声が聞こえる。


「……私の……故郷だ……」


 俺も空を見上げて言う。


「ーーああ、故郷だ」


 見上げた視線の先、空高くに広がる雲のすぐ下あたり、巨大な球状の結界に覆われた漆黒の巨大な城。俺がかつて永き日々を過ごした懐かしの場所。

 

 街を一望できる丘の上、緑広がる大地の中央で深く息を吸う。

 俺の横を透き通る白い髪と青白く綺麗な髪が横切っていった。


「さ、行くのです! 美味しいものが待っているのです!!」


「強い相手が待ってるぜ!!」


 いつのまにか外に出ているエイミーとレイミーが、俺たちの前を走っていく。

 少しため息をつくあいだに、ほかの三人も草原をかけていった。


「リュウヤー! あなたも早く来なさい!」


 皆が走り、途中でレミが振り返る。風に髪がなびき、赤の多い服と相まって景色に美しい花が咲いたようだ。

 太陽はずっと遠くの山々から顔を出したばかり。真正面から照らしつける朝日をその身に浴び、俺はみなの背を追いかけていった。

ついに聖域都市フィルスレアに到着です!

ケルンの故郷であり、ある意味リュウヤの故郷でもあるこの都市でこれから何が起こるのか、とても楽しみですね^_^

それでは次回もお楽しみに!!

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