柳井実季の場合。
私たちを乗せた飛行機はJFK Airportを離陸した。
飛行機がぐんぐんとスピードを上げて、離陸するその瞬間、地球の重力に逆らうGが私の体をシートに押さえつける。
先生が取ってくれていたチケットを自分たちでグレードアップしたので帰りはビジネスクラスだ。
エコノミーでもよかったと言えばよかったけど、さすがに疲れが…。
贅沢なのは百も承知なんだけどね…。
いやぁ、それにしてもいろんなことがあったなぁ。
初日から徹夜耐久レースとか…。
先生が私呼ぶような時は毎回そうだからいいんだけどさぁ……。
まぁある程度覚悟はして行ったよね。
吉弘くんにはあえて詳しく話さなかったけど。
反応が見てみたくて。
そしたら案の定、目の下にひどいクマの先生が出てきて、吉弘くんも動揺してたなぁ。
私からすると出会った頃はもっと酷かったイメージなのよね。
そこからの吉弘くんはもう凄かったわ。
先生のエサも効果大きかったけど、先生を助けなきゃ感の凄さよ。
いや、私は別にエサに釣られたわけじゃないけど、まぁもらえるものは…ね?
まぁなんとかあの地獄を3人で終わらせて、終わらせた日の、次の日は吉弘くんが留学&進学を考えてるジュリアードへ。
そう、ジュリアードに行くんだけど、その日の朝トレーニングウェアで食卓に降りてきたからさ…。
目のやり場に困ると言うか…。
いいもの見せてもらいました、合掌。
それで、みんなでジュリアードに押しかけて、吉弘くんの面通しを終えて、やっとお買い物へ!
その時に留学するときの注意点を吉弘くんにレクチャーしといた。
私も2年の時留学したのよね、イギリスの王立音大に。
音楽院と音楽大学とあるけど、私が行ったのは音楽大学の方。
先生のお力添えでなんとか行くことができたのだけど、本当にいい経験させてもらったわ…。
毎日目まぐるしく進んでいって、気づいたら一年経ってたって感じ…。
いやぁ、お買い物は気合い入ったわ。
先生もストレス発散で相当買い散らかしてたけどね。
ウィンドウショッピングがてらプラプラして、気に入ったのがあれば即購入。
せっかちの先生らしいわね。
あんまり接客されたくないタイプの人だから。
吉弘くんの時計も、
あら似合うわね、店員さん、これくださる?
の3秒で決まった。
先生、それ二万ドルでっせ。
そのあとも吉弘くんのバッグ探しや、前から注文していた先生自身の宝飾品をとりに行ったりいろんなところに行った。
この日が一番充実してたな。
あとはもうひたすら練習練習練習。コンサートに行ってまた練習練習練習。
日本での生活とあんまり変わらなくないか?
強いて言うならご飯がとてもおいしいということ。
年が明けてからは、吉弘くんのお姉さんにみんなでお会いしたね!
会ってみてびっくり、私でも知ってるプロゴルファーだった。
あんまりファンです!みたいな空気を出さないようにしたけど、シンプルすごい人だった。
しかも突然ドライバー飛距離対決とか始まるし!
商品ベンツってやばくない?
どうなんだろ?勝つのかな。
ベンツとか大きいこと言うくらいだから勝算はあるんだろうけど…。
やっぱりなんでもプロってすごい。
私はゴルフ全然わかんないけど、藤原プロがすごいって言うことだけはわかる。
周りのギャラリーも沸いてるし、なんかすごい。
でも我らが吉弘くんはさらに凄かった。
トレーナーさんに聞いてみると、ツアープロ?としてもおそらくやっていけるだろう実力は十分あるとのこと。
なんでそんな人がピアニストに…?
でも体鍛えてて本当にアスリートみたいな生活してるから、ゴルフやってないからって全く練習してないわけじゃないんだろうね。
これだけうまいってことはさ。
結局飛距離対決は吉弘くんが制して、ベンツをもらっていった。
なんかもう、Vシネマ的な展開…。
家族に紹介してもらったと言うことは、私が一歩リードしているということでいいね?みんな。
まだ他の子は家族に面通してないでしょ?
でも、今回の2週間弱の間に、たっくさんのいろんなことがあったけど、惜しむらくは吉弘くんと何一つ進展できなかったこと。
うーん、なんとかもう一段進みたいんだけど、最後の最後で一本の線が引かれてるんだよね。
それを感じちゃうとこっちも行きにくいと言うか。
もう襲うしかないか?
いやいや、それは…。
そんなこと考えてたらいつの間にか日本領に入っちゃったし、今回はビジネスクラスだから吉弘くんにくっついていちゃいちゃできないし…。
隣が吉弘くんなので仕切り窓を下げて覗いてみると、まぁなんと美しい寝顔ですやすやでしたわ。
まぁ悲しいけど、頑張ってアプローチ続けます。
おぉ、羽田が見えてきた。
そろそろ着陸態勢だな、吉弘くん起こして椅子戻さなきゃ。
本日も一本投稿です。




