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嵐のような実季先輩再来。



学校が休みの日


早朝

「よーし、ピアノ弾くぞー!!」



授業がある日


昼過ぎ

「よーし、ピアノ弾くぞー!!」



バイトがある日


早朝

「よーしピアノ弾くぞー!!」



そんな毎日が続いたある日。


コンコン

と、防音室のドアがノックされるのが聞こえた。


「どうぞー?」

誰だろと思いつつ、入室を促す。


「ひさしぶり!」


「実季先輩!」


「すごいね、めっちゃうまいね!!!」


「え?何がですか??」


「ピアノ以外ないでしょ。」


「あー、普通ですよ。」


「いや、そんなことないよ。

本格的にピアノやってる人よりうまいかも知んない。」


「まさかぁ!」


「いや、今吉弘くんだいぶ噂になってるよ。」


「…ですね。」

これには苦笑いを返す他ない。


「あ、外国語学部にも伝わってる?」


「しっかりと。」


「じゃあ学園祭でてみる?」


「そんな簡単に出られるんですか?」


「出られるよ。音楽研究会の枠1つもらってあげる。」


「でも私楽譜持ってないんですよね。

無料でダウンロードした練習曲しか弾いたことないです。」


実季先輩は無言で頭を抱えた。


「…嘘でしょ…?


もう私が曲決めるね。

あとでメールで送るから、練習しといて。


どれくらいのレベルなら弾ける?」



「えっとー、今やってるのはリストの超絶技巧で、物によりますけどこれくらいなら弾けますね。

そろそろこれも物足りなくなってきたんで何か新しい課題が欲しかったところです。」

そう言って私は5番鬼火を弾いた。



「うそ…でしょ…?」


実季先輩は眼球が溢れそうなほど目を見開いて固まっていた。


「だって毎日何時間もこんなのばっかり練習してますもん。

まだまだ詰めるところはたくさんありますけど、挑戦っていう感じではもうないんですよね〜。」


大きな口をたたいたが、実は結構無理をしている。

今日もなんとか弾くことができて内心ホッとしていた。

まだまだかなり見栄を張って弾いているだけであって自分の中では全然満足できていない。


「鬼火ってどれくらい難しいか知ってる?


ピアノ曲の中で一番難しい曲のうちの1つって言われてるんだよ?」


「あ、どうりで…


練習曲って書いてあるのに難しいなーと思ってたんですよ。」


実季先輩は大きなため息を一つついた。


「鬼火は絶対やりましょ。

むしろリスト縛りでいきましょ。

あとでリストの曲でオススメなのをいくつか送っておくから、選んでね!

選んでくれたら楽譜はコピーして渡してあげるから!」


「あ、ありがとうございます!」


「じゃ、私授業あるから!!!」


「あ、はいお疲れ様です」


「練習頑張ってね!!」


先輩は嵐のようにやってきて嵐のように去っていった。


「あー、学祭に出るのかぁ。」

口に出してあることに気づいた。


「え、もしかしてあのホールでやるのかな?」

あのホールとは、初めて実季先輩の演奏を聴いたホールで、大学のホールとは思えないほどご立派なホール。


「うわ緊張してきた、練習しよ。」


さらに練習することを心に決めた。

その日はさらに遅くまで練習した。





そういえば、ゴルフ大会は優勝した。

参加者は全部で100人以上いて、お店のゴルフコンペとしてはかなり大きい部類になるらしい。

そんな大きなアマチュアゴルフコンペを大手のゴルフ道具メーカーが放っておくはずもなく、協賛を出してくれて、優勝商品などを提供してくれた。

当日は企業ブースも出店しており、いろんなメーカーが最新の製品を宣伝していた。


大会自体は、生徒さんや生徒さんの友達でも出場した人がいたので、男子の部女子の部と分けて、丸一日ゴルフ場を貸し切って大会が行われた。なんでも、私が出場を表明したことで、参加希望者が膨れ上がり、ゴルフ場を貸し切ることにしたらしい。

そのおかげで早朝からゴルフ場に併設された練習場も使えることになりありがたかった。

私はクラブを買った時についでに実家から車も持ってきていたので、とても便利だった。


ゴルフ場につくとおじさんから少し怒られた。



「おい、あの会計どういうことだよ。

40万とか聞いてないぞ?」


「えっとー、ゴルフクラブのセットがアイアンとドライバー合わせて20万で、クラブ変えたら昔使ってキャディバッグにドライバーが入らなくなったんで、それも買い替えて5万で、靴もちゃんとしたのに買い換えて2万で、ウエア、グローブ、ボールその他諸々13万ってとこかな!!」


「……絶対勝てよ?」


「もちろん。これだけやってもらったら勝たないわけにはいかないからね!」



この日は体のキレが素晴らしく

ぶっちぎりのトップで優勝した。

元ツアープロの他教室の講師の方は

「本店だからって現役のツアープロ連れてくるのはずるいでしょー!


え?大学生?


あぁ、藤原プロの弟さん?


プロにはいかないの!?」


と大きな声でみんなに聞こえるようにおじさんと話していた。

会場に来ていた生徒さんのお連れさんたちと、ゴルフメーカーの営業マンの目の色が変わった。

さすが商売をわかっている。

二人はこの場を利用してさらに会員数を増やすつもりなのだ。

つまり、元から叔父さんと元プロさんはグル。

これで道具のお金払ってくれないとか言ってたらブチ切れてたところだが、流石に40万も払ってもらったので文句はない。

しかし、厄介ごとの匂いが少々する。


「藤原さん、私〇〇の営業担当の〜〜と申します…


「あ、藤原さん!私△△の〜〜


たくさんのメーカー担当者の方が名刺を持って追ってきたが速攻で逃げた。

タダでくれるというゴルフボールだけもらうのは忘れない。

ゴルフボールって買うと高いのよ…。

一箱12球で4〜5000円するんだよな…。



帰り際に、おじさんから次もよろしくと言われてげんなりした。


義弘の練習効率


これまでに様々なことに挑戦してきてそれなりに極めた吉弘には独自の練習メソッドがあります。

また、これまでに極めてきたもののノウハウを利用することでさらに効率を極めています。

そのおかげで同じ一時間の練習でも普通の人の3〜4倍のスピードで物事を吸収するので、ピアノを始めて半年で約5000時間の練習をしたことになる設定です。


ぶっ飛んでいますが、フィクションなので、頭の力を抜いて何も考えずに読んでいただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い。フィクションぽいけど現実感もある感じが好き
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