表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/166

なんでもない冬の日

さてさて。

今日は何をしようかね。


窓の外には雪がちらつき、部屋の湿度がどんどん下がるこの季節。

家中をオイルヒーターで温め、加湿器をぶん回し、なんとか寒さと乾燥を凌いでいる我が家でピアノの練習をしながらそんなことを思う。

家の中で厚着をするのが嫌いなので、今日は近所のジョンスメドレーでお買い求めた、ダークネイビーのハイゲージタートルネックカシミヤニットに、街で見かけて一目惚れし、即買いしたNEATのベルトレスパンツのベージュを履いている。

私は上細身で下緩め、もしくは、上緩め下細身のコーデが好きなので、今日は前者である。

ちなみにスメドレーのニットは薄手なのにめちゃくちゃ暖かい。


話が逸れた。

練習に集中はしてるんだけど、つい、ふとそんなことを思ってしまう。

最近は落語にハマってるのだけど、落語とピアノってなんか似てるよね。

ちなみに好きな噺は芝浜。

落語って調べてみたら、お師匠さんからお稽古をつけてもらって、じっくりと時間をかけて一つの噺を自分の芸にするんだって。


ピアノも師匠から稽古つけてもらって、じっくり時間をかけて自分のレパートリーに加えていくよね。

なんか芸に対する取り組み方がピアノと似てるなって。


私のレパートリーなんか、自分で納得して武器です!って言えるものはまだまだごく少数しかないけど。

そういう風に自分の芸を練り上げて行けたらいいなって。

思うわけですよ。

ゆくゆくはね、リスト、ショパンの名手と呼ばれるようになりたい。



「よし、YouTube用の音源録ろう。」

早起きして朝っぱらからぶっ続けで練習していたので肩が凝った。

ここらで気分転換だ。


今やYouTubeは私の大事な大事な収入源の一つ。

これのおかげで留学できて何不自由ない生活ができているといっても過言ではない。

全体収入の3〜4割はYouTubeで賄っている。

あとは突発的なお仕事だったり、これまでの権利収入だったり。


「クラシックばっかりだと頭が凝り固まってきちゃうんだよな。煮詰まっちゃってさ。」


クラシック一本槍の人はポップスを悪魔の音楽だと言って全く聴かないどころか触れたくもないという人が多い。

私は、クラシックを始めたときにはすでにポップスに染まりまくってたのであんまり関係ない。

むしろ楽曲提供とかしてるし。


「ほえー、こんな曲最近流行ってるのね。

よし、一発録りでやってみっか。」


メロディーを聴いて、コード割りを把握したところで、自分流のアレンジを加えてみて、何度か練習してみた。

ここまでだいたい1時間。

正直慣れでできるようになった。


「はい、本番。」


この曲は割とコード遊びが過ぎるような作りだったので、そこをさらに伸ばしてみた。

原曲の面影がだいぶ薄くなってしまったが、私は好きである。

柴田恭兵が舘ひろしになっちゃった感じ。

それじゃだいぶ違うか。

まあいいや。


「よし、じゃあ公開!」


そのあとは依頼されてた曲を2曲録って、データを保存して、リビングに向かう。

リビングにあるiMac Proで先ほど保存した曲を譜面に起こしていく。

キーボードでやれば楽譜に起こした状態で保存できるのだけど、ピアノで書きたかった曲なのでひと手間加えたというわけです。


カチカチカチッとものすごいスピードで五線譜におたまじゃくしを並べていく。

せいぜい5〜6分の曲なので大した作業量じゃない。

交響曲書くのに比べたらね…。

あとは楽器加えて肉付けしていくだけ。


「一旦ここらで進捗流しとくか。

肉付けの方向性もすり合わせときたいし。」


この曲を歌うことになる歌手、この曲に歌詞をつけることになる作詞家、レコード会社の関係者にメールを送って、近々に打ち合わせをしたい旨も添えておく。


ちなみに依頼があったのが昨日なので、普通に考えるとありえない速度である。

最近は、藤原の納期は前倒しがデフォと言われてるとか言われてないとか。

納期間に合わない時は、アホみたいに高くても藤原に頼むといいなんて話も聞いたことある。

まぁ確かに吹っかけてる時はかなり吹っかけてる。

納期超ギリギリだった時は一曲のワンセットで外車買えるくらいの値段吹っかけたこともある。

まぁこちらも最優先で他の仕事どかしてやるんでそれくらいはね…。


おかげで納期を遅らせたことは今まで一度もない。

どんなギリギリの納期でも。

それだけは誇りだ。


「よーし、お昼ご飯でも作るかな。」


大学の単位も取り切り、なんとか卒業の目処が立っている現在。

大学に行かない日が増えてきた。

その分ピアノとじっくり向き合うことが増えてきた。

前は気づかなかった自分の演奏のクセに気づいたり、私がやる、楽器の鳴らし方というのも雰囲気が変わって、音が変わってきた。

それがいい方向の変化なのかはわからないけど、私は好意的に捉えている。


そんなことを考えているとパスタが完成した。


私が好きなディチェコの麺を、パスタ用鍋に滾らせたたっぷりのお湯にぶち込んで茹で上げ、その間にお気に入りのアルミパンにオリーブオイルとニンニク、鷹の爪をぶち込んで熱する。

茹で上がったやや硬めの麺もアルミパンにぶち込んでソースと馴染ませると、あら素敵、

アーリオオリオペペロンチーノの出来上がり。


「いただきまーす。」


パスタはやや硬めに茹でるのが好き。

噛むとプリッとしてる感じがいいんだよね。


窓一面に広がる六本木界隈の景色を見ながら美味しいパスタに舌鼓を打つ。

でも一番好きなパスタはカルボナーラ。


お昼を食べて、腹を満たしたので、ちょっくら買い出しに。

理由としては、昼ごはんを作るときに、冷蔵庫の中に備蓄食料がほとんどなかったのでペペロンチーノを作ったという経緯があったため。


ウォークインクローゼットから、今年買ったばかりのナンガの黒いハーフダウンコートを出し、羽織る。

これがまた軽くてめちゃくちゃあったかくて、脱ぎ着しやすい。

車に乗るとコートを脱ぐことが多いので今日みたいにちょっと外出という時はかなり助かる。

しかもお値段も、スペックに比して可愛らしかったので即断で買った。



車を出して向かうのは六本木ヒルズの成城石井。

ヒルズの駐車場が使えて便利この上ない。

5000円以上のお買い物で2時間無料。

あと成城石井はチーズケーキが一番好き。

ドライフルーツ入ってるやつ。


私はかなりの量をまとめて買うので、車で行く必要があるんだけど、2時間無料はありがたいよね。

他に近所には配達無料とかのスーパーもあるけど、今欲しくて、今持って帰りたいんだから、配達じゃダメなのさ。


備蓄が切れそうな常備品を書いたスマホのメモを片手に必要なものを片っ端からカゴに詰め込んでいく。

お会計なんと1万8000円。

これで、実質若者4人暮らしの我が家で10日前後くらいは保つからいいっちゃいいのか…?


「カードで。」


会計を済ませ、食料品を車に乗せたところで、せっかくヒルズに来たのでエストネーションだけ見ておく。



とくに何か必要なものがあったわけではないが、マドエレンのルームフレグランスが気になったので、グラファイトという香りのものを購入した。

見た目石なのだが、それにオイルを垂らして香りを楽しむというものらしい。

もうそれはようわからん。



家に帰り、食材を冷蔵庫に詰め、リビングの端っこに先ほどのマドエレンをさりげなく置く。

前のルームフレグランスはとっくに空になっていた。

誰か気づいて買い替えといてくれよ…。

まぁ私の家だから私が気づかないといけないんですけどね。


「うん、いい香り!」


もう夕方になろうかという時間だけど、仕事が捗りそうだ。

もういっちょ頑張りますか!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ