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一時帰国4


早坂さんは和食がいいとのことだったので向かったのは西麻布の眞。

六本木界隈でお寿司といえばここだ。

というか、ここしかきたことがない。

こう言うと聞こえが悪いが、この店でお金を払ったことがない。

毎回誰かに連れてきてもらっている。



「なんかすごいお店に来てしまった…!」


「私もここぞというときしか使わないお気に入りの店です。」


「そんなところに連れてきていただいて感激です!」


「へい、エンガワ。」


「あ、どうも。」



お任せで頼んだお寿司のコースも進み、だんだんとパーソナルなことも話すようになった。

早坂さんはお酒を嗜んでいるということもあり、だんだんと口が軽くなっている。


「吉弘さんは何をしてる人なんですか?」


「うーん、大学生?」


「え!?

いや若いなと思ってたけど!」


「大学生が外車で迎えにきて、西麻布の寿司屋に連れてくるとかありえないって?」


「まぁよく聞く話ではないよね。」


「もっと深掘りしないの?」


「気にならないかと言われると気になるけど、今までの話し方とか雰囲気とかで、何となく納得しちゃった。

吉弘さんならありえそう。」


「ありえそうって。」


「なんか普通の人とは違う軸で生きてるというか。

稼ぐのが目的で働いてなさそう。

たぶん稼いでるんだと思うけど、好きなことやってたらお金がついてきたっていう人に見えるな。」


「まぁそうかも。

好きなことやってたらお金になった。

早坂さんは?」


「私はちっさい頃から、ほんとーーーーに、空港と飛行機が好き。

空港に関しては、もう空港っていう名前から好き。

だって空の港よ?

空は本当の意味で地球上のすべての国に繋がってる。

空は自由なの。

空港は、その空に今から旅立つ人が集まる港。

ロマンがあると思わない?」


私はそんなこと考えたこともなかった。

だけど言われてみれば確かにそうだ。

さらにはロマンが詰まってる。


「早坂さんの言う通りかもしれない。

たしかに空港ってロマンがあるし、飛行機はロマンで飛んでるような気がする。」


「でしょ?

だから私は空が好き。」


「なんか、いいね。

うん、なんかすごくいい。」


「何よ改まっちゃって。」


「ちょっとお寿司食べたら連れて行きたいとこがある。」


「え?どこ?」


「いいとこ。」


「すっごい楽しみなんだけど。」


そうして向かったのは銀座。

バイト先であるピアノバーだ。

ちなみにお店は今日、お休みである。

つまり貸し切り。



「なにここ、めっちゃ雰囲気ある!」


「いいでしょ?

アメリカ行く前はここでバイトしてたんだよ。」


「え!すごい、バーテンダー?」


「違うよ、ピアニストの方。」


「ピアニスト!?」


「そ!ほら、そこピアノあるでしょ?」


「あるけど…。」


「まぁ今日は貸切だからさ。

しっかり聴いてってよ。

あんまないんだよ?私の演奏聴けるなんて。」


「わかった!楽しみに聴く!」


ということで、早坂さんのロマンを聴くことができてインスピレーションが高まった私は早坂さんのためにミニライブを開催する事にした。


一曲目はもちろんdeparture。

私はこの曲が本当に好きだ。

一昔前に飛行機のドラマで使われてた曲なのだけど、それから10年以上経った今でも大好きだ。

このドラマやってた時はパイロットになるんだー!って言ってたなぁ。

それ聞いた母さんが英語の勉強が必要とか言い出してゴリゴリにやらされたの思い出す。


ちなみに早坂さんの会社のイメージソング?でもある。


壮大な主題が、まさに空を体現してると思う。



弾き終わって早坂さんの方を見ると、涙を流してた。


「どうしたの!?早坂さん!?」


「小さい頃のこと思い出して…。」


「もしかして…?」


「うん、私あのドラマ見てCAになろうって。

それからがむしゃらにがんばって、最近はやっと仕事覚え始めてってところで。

色々と悩むこともあったんだけど、もう一度初心を思い出せたよ。」


「そっか…。」


「吉弘さんすっごい上手なのね、ピアノ!」


「それほどでも。」


「それほどでもって言いながら満更でもなさそうじゃん!」


「まぁまぁ、まだまだ続きますから!」


そのあとは似てないモノマネを披露したりして楽しい時間を過ごした。


と言ったところで、いいお時間となりましたので、解散という雰囲気に。

ギリギリ終電を逃してしまったので、せっかくだしということで、早坂さんをお家にお送りすることになった。


まぁ車だしね。


早坂さんのお家は川崎。

メイン空港が羽田なので乗り換えなしで行けて便利なのだとか。

家を決める時は蒲田と川崎で迷ったらしい。



家についてみると、京急川崎近くの立派なオートロック付きマンション。


「いい家だね。綺麗だし。」


「せっかくだしお茶でも飲んでってよ。

たまたま明日休みだし、美味しいご飯もご馳走になったし、ピアノも聴かせてもらったし。」


「そんな、悪いよ。」


「いいのいいの。でも私家帰ったらすぐお化粧落とすけど許してね?」


「そりゃ気にしないけど。」


せっかくなので、ご好意に甘えることに。

車を近所のコインパーキングに泊めて、おうちにお邪魔する。


めっちゃ綺麗だな。この部屋。


さてさて、このあとどうなることやら。

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