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傲慢な大富豪対最強囲碁コンピュータ

 ある日、大富豪のランプ氏は、新聞を読んで激怒しました。

 そこにはコンピュータ開発者のカード博士の談話として
「完全情報ゲームである囲碁において、人間がコンピュータに勝てる時代は終わったのです。演算速度が全然違いますし、なによりコンピュータは学習することと記憶すること、そして計算することに関して、疲れを知りません。」
と書いてあったからです。

 そして、カード博士は
「私のコンピュータは、いかなる人間やコンピュータからの挑戦も受け付けます。」
と挑戦を求めていました。

 「よし、俺がそのコンピュータをやっつけてやる。」
ランプ氏は、さっそく対戦を申し込みました。
 しかし、ランプ氏は囲碁に関しては、初歩の初歩を知っているだけの全くのシロウトです。周囲の人たちは、ランプ氏が勝てるはずはない、と思いましたが
「決められたルール通りの事しか出来ないコンピュータに、俺が負けるはずがない。」
とランプ氏は自信満々でした。

 初戦

 碁盤をはさんで、ランプ氏とコンピュータの介添え役が対面しました。
 コンピュータは介添え役の横に置かれて、介添え役に次の一手の指示を出します。
 しかしどうしたことでしょう。介添え役はコンピュータの指示するのとは違う場所にばかり、碁石を並べます。
 たまりかねたカード博士が、やり直しをさせようとしますが、
「待った、は無しだ。」
とランプ氏は応じません。そして
「察しはついていると思うが、介添え役の男は、俺が買収した。コンピュータに勝ち目はない。」
と言い放ちました。

 結果 ランプ氏   1勝 0敗
    コンピュータ 0勝 1敗

 再戦

 カード博士は、コンピュータに、碁石をつかんで碁盤に置く事が出来るように腕と指を付けました。
 『考える』以外に、『ものを動かす』事ができるようにしたのです。
 しかし、コンピュータは、やらなければならない事が多くなったために、大きさは3倍になってしまいました。
 2戦目が始まる直前、ランプ氏が碁盤を1メートルほど横にずらすと、コンピュータの指は碁盤まで届かなくなってしまいました。
 カード博士は、抗議の声を上げましたが、
「碁石の並べ方すら知らない、初心者以前の人間にだって、自分が碁盤の前に移動することくらい朝飯前だ。」
と、ランプ氏は意に介しません。

 結果 ランプ氏   2勝 0敗
    コンピュータ 0勝 2敗

 3戦

 カード博士は、コンピュータの足回りを履帯に乗せた台車にしました。コンピュータは、ブルドーザーやパワーショベルのような建設機械風になってしまいました。
 履帯での移動途中に、コンセントが抜けてしまうかもしれませんから、大きな蓄電池も積み込みました。
コンピュータは『自分で動く』ことも出来るようになったのです。
 3戦目が始まると、ランプ氏は
「人間の勝利を祝って!」
とシャンパンの栓を抜きました。
 ボトルから噴き出したドン・ペリニョンが、ドバドバとコンピュータに降りかかります。
 途端に、コンピュータは火花と煙を噴き出して、全機能を失ってしまいました。
 ランプ氏は
「シャンパンも楽しめないとは、不憫なことだ。」
と言い捨てて、会場をあとにしました。

 結果 ランプ氏   3勝 0敗
    コンピュータ 0勝 3敗

 4戦

 建設機械風になっていたコンピュータは、全身を強化プラスチックで覆われて、姿を現しました。
 カード博士は
「自走式・全天候型だ。燃料電池で動くから、コンセントからも解放されている。」
と自慢しました。
 ランプ氏がゴルフバッグを担いで姿を現した時にも、カード博士は
「空気銃か猟銃でも持ってきたのかね?コンピュータの外壁は防弾プラスチック仕様だよ。」
と自信満々でしたが、ランプ氏がバッグから取り出したのは「パンツァーファウストⅢ」という対戦車ロケット砲でした。

 結果 ランプ氏   4勝 0敗
    コンピュータ 0勝 4敗

 最終戦

 カード博士は、地下10メートルに要塞を構築し、コンピュータを据え付けました。そこから巨大なロボット・アームを無線と有線両方で動かすようにしたのです。
 妨害電波やコンピュータウィルスにも、考えられるだけの手を打ちました。
 しかし、カード博士は勝てる気がしなくなって来ていました。コンピュータが勝てるのは、決められているルールの中でだけ。その事を嫌というほど思い知らされました。
 今回はランプ氏は何を仕掛けて来るのでしょう。
○戦略爆撃機から、バンカーバスターを打ち込む。
○ICBMで蒸発させる。
○上流のダムを破壊して、地下要塞を水没させる。
 どう考えても、負けです。
 カード博士は、ランプ氏に降伏を申し出ました。

 結果 ランプ氏   5勝 0敗
    コンピュータ 0勝 5敗

 その後

 カード博士のコンピュータは、他のコンピュータとの囲碁対戦にも負けてしまいました。
 純粋な、コンピュータ同士の囲碁対決に必要なアルゴリズム以外の機能が多すぎるために、演算速度で負けてしまうからです。
 すっかり自信を失ってしまったカード博士は、コンピュータを壊してしまおうか、と考えていました。

 そこへやってきたのがランプ氏でした。
 ランプ氏は
「君のコンピュータを壊してしまうなんて、もったいない。演算速度が遅いくらい何だというのだ。対戦相手のコンピュータなんて、考えるだけのただの箱じゃないか。君のコンピュータには、何が付いている?ロボット・アームで相手を叩き潰せば良いだろう?」
と言いました。

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