バレンタインデーにチョコを渡す意義
「バレンタインデーって結局なんなの」
黒板にその言葉を書きながら僕に問てきた。女性らしからぬその発言に溜め息が溢れる。
「女性が唯一男性に告白できるチャンスじゃん?」
書き終えると振り返って教卓を強く叩く。
「そんなの年中無休でできるじゃない!」
「ならチョコを渡す日」
「チョコだって年中無休!」
どこのコンビニエンスストアの宣伝文句だ。なんならコンビニが24時間営業なのは当たり前だから、例えるならデパートの宣伝文句だな。
「私が言いたいのは、なんで女性からしか渡さないのか!」
「欲しいならあげようか?」
「貰ったの?」
「前の席の子からね」
何故睨み付けられているのか甚だわからないが、一先ず話しを続ける。
「実際に、最近は男性からも女性に渡す習慣になってるらしいしね。そもそも日本だけが女性からだけの習慣になってるらしいけどね」
「そんなの不公平よ!」
「言うてホワイトデー」
「なにが飴よ!」
「クッキーとかもあるじゃん」
「1番相手の事を思っている、好きですという気持ちがこもっているのは飴なの!」
彼女は黒板に書いた文字を消してまた新たに文字を書き始める。
「それならなに? バレンタインデーにはお互いチョコで、ホワイトデーにはお互い飴を渡すのがベストだって言いたいのかい?」
チョークが折れる。その瞬間に筆が止まる。こちらを一瞥して再び書き始める。
「そう言う事ではない。それこそ日常的に行える行為だし。なんなら同居していたら手料理を振るうことだってある」
「ならなんだっていうんだい? 君が求めているのはチョコなの? それとも想いなの?」
書き終える。チョコレートはほろ苦い方が好きだなんてどこのCMだ。なんて考えて机の中に手を入れた。
「強いて言うなら笑顔かな」
照れくさそうに言う彼女の顔はほろ苦いチョコレートを口に入れたような顔をした。
「やっと気付いたね。私からのバレンタインチョコ」
机の中からはハートの形をした箱が綺麗にラッピングされていた。きっとこのチョコの味は甘いのだろう。そんなツンデレな性格だから。
読んで頂きありがとうございます。
まぁバレンタインデーという意味を2人なりに考えてみたようです。あなたは、どんな意味をチョコに込めましたか?