彼が死んだ日。
ある日、
世界一残虐で非道の限りを尽くした、
男が処刑された日。
世界中の人々は安堵し、喜びの声をあげました。
ー悪の正義ー
「俺は、この世界が嫌いだ。
死ぬほど嫌いだ。
俺からあいつを奪った世界が、
あいつの犠牲で成り立つ世界で何も知らずのうのうと生きる奴らが、
憎くて憎くて狂いそうなぐらいだ。
だから、俺はこの世界を変えようとしたんだ。そのためなら人をいくらでも殺せたし、真っ黒に腐った、道をはずれたこともなんでもしたさ。後悔なんかしてない。
だから泣くなよ。
今の俺じゃ、お前の涙を拭えない。
いい天気じゃねぇか、最高の処刑日和ってやつだね。
あいつも上の方からの見てんのかな。
同じ場所に場所にはいけねぇよな。
一目、会いたかったけど。
なあ、お願いだから泣くなよ。
お前の涙に俺は弱いんだから。
俺がいなくなっても
記憶には、
歴史には、
俺の名前が残るだろう。
だけど、お前には忘れて欲しい。
俺みたいなやつ早く忘れろよ。
じゃあな、ライル。
幸せになれ。」
ある日、
世界一残虐で非道の限りを尽くした、
男が処刑された日。
私の世界の色が消えた。