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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第四十二話 ナゾコエ①

 わたしは安堵した。

 久々に観た竜水晶と彼女の元気さは何ら変わりないからだ。そして、未だに辿りつけていないカイとの再会に一歩近づけたと思えたからでもある。


「なんかよくわかんないけど、まぁいいか・・・レイ、あたしが破壊竜だってよく解ったね。誰にもこのことは言ってないんだけどな。だって、女子が破壊竜だって解ったら怖いじゃん。」

「まぁ、そうだな。パッとした見た目はフツーの女子と何ら変わらないしな。でも、お前が首に下げているそれで解ったぞ。」

 我は竜水晶を指さしながらそう伝えた。今まではあまり気にしてはいなかったが、この竜水晶からはとてつもない存在感を感じる・・・

 イヤ、気にしていなかったのではない。気が付かなかったのだ。

 今までは魔剣形態でしか、ティナとは接してこなかった。しかし、今は人化して気付いた?イヤイヤ、そうではないだろう・・・竜魔眼を瞳に宿した人化した形態だからこそ気付けたのだ。


 この存在感は何なのだ?

 瞳が異なるだけでこうも気になるものなのか?

 わたしが何やら考え事をしているのを尻目に彼女は話を続ける。

「あたしはティナ。年は十六歳位に見えるかもしれないけど、実際はよくわかんない。このルックスとスタイルのまま、もうずっと体は成長も老化もしてないの。お父さんとお母さんは随分前に死んじゃった・・・あたしはフツーの人間だと思っていたんだけどさ、竜化がある時に出来るって気付いたの・・・そして、あたしは破壊竜なんだって、意識の奥底にあったものが確信へと変わったんだ。お父さんとお母さんからはそういった特別な波気や魔気は全く感じなかった。だから、二人はフツーの人間であたしだけが突然変異で生まれたんだろうなって・・・正直ショックだったわ。」

 そうか・・・人間同士の子として転生はしたものの、ティ一族の血の継承である不老不死は生まれながらにして得ていたというわけか。これが転生の加護ってやつなのか?・・・

 そして、自らが転生者であることも知らぬと・・・まぁ、そんなことは解る訳がないがな。


「ティナ、ところでその水晶はどこで手に入れたのだ?両親からのプレゼントなのか?大事そうにしているから、きっと思い入れのある水晶なんだろうな。」

 ティナは首から下げている水晶を手に取り、にこやかに説明する。

「これ?これはね・・・信じられないかもしれないけどさ、ある日突然額から出てきたの。」

「何と!額からその水晶が出たというのか?じゃあ、これはお前の体の一部なのかもしれないな。」


 わたしには、それとなく解っていたことであった。

竜水晶とは破壊竜、時元竜、万力竜が代々継承していくもの。親から子へと継承していき、万が一その血が途絶えた時は、竜水晶もこの世から消滅する。

 そして、その魂は転生し竜水晶も後程再生される。何故ならば、竜水晶からは【血】を感じていたからだ。それが何の血か?ということまでは感じ取れなかったが、わたしの無限竜魔気だからこそ察知出来たと思われる。


「これはね・・・竜水晶って言うみたい。何となくそう呼ぶのが適切だよって謎の声が聴こえたの。他には、カイっていう男の子を探せとか、天空の力が使えるとかの謎の声が今までで聴こえてきたよ。」

「そうか。謎の声ってのが気になるけど、それじゃ、カイを探す手がかりは見つかったのか?天空の力は使いこなせているのか?」

 カイの居場所の手がかりが、ほんの少しでもあれば良いが・・・とわずかな期待を込めて質問をしていく。

「それがね・・・ぜ~んぜん。あたしの瞳は特殊で竜眼っていうらしんだけど、名前を念じればその人物の居場所が解る優れものなのよ。でもね、この竜眼でもカイは反応しないのよ。まったく、どうなっているのかしら。これじゃ、どうやって会ったこともない人を探すことが出来るっていうのよね。」

 やはり、そうか・・・そうだよな。わたしと同じ状態は当然であろう。運命のパートナーのティナでも見つからない存在のカイ・・・お前は一体どこにいるのだ・・・

 それにしても、謎の声とは誰の声なのだ?誰かが彼女を見守っていて、念波で色々伝えているのだろうか?


「天空の力かどうかわかんないけど、まぁ、今まで無事にこれたのは【ディール】があるからかもしれないよ。」

「何なのだ?ディールとは?チョッと見てみたいな。」

 何やら面白そうな力だな。以前のヘルクラッシュとかは、わたしが教えることは可能だが、まずは現状を知らんとな・・・

「ホントはディールウィズだって謎声ちゃんが言ってきたけど、長くて言いにくいからディールって言うようにしているの。あ、謎声ちゃんって謎の声のことだからね・・・レイ、大怪我しても知らないよ。あたしと対戦してきた相手は皆、大怪我してきたんだから。それよりもさ、まずはあんたがあたしとカイの事を知っているっていう理由の方が気になるんだけど・・・」

 

 おっと、忘れていた。それはそうだよな。そっちの説明をまずはしておかないと・・・

 それにしても謎声ちゃんとは、ティナらしい言い方だな・・・

 だが、どうする?正直に全てを話すか?イヤイヤ、フツーにひかれてしまうのがおちだろう。

 わたしは実は魔剣でカイとティナとかつて戦いを共にしていた・・・なんて言ったら、魔剣が人化するなんて、キモイとか有り得ないとか言われそうだしな。

 大体、無機物が有機物に変化すること自体が、フツーに考えたらおかしいのだ。キャンティが作り出したからこそ、彼女を知る者ならば技術力の高さから納得もいくだろう。

しかし、そうでない限り納得もされないし、鼻で笑われるのが目に観えている。

 仕方がないな・・・あの手でいくか。

「ティナ、わたしがカイやお前、竜水晶なんかのことを知っていたのは、全て予知夢のせいなのだ。イヤイヤ、笑ってくれて結構。予知夢なんてあてにならないし、何の根拠もないのはわたしも承知している。でもさ、それが夢のくせにかなりリアルなクオリティだったのだ。そこで登場したカイとは名前だけで、姿形、声などの重要ファクターは残念ながらみれなかった・・・まぁ、そういう訳だ。」

 こんな子供騙しの言い訳などで納得してもらえるとは思ってはいない。ただ、現状で全ての真実を伝えるのは、ベターな選択ではないという判断での言動である。

「わ~それって予知夢なの?あたしもそれ観たことあるよ。でもね、あたしの場合、怖い夢だったんだ・・・真っ暗闇の閉鎖空間の中に竜水晶が三個漂っていたの。その竜水晶のリアリティが高くて、フツーの夢と明らかに違うなって感じちゃった。なんか怖い雰囲気だったから、そのあと目がすぐに覚めちゃってしばらくの間、めっちゃドキドキしてた。もし、あれがホントに予知夢なら、なんだか怖いな・・・」

 ティナは今までの明るい表情から一気に不安に押しつぶされそうな表情に変わり、テンションが明らかに下がっていた。

 空気が一気に重くなってしまい、失敗したかな?とは一瞬思ったが、気持ちを切り替えていくことにした。


「ティナ、組み手をしよう。お前のディールっていうのを見せてくれ。わたしは現状、特別なスキルはもっていない。だが、剣技だけはそこそこ使えると思っている。」

 わたしは魔剣形態に戻り自ら動くことで剣技の百パーセントを出すことも出来たのだが、人であると認知されている以上、これ以上の混乱は避けたいと感じていた。

 故に両手を手刀とし、魔剣形態と何ら遜色ない状態に変化させた。見た目は手刀だが、魔剣ゼブルを両手に二本持っているのと全く同じ状態である。だが、この状態での剣技はまだ不慣れな為、出せる能力は、せいぜい七十パーセントといったところか・・・


 ティナは表情が変わり、間合いを取りながらファイティングポーズで身構えていた。だが、正直強さは微塵も感じなかったし、体幹が安定していないのか不安定さを少し感じる状態であった。

 しかし、先程までのテンション爆下がり状態は脱していて、わたしの作戦はまずまずだったと思われる。

「どうした?お前から仕掛けてきて良いぞ。」

「え?いいの?今まで対戦してきた相手は皆、先に攻めてきていたから・・・じゃ、いくよ。」

 ティナは正拳突きを一発放つが、スピード自体はたいしたことがない。わたしは両手の手刀でそれを受け止める・・・

「な!」

 と思った途端にわたしの体は吹き飛ばされ、岩壁に全身を打ちつけられた。破壊力は凄まじいが、避けることは容易の一撃だ。

「これがディールなのか?スピードこそないが、重たい一撃で驚いたぞ。だが、次はかわしてしまうがな。」

「ううん。これはディールじゃないよ。まぁ、正確にはディールで得た副産物的な感じかな。」


 何なのだ?その副産物とは?と思ったが、ティナは同じく正拳突きを繰り出した。

 わたしはひらりとかわしたが、何と拳はかわした方向に向かってくる。ティナの体自体も位置が一瞬で変わっていたのだ。再び手刀で受け止めたが、再度岸壁まで吹き飛ばされ全身を強打する。これは連続して喰らうとダメージになるな。

「スピードこそないが、破壊力と柔軟な変化には正直驚いたぞ。ディールではない副産物という意味がよく解らないが、お前の実力の一部を把握出来た。今度はこちらからいくぞ。」

 ティナは不老不死だから、遠慮なく攻撃出来るのが幸いだな。

「リーズストライク!」

わたしが放った一撃は斬撃となり、一直線にティナへと向かう。それでもパワーは抑えたので、様子見の一撃である。


「リーズストライク!」

 なんと、ティナもわたしと同じリーズストライクを放ってきたのだ。まだ彼女には見せていないし、そもそもこの技はキャンティの工房でソードマスターである彼女が練習で行っていた技なのだ。

 その技をわたしが見てAIで解析習得し、今初めて本番で使用したのだ。当然、破壊力はキャンティには遠く及ばないにしても、ティナがこの技を知っている訳がない。

 両者の中間あたりで二つのリーズストライクが空中で激突する。激しい閃光と金属と金属がぶつかりあうような高音が鳴り響いた。

 だが、それも一瞬のことで気が付けばわたしのリーズストライクは粉砕されティナのリーズストライクがわたし目がけて飛んでくる。

 剣技のことはキャンティ直伝である程度のことは出来るようになっていた。それが今回のような斬撃でも、わたしは冷静にいなすことが出来、斬撃は遥か上空で爆裂し収束した。


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