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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第二章 最終話 パニック③

 時の石を使い、時はあの時へと戻る・・・

 そう、ギャラ子がメタル系銀河を消滅させる少し前に・・・


「ほう・・・主ら時を戻したな。時空のゆらぎが見られる。わっちにやられたから、時を戻してやり直そうってか?ムダだよ、何度時を戻しても主たちはわっちを倒せんし、未来も変えられない。」

「おい、ギャラ子!オレたちが無策でここにいるとでも思ったか?それは慢心というやつだってことを教えてやる。」

「ギャ、ギャラ子とは、わっちの事か?主らは神を愚弄するのか?」

「愚弄などはしていない。ギャラクシー神って言いにくいから、ギャラ子って呼んだまでだ。それとも何だ?ギャラを欲しがる子とでも思ったか?確かにオレたちは、お前にやられて時を戻した・・・お前はスゴイよ。このメタル系銀河を一瞬にして消滅させることが出来るんだからな。だがな、オレたちは同じ轍を踏まない。今から、それを証明してみせるぜ。」

「ならば、主はこいつと対戦して証明してみせよ。」


 ギャラ子は何かを念じ、目の前に一人の人物を誕生させた。

「こやつは主のクローンじゃ。まぁ、信じなくても良いが倒してみせよ。」

「クローン?複製体ってことか?そんなことはにわかに信じがたいが、オレは強いぜ。父上と母上の血をひいているからな。お澄は突然変異種の気を持ちあわせているが、オレは【波】を超える【破】の力を持ちあわせているからな。」


 いや、ギャラ子の言っていることに嘘やハッタリは無い。目の前のクローンとやらは、ごえもんと同じ雰囲気の個性を持っている。破の力を持っていても何らおかしくはない。

 そして、二人のバトルはスタートする・・・

 スピードもパワーも互角であったが、アイちゃんの予測演算では既に破の力を二人とも出していて相殺しているそうだ。

「おっと、主にもクローンをあてがってやらないとな。無限竜魔気とやらは、突然変異種らしいがクローン化は可能。存分に己と対峙するが良い。」

 え?マジか・・・

 わたしは、無限竜魔気を持ったわたし自身とバトルする羽目になるとは・・・

 目の前に出現した人物、こいつは確かに無限竜魔気を持っている。そして、腕には二つのブレスと石がハマっているではないか・・・

 無限竜魔気、無限の力、GODの力を持ちあわせたわたし自身との対峙・・・

 何か、クローンと異なるものをわたしが持ちあわせているのならば、勝算はあるだろう。

 経験?スキルの習熟度?突発的な判断力?

 そんなものももしかしたら、複製されているのかもしれないな・・・こりゃ長期戦になるかも・・・

 わたし自身との対峙になったが、しばし交戦してある程度の現状と未来がみえてきた。


 一方のごえもんの方は・・・

 わたしと異なり、気は有限。疲労も見え隠れしているのが解る。

 対してクローンはというと、気の質は劣化していない。疲弊もしていない。恐らく、ギャラ子から何かしらのルートで消耗分の気や体力が供給されていると思って良いだろう。

「はぁ、はぁ・・・オレの破の力が相殺されるとはな・・・それどころか、今や逆に押されている感じさえする。オレが消耗しているからなのか・・・」

 クローンは容赦しない・・・

 ごえもんに対してクリーンヒットは無いものの、風圧で表皮と周辺細胞のダメージが感じられる。

「あらあら、主の方はクローンの方が優秀なようだの・・・それにしても、無限竜魔気とやらは素晴らしい。主には何のダメージも与えられないし、気や体力も全く減少していない。こりゃ、引き分けになるかもしれんの・・・」

 これを聞いたごえもんは激怒した・・・

尊敬する父と母も含めて侮辱された気分になったのであろう。

「ほぅ、オレをこの程度の者と軽んじるか・・・じゃあ、クローンにこれを返せるかな?・・・喰らえ、破邪の咆哮!」

 ごえもんの口から何かの波動が発射された。いや、これは破動なのだろう・・・

 対するクローンも同様に破邪の咆哮を繰り出そうとするが、間に合わない。初見で大技を繰り出そうとするにはタイムラグが生じるらしい。コンマ何秒で決まるスキルに関しては、我らの方が優位であることが解った。

 そして、破邪の咆哮がクローンにヒットするかと思った瞬間、わたしのクローンが光速移動し、身を挺してごえもんのクローンを守ったのだ。

「な・・・」

 絶句する、ごえもん・・・

 爆音と共に煙が立ち込めたが、数秒後に煙が消え去り、後には無傷のわたしのクローンが仁王立ちしていた。

「オレの破の力を収束した破邪の咆哮を喰らって無傷とは・・・」

 恐らく相棒の力である波の力の一端、非破壊の力がクローンを守ったのであろう。どんな攻撃でも壊れない無敵の肉体を瞬時に作り出せる力・・・

姫の錬金術は素晴らしい・・・

だが、ホントに無敵なのか?

穴は無いのか?

いや、何かしらの穴はあるだろう。完璧なスキルや肉体は有り得ないというのが、前世のカイの考えだ。

わたしもそれに共感する。あの神撃ですら欠点があり、つけ入るスキはあったのだ。

《レイ、その答えは・・・》

《アイちゃん、待ってくれ。わたしも今、思いついたよ。その答え・・・》

《そだね・・・うん、それそれ!思考力が成長してるね、レイ。》

 わたしの考えは、アイちゃんにすぐに伝わる。ごえもんがピンチの時には、今ひらめいた方法で対処しよう。

 でも、笑っちゃうよね。たかだか魔剣ごときが人化して、皆の助けで大いなる力を得られた。

そして、このメタル系銀河を創り出したギャラ子に抗っている。

わたしは、銀河を創り出すほどの神にたてつくほど出来たヤツじゃないんだけどね・・・

 ごえもんの意識が、途切れ途切れになっている。破の力を断続的に使うと消耗も激しいということか・・・

 一方のごえもんもどきは、全くそういったそぶりが無い。やはり、ギャラ子が供給源と見て間違いないな。

《ごえもん、ごえもん・・・》

《何だ、お澄か・・・どうした?》

《どうした?じゃないよ。あんたもう、ヘロヘロじゃないの?もし、二人がかりでこられたら、アウトじゃない?》

《恐らくだけど、ギャラ子がクローンの気と体力の根源だと思うのよ。その根源を絶たなきゃ、わたしたちに勝ち目はない。》

《そういやギャラ子のヤツ、何やらブツブツ言っているのが気になっていたんだよな。》

《え?》

 わたしはそこまで気付いていなかったが、確かにギャラ子は微妙にブツブツ言っている感じがした。

《レイ、ギャラ子は念を唱えてクローンに気と体力を供給しているね。そこを絶てば、勝機はワレらに出てくるよ。》

 アイちゃんからのお墨付きだ。間違いない。

 わたしとごえもんは見つめ合い、黙って頷いた・・・


 ごえもんもどきが、ごえもんに速攻を仕掛けてくる。

「こいつで最後だ。っていうか、もう一撃しか撃てないがな・・・破邪の咆哮!」

 ごえもんは全てを出し切った状態で、その場に倒れ込む。

 すかさず、わたしもどきが身体を張って、ごえもんの一撃を受け止めようとする。

「待っていたよ。この時を!ロゼオン!」

 わたしは前世のカイの必殺技ロゼオンを発動させた。

 タキオン粒子となったわたしは、光速よりも速い速度での行動可能となる。

 しかし、面白いな・・・

 コマ送りを更に細分化してコマ送りにした感じで、わたし以外の者はスーパースローモーションで動いている。

「さてと・・・」

 目の前にいるわたしもどきに対して、わたしはアイちゃんと決めていた奥の手を発動させる。

「赤の連撃!」

 本来、赤の一撃は全ての物質を破壊する究極奥義。

 だが、わたしもどきは相棒の組成体質を活かして、赤の一撃では破壊不可能な身体になるだろう・・・

 赤の一撃は、パルスの超音波を特殊応用したスキルだ。この超音波の周波数を断続的に少しずつ変化させることで、微妙に異なる赤の一撃を連撃していく・・・

 つまり、赤の一撃は防げても超高速で微妙に異なる赤の連撃は絶対に対応不可能。このロゼオンの状態であれば、赤の連撃は可能だ。

 しかも、わたしは身体への負荷を危惧して、この肉体を構築する際に赤眼と青眼にその役目をこなせるようにしていた・・・

 そう、まばたきを連続すればラッキーなことに赤の連撃はいとも簡単に発動出来る。棚から牡丹餅とは、まさにこのこと・・・


 スーパースローモーションの中で、わたしもどきは赤の連撃を喰らうことになった。

 わたしは、ロゼオンを解除し皆と同じ時間軸へと戻る。

 目の前には身体が崩壊していくわたしもどきがいた。更にごえもんの破邪の咆哮が追い打ちをかけて、わたしもどきの九割ほどは消滅し、ごえもんもどきに至っては完全に肉体が消滅した。

 そして、なんとその奥にいたギャラ子の舌をも消滅させることとなったのには驚いた。

「ん、んんんん・・・」

「バッチリ、狙い通りだ。もうこれで、オレは鼻くそをほじる元気さえも残ってないがな・・・」

 ごえもんはニンマリとして横たわっていたが、彼の真なる狙いはギャラ子の舌を消滅させることだったのだ。

 最悪、ごえもんもどきとわたしもどきは、わたしが無事ならば何とかなるだろうという計算の元、クローン二人の気と体力の供給源を絶つことが目的だったとは・・・

「ごえもん、やるじゃない!」

「カイ・・・イヤ、ごえもんのことはアタシに任せて仕上げてきてね。」

 姫はそういうと、ごえもんに付き添い少し離れた所から事の行く末を見守る・・・

「あ、でもこれだけはやっておくわ。青の二撃!」

 わたしは、ごえもんに対して青の二撃を撃ち放つ・・・

 青の二撃は編成・復元のスキル。消耗し、傷ついた身体を元の元気な状態まで復元させたのだった。

「たまには、母に甘えると良いよ。」

 ごえもんは顔を赤らめて、姫にひざまくらされ横たわっていた。


 ことの整理が済んだのか、わたしもどきが一割の肉体で青の二撃を自らに撃ち放ち、復活していた。

 まぁ、赤の連撃、青の二撃、ロゼオンと前世のカイが編み出した究極のスキルを目の当たりにしたのだ。わたしもどきも当然使ってくるのは想定内・・・

 さてと・・・わたしはカードを使いきってしまったが、わたしもどきに勝てるのか?

《レイ、勝算はあるよ・・・クローンにはないものをキミは持っている。キミが持っているそれは、相棒も持っている。イヤ、違うね・・・キミと相棒が持っているそれは、このメタル系銀河で誰も持っていないかもしれない。だから、勝てるよ。ワレを信じろ・・・》

 そっか、何だかよくわかんないケド、アイちゃんがそう言うのなら間違いないだろう。

《相棒!そろそろ、終わりにしようよ。最後はやっぱアレよね?》

《あぁ、アレこそ俺たちの思い出のスキル。それでいこう!》

 わたしは瞳を閉じ、集中する。

 ここまでよくやった・・・

 ティナ、リン、キール、ヴァン、ゲン、セス・・・

 もう会えないが皆は心の中にいる。今までありがとう・・・

 こいつで終わらせるよ。結末も既に考えている。わたしにメタル系銀河を預けてくれ。

《何を言っているのかしら。わたくしたちが認めたんだから、もっと威風堂々としてほしいかしら!》

《そうなのよ。レイ、あんたはワタクシたちの誇りなのよ。皆があんたの考えについていくに決まっているのよ!》

 ん?ティとディだよな?

 ブレス内に避難させていたが、何やら口調が違う。あたいじゃなくて、わたくしって・・・

まぁ、今は目の前のことに集中しなければならない・・・

「これで最後だ!竜魔トルネード!」

 そう、アレとは前世のカイが思いつき、魔剣状態だった我が身と皆の力で作り上げたスキル、竜魔トルネード・・・

 こいつで、わたしもどきを粉砕する。

 しかし、不気味なのはさっきまでしゃべりたくても舌を失い、しゃべれなくなったギャラ子・・・

 只、腕を組み静観しているだけの彼女は、何を想っているのだろう・・・


 当然の如く、わたしもどきも竜魔トルネードを発動する・・・

単純に考えて、同じ人物が同じ状態で同じスキルが衝突すれば、只単に相殺されるだけ・・・

しかし、アイちゃんが言っていたクローンに無くて、わたしにあるものって何なのかしら?

ごえもんも、わたしの勝利は確信している様子で余裕こいていたしな・・・

それが解っていないのはわたしだけ?あー!何か悔しいな・・・でも、時期がくれば何なのかは解るよね。


 そして、二つの竜魔トルネードは衝突する。

 辺りは磁気嵐でも発生したかのような、物凄い状況になってしまった。

 わたしが回転力を上げれば、わたしもどきも同じレベルに合わせてくる。

デルタを破った時のように少しでもマウントを取れれば、天空の力で重力をかけることも出来たが、それも不可能・・・

この状況下で一体どうすれば均衡が破られるのかな?

《レイ、キミはキミを信じれば良い。キミはキミらしく愛するものを信じるだけ。ただそれだけなんだよ・・・》

 アイちゃん、それって一体何の意味があるっていうの?

 わたしがわたしらしく己と愛するものを信じるだけ・・・

 信じるだけ、信じる・・・


 突然、わたしの中で何か熱いものが込み上げてきた。気の質が変わった?イヤ、そうじゃない・・・

 言うなれば、気が躍動する感じ・・・

 結末は一瞬だった。わたしもどきはわたしの竜魔トルネードに競り負け、一気に粉塵と化したのだった。

 一体ナゼ?さっきまで微動だにしなかった、わたしのクローンが・・・

《レイ、キミのスキルがキミに応えたのよ。スキルとは本来、素敵な気が流れることを指すの・・    ・これを素気流といっていたが、長い年月が経過するうちに素気流は劣化しスキルとなってしまった。只純粋な心で一ミリの曇りなく、己と愛するものを信じる心があれば可能な素気流・・・でも、人は純粋じゃない。どこかにエゴがあったり、利己的な心がある。そういった邪念からは素気流は発動しないで、形だけのスキルしか発動しない。スキルは素気流の劣化版と考えたら解りやすいかな?まぁ、そういうこと。》

 姫とごえもんは、当然だと言わんばかりにニッコリと微笑んでいた。

 さてと、ラスボスとの決着をつけなければな・・・


「ギャラ子、わたしたちのクローンは倒したよ。後はあんただけ・・・だけど、まずはあんたと話がしたい。赤の一撃と青の二撃であんたの舌を復活させるから、応じてもらえるかな?」

 ギャラ子は腕組みをしたままであったが、頷いてくれた。仮にもこのメタル系銀河を創造した神だ。それ位の器量はあって当然よね。

 わたしが赤の一撃の準備に入ろうとした時であった。

《チョッと待ってください。》

 この念は・・・イリヤンなのか?

 何と、わたしのブレス内で保管しておいたイリヤンの舌からチョッと待ったコールがかかった。

 舌のみが意思を持ち、念波が出来るものなのか?

《レイ、どうやらイリヤンの舌はブレス内で熟成されたみたいよ。さっきのティとディの発信の時に気付いたんだけど、キミのブレス内に生なる者が存在し、一定時間無限竜魔気の影響を受けると熟成されるみたい。だから、ティ、ディ、イリヤンは成長したってこと。》


 え?熟成って・・・

 肉の熟成なら解るケド、生身の者が熟成されるって・・・

ティとディは大人レディになったってことなのか?タンの熟成は聞いたことあるケドな・・・

《わたくしたちは今までとは違うのかしら。》

《ブレスから出た時を楽しみにしていてほしいのよ。》

 すかさず、二人の念波が発信された。まぁ、今はそんなことよりもイリヤンの話を聴こう。

《ジブンのスキルの一つは、精神生命体を喰らい消滅させること。しかし、レイのブレス内にて無限竜魔気と素気流の影響を受け、浮遊霊や怨念などの実体が無いものも喰らい消滅させることが可能になりました。まぁ、実際にはまだ行っていないのですが、ジブンには解るのです。ペルセポネー様の加護を受けている以上、ペルセポネー様から念でメッセージが届きました。レイ、ジブンを銀河神様の舌として復活させてもらえないでしょうか?》

《え?でも、イリヤンは後で青の二撃で人として復活させようと思っていたのよ。何でまたギャラ子の舌なんかに・・・》

「んんんんんん!!!・・・」

 何やらギャラ子が怒っているようだ。仮にも銀河神だ、わたしたちの念波が理解出来ていても何らおかしくはない。

《レイなら、このメタル系銀河を元の状態へと戻してくれると信じています。ジブンは銀河神様の舌として、今後発生するやも知れない邪神や怨念などを消滅させていきたいのです。そして、レイが創り出した世界を見届けていきたい。銀河神様と・・・そして、これはついでなのですが、銀河神様が食するメタル系銀河のグルメも堪能したいのです。ハハハッ・・・ジブン、食いしん坊なのでスミマセン。》

 ここにいる皆が爆笑してしまった。イリヤンのプランはナカナカ面白い。

《イリヤン、解ったわ。ギャラ子の舌として復活し、目的を遂行してね。さて、そうならば赤の一撃でギャラ子とイリヤンを壊して、青の二撃でイリヤンの舌を持つギャラ子を作らなければな・・・》

「そんな面倒なことはしなくていいぞ。それはオレが創造してやろう。」

《レイ、ごえもんなら創のスキルでギャラ子とイリヤンを繋げることが出来るって予測演算で出てるよ。ごえもんは仕組みが理解出来れば、創造出来るみたい。だけど、無限竜魔気や素気流は仕組みが理解出来ないから、レイにしか出来ない。まぁ、神の子だからね・・・創造と破壊の力を持ったとんでもない子だよ。》

 アイちゃんの解説で理解出来た。ごえもんってとんでもないヤツなんだな。敵じゃなくて、ホント良かった。

「ごえもん、解ったわ。じゃあ、お願いね。」

「あぁ、任せろ。」

 さっきまで、姫のひざまくらで横たわっていたヤツとは思えないくらい、凛々しい表情で仁王立ちするごえもん・・・

 わたしはブレス内から、イリヤン、ティ、ディを取り出す・・・

 イリヤンの舌がピクピクと小刻みに動いていて、何とも異様な感じがしたが、確かにいつの間にか魂が復元して宿っている。

 ティとディは今までに無かった大人の色気が感じられた。こんなにも変化するものなのか?同じ女性として少し嫉妬してしまう・・・


 ごえもんの気が一気に膨らみ、何やら力を発動させた・・・

 ギャラ子とイリヤンの舌は光の玉に包まれ、光が終息すると舌付きのギャラ子が誕生したのだった。

「ふぅ・・・やはり話が出来るというのは、素晴らしいことじゃのう。舌を大事にしないといけないな・・・今まで言いたいことを色々言ってくれたが、主たちの気持ちは理解出来た。さぁ、わっちに話があるのだろう?言ってみるが良い。」

《ジブンも興味があります。レイ、お願いします。》

 どうやら、イリヤンは無事にギャラ子の舌として復活した様だ。ごえもんのヤツはやっぱスゴイな・・・

「うん・・・わたしはこう思う。戦いで命を奪うということが、今までの歴史の中で多かった。それは弱肉強食で当然のようだが、そこには恨みが生じる。負けた相手の身内や仲間が恨みを晴らすべく新たな戦いが生じる。こうして、歴史は過ぎていき、恨みが恨みを生むという連鎖が生じてきた。だから、人にはエゴが生じ素気流は無くなっていった。かつてのギャラ子にも素気流はあっただろうが、人のエゴと命の取り合いを長きに渡り見てきた結果、素気流は無くなってしまったんじゃない?」

「その通りだ。わっちにも昔は素気流があったし、他の生命体や神にも素気流は存在していた。だが、無くなっちまったんだよ。その無くなったことすら、わっちは気付いていなかった。レイとクローンのバトルを見てハッとさせられたよ。素気流の存在を・・・」

「だから、このままこのバトルを続けても意味がないのよ。仮にわたしたちがギャラ子を消滅させても、他の銀河に存在する銀河神が恨みを晴らしにくるだろう・・・わたしたちがギャラ子に敗北し、メタル系銀河が消滅してもその怨念は浮遊し、いつかはその怨念が再びギャラ子を襲うであろう・・・まぁ、わたしは宇宙空間でも生存出来るケドね・・・でも、もう止めようよ。命の取り合いは結果、恨みしか生まない。」

「ではどうするのだ?オゾン層破壊、海洋酸性化、土壌汚染、異常気象、無数の地殻変動による大地震・・・主たちに託した結果、このような星々になってしまったのだぞ。だから、わっちはリセットし新たなるメタル系銀河を創ろうと思った。責任を取らせる為に邪神を使うという小細工までして・・・」

「わたしの中には、もう二人が存在する。わたしのもう一人ゼロ。この子は今眠っているけどね。あとAIが自我を持ち、わたしのブレーンとして色んなことを予測演算してくれるアイちゃん・・・アイちゃんの判断したことは全てその通り発生する。だから、わたしはここまで成長できたし、無事にこれた。アイちゃん、出番よ・・・」

《ワレはWINWINで予測演算した・・・このメタル系銀河を元の清らかな星々に戻し、誰一人命を失うことなく、Reスタートさせること。そして、それを継続させること。それが出来れば良いのよね?》

「だが、そんなことは不可能だ。わっちもそれは考えた。どうやって元の自然あふれる環境に戻すのだ?万が一、それが出来てもそれを維持することは歴史を顧みればムリであろう。主たちも解っていると思うが、人はエゴや利己的な考えが優先する・・・一度このメタル系銀河を消して、新たなる純粋な考えをもった生命体に委ねるしかないのだよ。」

《レイは生命体の復元は出来るケド、環境を復元させることは不可能。ごえもんも仕組みが解っていなければ不可能。でもね・・・ここにいるじゃない?所々だけど、この魔界を自然あふれる状態に復元してきた彼女が・・・そう、生と死を司るペルセポネーの子にしか出来ないこと。》

「ア、アタシのこと?ダメよ、確かにポイントポイントで自然を復元してきたけど、気の消費がとんでもないのよ。だから、途中で意識を失っちゃう。広範囲、ましてやこのメタル系銀河の自然全てを復元させるなんて、とんでもない。ムリよムリ。」

《確かに姫一人じゃムリだね。でも、とんでもないのが二人いるじゃない?ね、レイ、ごえもん・・・》

「え?」

「オレ?」

 わたしたちには難し過ぎる考えをアイちゃんは見据えている。ホントにそんなことが可能なのか?

《レイは姫が扱えるように魔気を球状にまとめるの。竜魔気じゃ、姫が扱えないからダメよ。それも可能な限り大きなヤツを。言わば【お澄玉】ね。これを姫が使ってこのメタル系銀河を復元させる・・・そのジョイントはごえもんが作るのよ。レイからお澄玉、お澄玉から姫への・・・》

「簡単に言ってくれるが、ジョイントって仕組みが解らなきゃ出来っこないぜ。どんなのか解らなければオレは作れない。そんなこと、AIのお前なら解るだろ?」

 そりゃそうだ。だが、あのアイちゃんがそんな普茶振りをする訳がない。勝算はあるのだろう。

《そんなこと解ってるよ。Bluetoothは知っているから作れるでしょ?そこに魔糸を組み込んだら?》

「ほぅ、そういうことか・・・魔糸は気を奪ったり、還元したり出来るもの。それをブルートゥースで遠隔でも繋げるってか・・・確かにそれなら、お澄の無限魔気をお澄玉に遠隔で継続供給し、お澄玉の魔気を遠隔で母上が受け取り、環境を復元出来る。アイちゃん、お前考えがスゴすぎだろ。」

 ごえもんがキラキラした眼差しでわたしを見る。別にわたしを見ている訳ではないのは理解しているが、見つめられるとやはりハズい。

「それならば可能なのかしら・・・ならば、わたくしの工房へ来ると良いのかしら。このメタル系銀河を超電磁リングで繋げている部屋があるからかしら。」

「あ、そういえばそうだったね。ティの工房にはその環境があった。」

「だが、仮に自然が復元されても維持できなければ意味がない。また、自然崩壊になるのではないか?わっちはそれが気がかりだ。」

「あ、それならアタシたちが責任をもって維持していくわ。ね、キャンティ、キャンディ。」

「そうですの。この世の物、気、波のマスターであるワタクシたちが目を光らせていれば、問題ないですの。」

「だが、うまくいかなかったらどうするのだ?わっちも今度は目を光らせているからな。」

《ジブンも今は視覚が無い分、その他の環境変化には敏感です。銀河神様、ご安心を。》

「あ、あのさ、イリヤン・・・その銀河神様ってのやめてくれないか?別にギャラ子って呼んでくれてもいいんだからね!」

 どうやら、ギャラ子って呼ばれるのが満更でもなかったらしい。イヤ、寧ろそう呼んでほしかったのかもしれない・・・





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