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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第五十話 マジカヨ④

 ゼータと03のバトルは白熱していた。いや、しかしゼータには余裕が感じられた。本体であるゼータの方が優勢で、03が依代に使っているセスは分身体であるから当然と言えば当然だ。

「そろそろ、いいんじゃないかの。03、もう決めてしまっても。」

「うん、そうだね・・・ある程度、この身体にも順応出来たから、本体に移っても問題ないと思う。」

 02と03はそんな会話をしていたが、正直03に勝算はないと思われた。02の時間操作が無ければゼータの優勢は変わりないだろう。それにクロちゃんの時の力はわたしにも今は使える。何かあれば、時間操作をすれば良い。

 03から溢れんばかりの気が充満するのをここにいる全ての者が感じた。

「な・・・これほどの気を扱えるのか?」

 オーラマスターであるディが驚くほどだ。とてつもない事なのであろう。

《レイ、すぐに時間を止めて!じゃないとゼータがまずいよ!!》

 アイちゃんが予測演算で導き出したのであろう。これから想定出来る事態を感じ取ったのだ。

「え?」

 わたしがそう言うや否や、ゼータは巨大な球状のエネルギー体を生み出し、ゼータを取り込む。


「な・・・」

 ゼータはエネルギー体に包まれ、その中心にいるようだ。球状のそれは何と神撃であった。

 そう、わたしが危惧していた神撃の最終形態、神撃四をやはりヤツは繰り出してきたのだ。

 高エネルギーの塊である神撃四は、当然触れることは出来ない。しかもアイちゃんの予測演算では、神撃四の内部は高エネルギー過ぎて、大気の歪みが生じているという。つまり、内部への干渉も不可な訳で、空間転移や瞬間移動などの選択肢は潰される。

 しかし、ゼータならば先程見せてくれたように、全身にバリアを張り巡らせ神撃への対応をしてくるに違いない。

《それが計算上ではムリなのよね・・・》

 え?・・・

 どういうことなのだ?アイちゃんの予測演算は絶対だ。そのアイちゃんがムリというのだ。ゼータのバリアでは神撃四に対応出来ないというのか?

「フッ、こんなもの・・・」

 ゼータは全身にバリアを張り巡らせ、神撃四の破壊を試みる。だが、神撃四は一瞬その一部が破壊されたものの、すぐに修復されてしまう・・・

「これは・・・」

 戸惑うゼータ・・・

 その経緯を見守ってきたニュー、ティ、ディの三人は動揺しているようだが、息子のカイは落ち着いていた。

 この差は何なのだ?わたしはカイから大物感を感じ取る。この子、生まれたばかりと言っていたが、このバトルを見ても平然としている。この余裕は何なのだ?


「さてゼータ、そろそろ終わりにしよう。そして、僕のものになるんだ。」

「03、お前の目的は何なのだ?アタシの分身体を使って、アタシの身体を狙う目的は?」

「目的?ボクたちの目的は、このメタル系の星々を元に戻すことだよ。この荒れはてたスティール星を観てみなよ。温暖化、海の酸性化、土壌汚染、それに伴った異常気象、地殻変動・・・あげればキリがない。だから、一度リセットしなけりゃならない。その為に生と死を司るペルセポネーの子であるキミの身体が必要なんだよ。ペルセポネーでは能力が不足している。しかし、キミの肉体は素晴らしい。明らかにペルセポネーを超えている。しかも、波の力に特化しつつも、物や気の力も十分にある。これならば、星を破壊して新たなる星や望む生命体を生み出すことも可能・・・そう見立てたんだよ。どうだい、素晴らしい企画だろう?」

 03はドヤ顔でそう言い放つ。何とも身勝手な見解。この状況を放置していたのはあんたたち神々だろう?言い返したい気持ちは山々だが、この状況を作り出してしまったのは下界の我々であるが故にそれはお互いさまだ。

「そうか、そういうことか・・・神から生まれた邪神。神の後悔の産物が邪神ということか・・・」

「ゼータ!!!」

 たまらずニューが神撃四に突撃する。ゼータを救おうと突っ込んでいったが、球状の神撃四から、一筋の閃光が解き放たれニューを貫いた。

「グハッ!」

「ニュー!!!」

 ゼータの叫びがこの場に響き渡る・・・

 何と球状の神撃四は外部にも攻撃が可能なのか・・・

「邪魔をしなくても、キミたちとはこの後遊んであげるよ。さぁ、幕引きだ。」

 03は開いた手の平をグッと握りしめた。それと同時に直径3mほどあった神撃四は一瞬で小さく収縮し、内部で大きな爆音とゼータの悲鳴が聞こえたのだった。


 黒焦げになって、横たわっているゼータ・・・

 それを見て、反撃に応じようとしているティとディ・・・

 父に続いて母が撃たれても平然としているカイ・・・

 この子には感情というものが無いのか?カイに対して少々イラつきを覚えてしまうわたし・・・


 03はすかさずゼータの身体を取り込み、母体であったセスと絶対領域に存在していた三竜姫はゼータに取り込まれ、完全体となったゼータが誕生するのであった。

「クッ!」

 ここまでは、ヤツのペースで事が運ばれている。わたしはアイちゃんと共に考えた。この状況を打破する為の方法を・・・


「ディ、いくよ!」

「あぁ、グラマスは手強いが03のヤツが身体に馴染むまでがチャンスだしね!」

 ティとディが共闘し、03に攻撃を仕掛ける。身体が馴染んでいないとはいえ、03は最強の肉体を手に入れたのだ。反射速度や攻撃に対する対応は流石としかいえない程のレベルであった。


 わたしはその間、ニューに対して生命返還を行い、傷の回復を行う。

《アイちゃん、どうする?時間操作をしても02がいる限り、相殺されてしまうよな。ティとディの二人がかりでも03は止められないんじゃないかな?》

《そうね・・・時間操作のスキルは無意味だからやめておこうよ。先に02を何とかしなきゃね。それよりも・・・表には03しか出てきていないケド、もう一体の精神生命体がゼータの中にいると思われるよ。》

《え?どういうこと?》

《ゼウスはさ、今までは通常の神撃しか使えなかった。でも今は神撃二,三,四と応用したスキルを使いこなしている。これっておかしいとは思わない?ヤツの仲間にワレたちが既に出会っているとヤツは言っていたよね?それに神撃を使いこなしているという事実・・・そこから導き出される答えは、間違いないよ。ヤツの仲間はスキル神だね。》

 何てこった・・・

 この世のスキルを全て束ねているスキル神が敵とは・・・

《スキル神は基本ベースのスキルを他者に与えることが出来る。それと自らはスキルを応用して進化させることが出来るって、ワレの予測演算では出ているよ。まぁ、スキル神が01で間違いないね。》


 03とティディコンビのバトルは継続している。03はまだ不慣れとはいえ、ゼータの波の力を用い、ティとディの攻撃に対応していた。

 ゼータの波の力は圧倒的だった。ティとディがとんでもない攻撃力をもっているとはいえ、軽くいなされてしまう。

「ナカナカやるじゃないか。準備運動としてはキミたち最適だよ。」

「バカにしてくるよな・・・まぁ、グラマスの肉体だ。当然と言えば当然だ。それを活かせないのならば、無能以外の何ものでもないがな。」

「ディ、そんなにあおるなよ。あたいはこれでも精一杯やってるんだからさ。」

 ティは時折、カイザースラッシュを放つが波の力で対応したり、ティナが得たディールで技を返されてしまい有効打にならない。

 一方のディも気の力を有効には使っているものの、ゼータの身体を有す03にはほとんど意味をなさない。

「参ったね・・・ディ、アレをするか?」

「ティ、アレか?二千年ぶりくらいか?アレをするのは・・・」

「無くしてないよな?」

「あぁ、勿論だ。」

 ティとディは見つめ合い、呼吸を整える・・・

 そして、ティからわたしに念波が届き、互いの想いを伝えあう。

《レイ、あたい達のとっておきを出す。あたい達に万が一の事があったら、アイちゃん、レイを頼むな。》

《ティ、アイちゃんの事、知っていたのか?内緒にしていたのだが・・・そっか、ブレスにお前の石があったから情報はダダ漏れだったのか。》

《レイのことはワレに任せてよ。今、予測演算で01、02、03に勝つ方法を模索しているから時間を作ってほしい。負担をかけるが、ヨロシク頼むね。》


 ティはニッコリと微笑み、03を睨み付ける。

 そして、隣にはディが立ち、ティの左手とディの右手はギュッと繋がれていた。

 二人は繋がれた手を天に掲げ、意識を集中する・・・

繋がれた手にはブレスが現れる。ティに半分、ディに半分・・・その二つが合体したと同時にティとディは人体融合を開始するのであった。

「ほぉ、面白いことをするねぇ。天才鍛冶師キャンティしか出来ないことだ。もっと楽しませてくれるのを期待しているよ。」

 03は余裕をこいてそんなことを言っていたが、人体融合ってまたとんでもないことをやってくれるな・・・

 わたし自身は人魔合身が出来る。まぁ、ブレスを使って作り手のティが自身でも出来るのは理解出来る。


 そして、ティとディの人体融合が完了し、スーパーな戦士が誕生した。キャンティとキャンディの融合なので、ダブルのキャンだから、言うならばキャブルというところか・・・

「キャブルか・・・イイネ~レイ、ナカナカ良いネーミングだぞ。久々にこのフォームになったが、溢れる力がたまんないな。ところで03、お前何でグラマスがサングラスを外さなかったか知っているのか?」

「は?サングラス?そういや、このサングラスはあまり気にしていなかったな。邪魔だし、外すか・・・」

 03はゼータのサングラスを外した。しかし、そこで03は違和感を覚えるのであった。

「な、何で瞳が無いのだ?視力はあるのにナゼ?・・・」

「グラマスはな・・・名付けをしたのだ。親でもない魔族が名付けをした場合、自身は五感の一つを失う。名付けをされた者に自身の核の一部が宿る。例え離れていても、核で絆は紡がれる。グラマスは覚悟していたんじゃないのかな?自らがお前に吸収されてしまうことを・・・だから、分身体の三竜姫やセスがお前に吸収された時点で【保険】をかけていたんだと思うよ。」

「保険だと?何の為に?」

「フッ、解らないのか?今のお前は百パーセントのゼータじゃない。核が欠けている九十五パーセントの不完全体だということを・・・まぁ、視力なんてものは波の力でどうにでもなるからな。」

《え?俺の為にゼータはそんなことをしてくれたっていうのか・・・知らなかった。愛は偉大だな・・・ありがとう、俺も愛してるぜ!必ず君を後で取り返してやるからな。》

「ふ、ふざけるな!!!ボクがこんなに苦労してゲットした最高の肉体が不完全だというのか?五パーセント欠けていたら、ボクたちの目的は達成出来ない。星を消し新たなる星を誕生させ、望んだ精神を持った生命体を生み出すには生と死の神ザグレウスの完全なる最高の肉体と能力が必要なのだ・・・その名付けした者はどこにいるのだ?核で繋がっていると言っていたな。」


 03はゼータの核を探り始めた・・・

 同時にわたしが行っていたニューへの生命返還も無事完了した。ティとディの時間稼ぎは無事成功したのだ。

「レイ、ありがとう・・・奥の手、何なら使ってくれよな。それで全てが解決するはずだ。」

「あぁ、解った。安心するが良い。」

「お前か・・・大して戦力も無いお前などが、ザグレウスの一部を持っているなどと・・・まぁ良い。お前を吸収してしまえば全ては解決する。」

「おっと、お前の相手はあたい達だよ。折角このフォームになったんだ。少しは相手してくれよ。」

 キャブルは解っていたのだ。このフォームになっても03達には勝てないと・・・

 わたしの作り手が、わたしに託していることをこの時ハッキリと認識した。イヤ、わたしではないわたし達に託しているのだ。

 わたしとアイちゃんは一蓮托生だ。左右の手にはティとディの石がハマっている。わたし達、二人のブレスでヤツを倒すのだ。


 キャブルと03の交戦がReスタートする・・・

 格段にパワーアップしたキャブルは物と気の力を最大限に駆使して、ゼータの身体を得た03と良い勝負をしていた。

 だが、要所要所で01の援護スキル、02の時間操作の邪魔が入る。02の時間操作で時間の巻き戻しがあった際にはわたしがその時間の巻き戻しをリセットして対応していった。最初、これには03や02は驚いた様子を見せたが、カイが過去にクロちゃんから時の石を得ていたことは知っていたので、納得している様子だった。

 仮にわたしが時間操作をしても02がそれをチャラにしてしまうので、お互いにムダなことはしなくなった。

《ヤツがゼータの身体に馴染む前に何とかしたいね・・・九十五パーセントとはいえ、アタイ達にとっては格上の存在だ・・・アレを使うか。》

 そう考えたキャブルは一つの石を取り出し、自らのブレスにセットする。

 この石の雰囲気は、え?ミユーなのか?・・・

 ミユー・・・かつて最強の覚醒魔人と呼ばれた彼女は魔撃を繰り出すスキルを持っていた。

 魔撃とは魔族に対して有効で、ヒットすればその肉体をえぐり再生不能にするというもの。あのファイでさえ、ミユーにやられたこともあるという。でもそのミユーのスキルが宿った石をナゼ、キャブルが持っていたのか?

《かつてミユーが有していたこの魔動石は浄魔の石という。この浄魔の石はミユーが先の戦いで逝く前に魔剣メドゥーサに自ら埋め込んだもの。本来、魔動石はその者が逝けば消滅してしまうのだが、全ての信念を石に込めれば石は消滅しない。だから、ティナの天空の石やミユーの浄魔の石は今尚残っているのだ。精神生命体の邪神には効かないが、その依代であるゼータの身体には有効だ。元神ではあるが、覚醒魔人だからな・・・》

「何やら小細工をしているようだが、ボクには01がついているからね。それに対応するスキルは可能だからムダだよ。」

「さぁ、それはどうかな?・・・魔撃!」

 キャブルの拳が03へと繰り出される。馬鹿正直にそれを受けることなく03は回避をしていたが、その風圧で自らの肉体が麻痺状態になり自然回復しないことに違和感を覚えた。

「この感覚・・・ボクは大方の傷ならば超回復して問題がない。対神であればその傷は回復しないことは理解している・・・だが、キミは神でなく只の魔人だ。その魔人ごときの攻撃で生じた麻痺が治らないとは・・・」

「あたいの攻撃を交わしたのは見事だけどさ、ブレスにハメた石は浄魔の石。つまり、グラマスの魔族の肉体はこの攻撃では致命傷になる。まぁ、そういうこった。残念だったな。」

「クフフッ、この最高の肉体に弱点があったとは・・・恐れ入ったよ。」

 03は不敵な笑みを浮かべたが、何か勝算でもあるのだろうか?イヤ、接触すら許されない状況でそれは無いだろう。それとも、01の援護スキルでも発動させるのだろうか?

 キャブルの攻撃は続く・・・

 魔撃を込めた拳の連打は流石だが、03は波の力でその拳の軌道を逸らす。圧倒的な波の力だからこそ可能な対応だが、一時して何を思ったのか03は両手を天に掲げ、動きを制止させる。

「何だっていうんだ?降参のつもりじゃないだろう?」

 キャブルが言うのももっともだ。ヤツがそんな簡単に降参するハズがない。何かを企てているのだろうか?

「イヤイヤ、この最高の肉体をもってしても、キミの攻撃は称賛に値するって評価をくだしただけだよ。でも、キミの全力はそんなもんじゃないんだろ?」

 03はキャブルをアオっているのか?そんな感じがするのは気のせいだろうか?・・・

 そんな考えが込み上げてきたが次の瞬間、このバトルは大きく事態が変動する。

 マジかよ・・・

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