第四十九話 カイキン②
見えない分身する斬撃が03を襲う・・・
それをディールで対応し、今度は逆に疑似スキルのカイザースラッシュをキャンティに押し返す・・・
カイザースラッシュの軌道上でディーノをかき消し、キャンティとキャンディに向かって、神殺しの刃が猛然と向かってくる・・・
わたしは目を背けず、キャンティの次の行動を信じて見守る。
「ディール!」
何とキャンティはディールを使い、再びヤツにカイザースラッシュをお見舞いするのであった。
焦った03であったが、二度目のディールはどうやら出せなかったようで、間一髪で亜空間へと逃げ攻撃を回避した。キールの瞬間移動を使ったな・・・
え?でも、何でキャンティがディールを?・・・
わたしは訳が解らなくなったが、キャンティが秘密を打ち明ける・・・
「レイ、わたしがディールを使ったのがそんなに意外だったか?」
「そりゃそうだ。ティナが謎声ちゃんから授かった的なことを言っていたが、その謎声ちゃんが誰なのかも解らなかったしな・・・キャンディは知っていたようだが、追及はしなかった。それよりも大きな問題が山積みだった。でも、ティナが幼女の声が謎声ちゃんって言っていたぞ・・・あ、もしかしてお前!」
「そうだ、あたいがその謎声ちゃんの正体だ。幼女の声ってのは、お前たちがおかめちゃんと呼んでいたボイスチェンジャー付きのお面を使っていたのだ。」
「そうだったのか・・・でも、ブレスが無きゃ念波は出来ないだろ?わたしとカイは、念波以上の念話が出来ていたが、あれは特殊な事例だ。あとはファイみたいなデタラメなヤツじゃなきゃ、出来ないんじゃないのか?」
「そう、だからあたいはファイ様に頼んでファイ様を念波の中継ポイントにした。そして、謎声ちゃんとして念波を送り、ティナを支えてきたのさ・・・だって、今のティナは弱いだろ?だからあたいのスキル、ディールをソードマスターの権限でティナも使えるように分け与えたのよ。いわゆる加護ってヤツだ。」
「ファイに頼んだってのはまぁ解るケド、そんなにカンタンにスキルの加護って出来るのか?何ならわたしにもその加護ってヤツを与えてほしいものだ。」
しかし、キャンティとキャンディは揃って笑い出した。仮にも今、緊迫したバトルの最中なのに・・・
「いいか、レイ。お前には加護はつけてやらない。まぁ、その必要がないからな・・・理由は、そのうち解るから今は気にするな。ソードマスターのあたしは、お前の三歩先を見据えているからな・・・」
え?マジか・・・
キャンティって、ふざけた鍛冶師と思っていたが、実際はスゴいヤツだったんだな・・・
鍛冶師として超一流だと認めてはいたが、ソードマスターってそんなにスゴいのか・・・
二刀流って、こういうヤツのことを言うんだろうな。
「ディールはな・・・剣のスキルで言えば、面擦りあげ面のようなものだ。面を狙って打ったハズなのに、実際は自らが面を喰らってしまうというカウンター攻撃。まぁ、未熟なティナを守るにはうってつけのスキルだろ?」
そりゃそうだが、今はそのせいで状況が悪い・・・
03がティナを取り込んでいて、ディールが使えるという状況だからだ。つまり、わたしたちのスキルはカウンターで返されてしまう可能性が高いということ。そして、ディールで返したスキルは疑似体とはいえ、以降の攻撃で使用可能になってしまう・・・
《レイ、ディールだけどさ・・・一応、予測演算で計算してみたよ。03・・・イヤ、今はイリヤンの身体に憑依しているから、イリヤンの臨界パワーまでは出せるケド、それ以上のパワーでのディールは不発に終わる可能性が高いよ。あと、二つ以上の同時攻撃に対してディールは使えない。一つは対応出来るけど、もう一つはムリという訳。勝算は出てきたね。》
そうか・・・
だが、イリヤンは悪くない。03に利用されているだけだ。出来れば救ってやりたいし、三竜姫も絶対領域とやらから救出してやりたい。
しかし、その方法が・・・
《イリヤンの救出方法と絶対領域に関しては、予測演算してみるよ。外部からでは察知することが不可能って言っていたケド、色々やってみるね。》
アイちゃんは出来る子だ・・・
きっと何かしらの対策は考えてくれるに違いない。わたしは、イヤ・・・わたしたちは、チームとして出来ることをしていくまでだ。
何て言っても、マスター二人とセスが一緒なのだ。何とかなりそうな気がする。相手は邪神というバケモノだが・・・
「皆、気をつけて!何かが来るよ!」
キャンディが言うや否や、多方向から何かが超高速で飛来してくる・・・
「グッ!」
「グハッ!」
わたしたち四人は多方向から飛来してきた光の矢・・・そう神撃、イヤこれは神撃三と呼ぶべきだろう。その神撃三をものの見事に喰らってしまったのだ。
倒れ込むわたしたち四人・・・
やはり、神撃二の上をいく神撃三を出してきたか・・・
神撃は脳天直下型で、破壊力は格別だ。
しかし、かわされてしまうリスクも高いという弱点がある。
神撃二は水平圧縮型で、ピンポイントでヒットする可能性が高い。
弱点としては圧縮型なので、その気配を事前に察知することが可能。
だが、今回の神撃三は恐らく亜空間からランダムに多数の圧縮された神撃を放つもの・・・
亜空間とこの世の狭間の壁を破り、そのまま直進してくるのだろう。
流石にそういった情報がない状況下で、多数の神撃をかわすことは難しい。
「クフフッ!やっと目的の身体第四弾が手に入るよ。さぁ、セス。僕の依代となるんだ。」
第四弾?そうか、三竜姫の三人の次ってことか・・・
「させるかよ!」
キャンディとキャンティの姉妹が03へと立ち塞がる。
だが、二人は足と腕に神撃三を喰らっていて、立っているのがやっとであった。
「おやおや、立っているのもままならないじゃないか。邪魔はしないでおくれよ。」
03は容赦なく、先程習得したカイザースラッシュを二人に撃ち放つ・・・
わたしも負傷していたが二人と接触し、瞬間移動で何とかかわすのであった。
「さぁ、セス・・・僕に身体を委ねるんだ。」
03はセスと接触し、両腕を押さえつけ、そのまま地面に押し倒すのであった。
「クッ!我をなめるなよ!」
03にマウントを取られた状態のセスであったが、波の力を圧縮し一気にヤツにぶちまける感じであった。
「そんな野蛮なことしちゃダメだよ。」
03はそういうと、彼女の耳たぶを甘噛みする・・・
「アッ!・・・」
セスは力が抜け、圧縮していた波の力は一瞬で消滅してしまうのであった。
「クフフッ・・・ボクは知っているんだよ。ていうか、観ていたんだよ。君とティナの夜な夜なの行動を・・・そして、ラッキーにも君の弱点を知っちゃったんだ。」
03は耳たぶの甘噛みから、耳全体にかけての刺激へとスイッチし、容赦がない。
「さぁセス、ボクのものとなるんだ・・・あ、そっちの三人さん、大人しくしていてくれてありがとう。君たちが邪魔をしないなら、このまま今日は撤収するから安心してね。」
「待て!セスに手を出すな!」
わたしがそういう間もなく、セスは03に吸収されてしまった・・・
代わりに地べたには、イリヤンの姿があり、03は何処かに消えていった。
「イリヤン!」
意識は無いようであったが、イリヤンは無傷でわたしたちはホッとした。セスを失うことにはなったが・・・
これで、03の戦力は格段にアップしたな・・・
高レベルの波の力、ティナのディールを含めた三竜姫の力、それに物と気のマイナスパワーをもってしまったということだ。
今の出来事を悔いても仕方がない。これからのことを四人で話し合い、03を倒してセスと三竜姫を救い出すのだ。
まずは神撃三のダメージ回復が最優先だ。神撃三を喰らったわたしたち三人は、不老不死ではあるが神のスキルでのダメージからは自然回復しない。
わたしは生命返還で三人のダメージ回復につとめる・・・
生命返還を使い始めた当初は、意識がぶっ飛んでしまうということがあった。
しかし、今回で三回目となる生命返還では、そのようなことは無かった。慣れということもあったが、キャンディの心の力の恩恵が大きかった。
やはり、オーラマスターは偉大だな・・・




