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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第四十八話 ニンカツ①

「さて、そろそろかな?」

 彼女はウキウキしながら、顔を近づける・・・


「ん・・・」

 何だ?眩しいな・・・

 この感覚は、何か久しい。

 ぼんやりとした意識の中、俺は目の前が開けた気がした・・・

イヤ、言い切れる。今、目の前がハッキリと開けたのだ。

「目が、目が見えるぞ・・うわっ!顔が近い近い!」


 どれ位眠っていたのかは解らぬが、目覚めた俺は視覚が戻っていた。そして、目の前には彼女のサイコーの笑顔が二センチという近距離で炸裂する。

「おはよ!」

 彼女はニッコリと微笑み、俺のことをギュッとハグするのだった。

 俺は頭の中の整理が追いつかず、少々パニック状態・・・

 そんな俺をカワイイと思ったのか、彼女は軽くフレンチキスをする。


 目の前には紫髪の可愛らしい彼女がいた。視力が無かった時に聞いた声と同じ人物で間違いない。

 前世のティナはステキな少女だったが、五感を失った俺を助けてくれた彼女も全く引けを足らないステキな存在・・・

 イヤ、それ以上の存在だ。うん、間違いない。

「あれ?人の手足がある・・・口も開け閉め出来るし、君のステキな香りも感じる。俺ってもしかして、人化出来たのか?」

「えっへん!アタシ、願いは叶える主義なのよ。まぁ、出来ないこともそりゃあるケドね・・・そもそも、アタシが願いを聞いたのって何百年ぶりかの激レアなのよ・・・もっとも今回は、アタシがあなたに惚れたから願いを聞いただけなんだからね。」

 目の前の彼女は、半分照れながらそう告げる。

 俺も少しずつではあるが、冷静に物事を考えられるようになってきた。

「あ、あのさ、俺は人化したいなんて願い言ってないよね。何でまた人化させてくれたんだ?それによくよく考えたら、石ころが人化するなんてムリだろ?一体どうやって・・・」

「そりゃ、あなたとの子供を産むってなったら、こうするしかないでしょ?・・・それに石とエッチなことしても妊活にはならないしね・・・」

 彼女は更に顔を赤くして、ボソリと呟いた。

 確かに、彼女に俺の子供を産んでくれって願いを言ったよな・・・

 それに婚姻届をキチンと出して、結婚を希望する彼女としては、相手が人でなければならないというのもあったのだろう。

 石ころと結婚とか有り得ないもんな・・・

 でも、改めて妊活って言われると、俺の方が色んな意味で求められることが多くなりそう。

 こりゃ、責任重大だ・・・


 近くに水たまりがあったので、恐る恐る自分の顔を映し、のぞき込む・・・

 あれ?これって、前世の俺の顔と同じじゃん。たまたまなのか?彼女のタイプを人化に反映させたのかは解らないが、再び同じ容姿で生きていくことになったらしい。

 ヴァンやゲン、ゼブルが見たら驚くだろうな・・・

 でも、未だに前世での自分の名前が解らない。解らないということは、知らなくてよいということなのか?・・・恐らく、そうなのであろう。

 それに前世の俺の気と、今回の気はまるっきり異なるのだ。もしかしたら、ゼブルのヤツは雰囲気の個性を使えるようになっているかもしれないが・・・

 イヤ、あいつのことだ。きっと、雰囲気の個性はマスターしているだろう。あれだけ、苦難を共にしてきたのだ。比較的容易にマスターしているに違いない。

だが、魔王ファイとゼブルが雰囲気の個性が使えても、今の俺を探し出すことは出来ない。

 容姿こそ同じだが、気はまったくの別物だからな・・・


 おっと、色々と考え込んでしまった。

 彼女に聴きたいことがあるんだった・・・

「えっと・・・まずはありがとう。俺を人化し、五感を戻してくれて、めっちゃ嬉しいよ・・・でもさ、聴きたいことがあるんだ。俺たちは夫婦になるんだろ?だったら、包み隠さず全てを話してほしい。いいか?」

「うん・・・そうだよね。内緒にしていたら、ホントの信頼関係なんて出来ないもんね。何でも聞いて!アタシはあなたと共に生きていくって決めたんだから。」

 彼女は真剣ではあるが、何やらドキドキしているようだった。初々しさがある少女を見ていると、こっちまでドキドキしてくるな・・・

「ん~・・・まずはタダの石ころだった俺をどうやって人化させたんだ?かつて、俺が知っている魔剣は、一度なった形態になれるということがあった。だが、そこにはAIが組み込まれているという根拠があったからだ。一般的に無機物が有機物になるのは不可能だからな・・・あと、君の名前だよ。名前が解んなきゃ呼びようがないだろ?いつまでも、君とかあなたとか言うのか?名前で呼ぶから、親しみとか愛情とかが生まれてくると思うんだ。」

 俺は、聴きたかった重要案件を彼女にぶつけてみた。

 彼女の方も、そりゃそうよねと言わんばかりの表情でコクリと頷いくのであった。

 解っていたなら、もっと早く言ってほしかったが、言えなかった理由というのもあるのだろう。俺は黙って静観した・・・

「あのね、どこから話せばいいのかな・・・話は長くなるけど、大事な話だから落ち着いて聞いてね・・・」

 俺も黙ってコクリと頷く・・・

「アタシの名前はゼータ。覚醒魔人の称号を与えられているの。でも、ホントの名前は別にあるんだ・・・ザグレウス、これがアタシのホントの名前。なんか可愛くない名前でしょ?色々あって、昔の名前を捨てて、大魔王にゼータの居場所を任されたの・・・」

「居場所って、どういうこと?ゼータを任命されたってことなのかな?」

「う~ん・・・そうじゃなくて、大魔王から頼まれたって感じかな。アタシはね・・・このメタル系銀河、イヤそれ以上かな・・・その中で最高の錬金術師でもあるのよ。だから、あなたを石から人へと錬金術で変化させた。五感は勿論、生殖機能もある人そのものにね!これで、あなたとの子供も・・・」

 ゼータは頬を赤くしながら、モジモジとし始める。まぁ、細かい経緯は人それぞれあるだろうから、これ以上は詮索しない・・・

「解ったよ。俺は、ザグレウスもステキな名前だって思うケドな。まぁ、名前を捨てたっていうなら、これからはゼータって呼ぶよ・・・でも、俺の名前が無い問題は残るケドな。」

 俺は苦笑いしながら、頭をポリポリかく・・・

 そんな俺を見て、彼女はニッコリと微笑むのだった。

「心配しないで!アナタの名前は、アタシがつけてあげるわよ。本来、生みの親が名付けを行うもので、それに関してリスクは生じない。でも、それ以外の者が名付けをするには特別なリスクが生じるの・・・」

「特別なリスクって・・・どんなリスクか知らんけど、君にそんなリスクを与えることなんか出来ないよ・・・でも、婚姻届を出すには名前がなきゃダメだし、困ったな・・・」

「そんなこと気にしないで。特別なリスクっていっても、大したことじゃないからさ。それに名付けが出来るには、一定の魔気が無いとムリなのよ。それに、アタシがどうしてもつけたいし、そうしなきゃいけないのよ・・・」


 そんな規定みたいなのがあるのか・・・

 だれでも、名付けが出来るんじゃないんだな・・・

 そうしなきゃいけない理由?何か訳アリなのかな?でも、色々聴きすぎているからな・・・

ここは、これ以上あまり詮索しない方がいいか・・・

 ゼータはおもむろにサングラスを取り出すと、それを自らにかけて集中する。

「このサングラス、可愛いでしょ?お気に入りなのよ。いつもはこのサングラスをかけていたケド、錬金術の時は外しているの・・・さてと、あなたの名前、どうしようかな?カッコいいのがイイよね?・・・イシノムテキとか、ストーンフェニックスとかはどう?」

「イヤイヤ、それって競走馬みたいな名前じゃん。それに長すぎて言いにくいしな・・・俺、一つ良いなって思うのがあるんだ。」

「えっ?なになに?聞かせてよ。」

「ニュー・・・君の名前がギリシャ文字のゼータでZって書くだろ?それを九十度回転させるんだ。そしたらさ、Nになってギリシャ文字のニューって読めるじゃん。でも、これって覚醒魔人の名前だから、ムリだよね・・・」

「それ!それでいこうよ!サイコー・・・ウフフッ、嬉しい。夫婦でこんな近い名前が付けられるなんて・・・聴こえているでしょ?大魔王、覚醒魔人ニューの誕生、問題ないわよね?」


 え?覚醒魔人の誕生?俺、そんなことは求めてないのに・・・

 何か話が違うところにズレていないか?でも、ゼータはノリノリだしな・・・

 大魔王って、まだ会ったことないケド、やはり覚醒魔人の任命権限は大魔王なんだな。でも、俺なんかが覚醒魔人だなんて、どう考えてもムリでしょ。


 そんなことを考えていたら、俺に光輝く雷が天から直撃し、物凄い重圧と共に何かが弾ける感じがした・・・

 何かとてつもない魔気が、全身に溢れる感じだ・・・

 ゼブルとドラゴノイドフォームになった時に何か似ている感覚だな・・・

「大魔王の許可が出たよ。今、ニューに覚醒魔人の認可が出たから、圧倒的な魔気が出る感じになったでしょ?大魔王はね、アタシの頼みなら大体は聞いてくれるんだから。」

 ゼータはニッコリと微笑みながら、ドヤ顔で話す。

 それが何故だかしらないが、俺はどうやら覚醒魔人へと格付けされたらしい。ニューの席がたまたま空いていたっていうのも、あるのかもしれないが・・・

 大魔王が、どういった判断基準で覚醒魔人を決めているのかは俺の知る所ではない・・・

 でも、ついさっきまで只の石ころだった俺が、魔人の上位種である覚醒魔人になったのだから驚きだ。

 イヤ、驚きと言うよりも笑うしかないよな・・・

「ねぇ、ニュー・・・覚醒魔人同士の子って、やっぱとんでもない存在になっちゃうのかな?何かアタシ、楽しみで仕方ないよ。これから、二人で妊活しなきゃね。」

 ゼータはウキウキした表情でそう話すが、俺は童貞なのでそっちの方はからっきし自身が無い・・・

 やっぱ、こういうのは男がリードすべきものなのだろうが、不安しかないな・・・

 ゼータもそっちの経験は無いって言っていたケド、折角楽しみにしてくれているのだ。誰か経験豊富な人から、情報なり必勝法なりを授かるしかない。

 そういや、考えがそれてしまったが、大魔王って女性の願いなら聞いてくれるのかな?それとも、ゼータの願いだったから聞いてくれたのだろうか?

 まぁ、また困ったことがあったらゼータに頼んでもらえばイイよな。極力、自分たちで何とかしたいものだが、ムリなものはムリだからな。

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