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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第四十七話 マックラ④

「じゃあ、願いはこれにする・・・俺の子供を産んでくれ。」

 あちゃ~とんでもないこと言っちまった。

 顔から火が出そう・・・って、顔なんか無いんだケド、それだけ恥ずかしかったのだ。


 前世での後悔・・・

 童貞だったこと。

当然我が子を授からなかったこと。

 男として、童貞を捨てたいってことは誰しも考えることである。八百年前、ティナを愛したがトラブル続きでチュー以外のエッチなことは出来ずじまい・・・結果、俺は死んでしまい、その願望は叶えられなかった。

 両親に孫を抱かせることも出来なかったし、ティナとの愛の結晶を授かることも叶わなかった。


 誰でもいいって訳じゃないけど、俺を自らの手元に置いてステキな声を聴かせてくれた彼女は魅力的だ。

 こんな石ころの状況で子供が出来る訳ないと思ったからこそ、男の願望をぶちまけただけのこと・・・

 それに彼女も石ころの戯言で笑ってくれるだろうという想いもあったのだ。人を笑わせることはステキなことだからな。

「うん、いいよ。で、子供は何人欲しいの?アタシは男の子と女の子が一人ずつ欲しいな・・・あ、そうそう、未婚の母はイヤだから、ちゃんと籍は入れてよね。楽しみだなぁ~。」

 オイオイ、石ころだからってバカにしてるのか?出来る訳ないじゃん。神でもない限り、石ころが人化など有り得ない。イヤ、そんなことは神でも難しいだろう。

 俺がそんなことを考えていると、その念を感じ取って彼女は話を続ける。


「勘違いしないでほしいんだケド、アタシは尻軽女じゃないからね。誰でもイイって訳じゃないんだから・・・キミは魅力的だよ。あのクロ爺が認めただけのことはある。あ、これから旦那様になる方にキミっていうのはおかしいよね・・・アナタの思考はステキだよ。思考があって行動に移るんだから・・・勿論、その石の形態はアタシが何とかしてあげるから心配しないでね。愛してるよ、ア、ナ、タ。」

 彼女はそう言ってくれた。

 石ころの俺に・・・

 男の欲望を言ったまでなのに・・・


 そりゃ、姿は見えないが彼女は魅力的なのだろう。こんな俺を愛してるって言ってくれたことには感謝しかない。

 でも、現実問題として有り得ない。問題が山積みだし、そんなに簡単に結婚だ、出産だなどとは出来ないに決まっている。

 いくらポジティブ思考の俺でも、考えが追いついていない。彼女の思考は規格外とは言わないが、俺の予想を三段階くらい超えている・・・

「じゃあ、おあいこだね。アナタもアタシの予想を三段階超える存在なんだよ・・・あ、一つだけ言っておくけど、アタシもそういったこと・・・その・・・エッチ的なことは未経験なんだから・・・」

 彼女は震える声でそうつぶやいた・・・

 女の子がそういったことを言うのは、相当な勇気がいるであろう。勇気を振り絞って、言ってくれたのだ。俺の事、信じてくれているんだな・・・

 俺もその勇気と誠実さに行動で応えなければなるまい。とはいっても、所詮石ころでは行動不能なのだが・・・

「あ、あのさ・・・でも、急過ぎないか?お互いにあまりというか、ほとんど何も知らない仲なのに、突然結婚とかおかしくないか?」

 フツーに考えて、極々当たり前のことを言ってみた。さっき、初めましての出会いだったのに、いきなり結婚とかおかしいだろ。

 まぁ、俺が彼女との子供が欲しいなんて言ったのが原因なのだが・・・

 前世で未練だったことを願望として言ったまでだ。彼女が俺の願いを拒否ることも可能なハズなのに、即答でOKしてくれたのは正直驚きしかない。


「何でそんなこと言うの?アタシのことを好きになってくれて、願いを言ってくれたんじゃないの?・・・アタシはね、誰とでもイイって訳じゃないんだよ。アナタだから、イイよって言ったんだからね。アナタの思考がとてもステキだと思ったし、しかもあのクロ爺が認めた人だから間違いないって思ったのよ。」

 クロちゃんって、神界ではどういう存在だったんだろう?下界では占師として、よく当たると有名な存在だった。そりゃ神からすれば、人がどんな生を送ってきたかとか、どんな性格や人間性かなどは解るであろう。

 特にクロちゃんは時の神・・・

 人の過去や未来などを知るのは容易いに違いない。

「クロ爺はね・・・人を見極める力がスゴイのよ。人の本質がきっと見えてくるのね。だから、取り繕ったり誤魔化したりすれば、すぐに見抜き相手にしない。何でもDNAを気で探れば、ほぼ百パーセントに近い状態で色々見えてくるんだって・・・だから、クロ爺が認めたアナタはきっと物凄いステキな人だったのよ。もっと自分に自信を持ちなさい。」

 そういや、手相を見るという口実で人に直接接していたよな・・・あれって、そういうことだったのか。俺は物凄い神と関わっていたんだな・・・

「解ったよ。ゴメン・・・君の気持ちをもっとくむべきだったね。女の子にこうまで言わせて、先に進まなきゃ男が廃るってもんだよな・・・じゃあ改めて・・・今は石ころの身だけど、俺と結婚してくれるか?」

 目は無いので、彼女の目を見ながら伝えるという訳にはいかなかったが、精一杯の気持ちを込めてプロポーズをした。

 石ころの身なので、傍から見たらおかしな光景だとは思う。

 しかし、俺は真剣に伝えたし、彼女も真剣に聞いてくれていたと思う。

「はい!ヨロシクお願いします・・・じゃあ、早速取りかからなきゃね。アナタ・・・しばらくの間、眠っていてね。」

 何のこと?とは思ったが次の瞬間、俺は意識が無くなり、深い眠りについたのだった。

 そう、深い深い眠りに・・・

 眠りに入る直前、聞かなきゃならないことがあったよな・・・

 とは思ったが、意識が無くなる方が早く、そんなことはうやむやになってしまうのだった・・・


 ティナはセスとの約束を守り、人前でべたべたくっつかないでいた。それは程良い距離を保っての行動であって、決して距離を置くことではなかった。

 わたしたちは、ニャンの能力とキャンディの気を探る力で厄災潰しの旅を順調に行っていった。

 時間があれば、わたしはキャンディに特訓を付き合ってもらっていた。

 今までは、スキル発動時にスキル名を言っていたが、特訓の成果で全てのスキルを無言で発動出来るようになったのだ。

 そんなこと・・・と思うかもしれないが、事前に次の手を明らかにするのと、そうでないのとは格段に場の優劣に差が出る。それは、相手に対策を講じられることが無くなるからだ。


 王気も習得出来た。だが、この気はヤバイ・・・

 身体への負荷がハンパないのだ。同時に、長時間使用すると意識が持っていかれてしまう。まぁ、神の肉体用の気を下界の者がムリに使うというのだ。身体にそぐわないものを使用すれば、しっぺ返しを喰らうのは当然である。

 とはいえ、瞬間的に使う分には心身ともに何とか耐えることが出来るようになってきた。

 試しに一閃を使ってみたが、その威力は凄まじいものであった。オーラマスターのキャンディが驚くくらいだ。自信をもって良いと思う。

 空間転移や瞬間移動も可能となった。今までゲンが使用するのを近くで見てはいたが、これは器用でなければ出来ないなと実感した。わたしの場合、繰り返し特訓を行った結果出来るようになったのであって、すぐに出来るようになったゲンは尊敬に値する。

 雰囲気の個性と同時に使っていけば、会いたい相手にもすぐに会えるというわけだ。


 ティナとイリヤンに関しては変化が無い・・・

 ティナは、天空の力の【て】の字も感じられない。ディールがあるので、外敵からは身を守ることが出来てはいる。

 だが、彼女本来の爆発的な戦闘力とは程遠い・・・天空の力は一体どうなっているのだろうか?

 アイちゃんに予測演算してもらっているが、やはり、どこかに特殊封印されている可能性が高いという見解から変わっていない。彼女の力を恐れた者がしたのだろうか?


 イリヤンはこれまた、能力の【の】の字も感じられない。戦乙女マリンと同じ姓を持つならば、恐らくスキルは二つあるだろうとアイちゃんの見解だ。

 戦乙女マリンは、両手で触れた者に生と死を与えることが出来ていた。これは、生と死を司る神ペルセポネーに与えられた加護からのスキル・・・

 ならば、イリヤンも戦乙女イリヤとしてのスキルを二つ持っていても何ら不思議ではない。

 やはり、生と死を与える何かをもったスキルなのであろうか?

 当の本人は全く解らないということで、現状は戦力にはなっていない。まぁ、当面問題がないのでスキルの目覚めに関しては、長い目をもって見守っていきたい。


 深夜一時・・・

 セスは違和感があり、目が覚める。

 寝床の隣には、何とティナの姿があったのだ。彼女の寝室はここではなく、別部屋・・・

 添い寝程度なら可愛いものかと、彼女を起こすことなくこの場はスルーして、再び眠りにつく・・・


 翌朝、目が覚めるとティナの姿はセスの寝床にはなく、自らの部屋へと戻っていた。

 寝ぼけて、セスの部屋に入ってきたのかと思ったが、日中あえてこの件は突っ込まずにいた。

 ニャンは相変わらず、ティナと仲が良い。

 わたしがニャンを抱こうとすると、シャーと威嚇される始末・・・

 キャンディやイリヤンも同様で、ニャンを抱くことはおろか触れることすらさせてもらえない。

 セスが言っていたもんな・・・

 ニャンが人に懐くのは珍しいって。

 ティナには、他の人に無い何かを感じているのだろうか?それとも、人間性を見られているのだろうか?動物はそういった野生の勘的なものがあるから、ある意味敏感なのかもしれないな。

 しかし、もし人間性を見られているのなら、正直ショックである。わたしは心優しいレイちゃん(自称)なのだから・・・


 そして、深夜一時・・・

 セスは気配を感じ、目を覚ます。

 隣には再びティナがいて、今回は片手を恋人つなぎしていたのだった。

 手を離そうとしたが、思ったよりもティナの握る手が強く途中で断念した。

 まぁ、手をつなぐくらいはイイか・・・

 と、この日もそのままセスは眠りについた・・・

 朝、ティナの姿はなく、自らの部屋へと戻っていた。

 ティナは、この日の日中もニャンを抱っこしながら食事を取ったり、移動したりしていた。

 日中は連日の夜の様にセスの近くにいたり、手をつなぐことは無かった。


 この日の深夜一時・・・

 セスは寝床で横になっていたが、再びティナが来るのではないかと気になってナカナカ寝付けなかった。

 そんなセスを察知したのか、ニャンはセスの懐に転がり込むように入って来た。まるで湯たんぽのように・・・

 そんな温かいニャたんぽを抱いていたら、いつの間にやらセスは安心して睡眠に陥った。

 懐にいたハズのニャンは、一時後には別の場所に移動して寝ていた。そして、ニャンがいたポジションにティナが入り込んでいたのをセスは気付かなかったのだ。


 ふと目を覚ましたセスの直近には、ティナの顔があったのだ。セスとティナの瞳の距離は、わずか二センチほど・・・

 この二日間ほどティナが寝床に入ってきていたが、ここまで至近距離なのは初めてであった。

 流石にドキドキ感が止まらないセス・・・

 彼女を起こそうと、動こうものなら自らの唇とティナの唇が触れるかもという状況・・・

 致し方なく、この日も彼女をそのまま寝せ、自らも再び睡眠を取るのであった。


 翌朝セスが目を覚ますと、やはり予想通りティナの姿はここにはなく、自らの部屋へと戻っていた。セスは流石に約束が違うと、ティナに一言言おうとした。

しかし、明るく元気にニャンと戯れている彼女を見ていたら、そんなことはどうでも良くなってしまった。

 天然で無邪気な彼女はステキなの・・・

 そんな気持ちに少しずつなっていたのをセス自身はまだ気付いていない・・・


 そして深夜一時・・・

 セスは寝床を壁際につけ、部屋の鍵もかけ、この三日間と同じことがないように万全の体制を取っていた。

 なるべくなら、寝ないでおこうと思ってはいた。

しかし、日中ハードなバトルがあったこともあり、いつの間にか深い眠りに陥っていた。


 そして、気が付けば背筋に気配を感じていたのだ。

しかも、今回は気配だけではない。彼女の両腕と両足で、自らの身体がガッチリとクロスされてるのだ。

 寝る前、寝床を壁際につけたことも仇になっていた。壁側に顔を向けた状態で寝てしまったのだ。

 目の前は壁、背後にはティナ・・・

 特に足は彼女の足が絡まりついて、身動きが取れない・・・

 流石に、これはまずいの・・・

 そう思ったセスは、強引に彼女を引きはがそうと行動に移す。

「ダ・メ・よ・・・」

 寝ていたと思っていたティナは、何と起きていたのだ。絡めた腕と足に力が入り、引きはがす事がままならない。


 ならば、力ずくで立ち上がるまでなの・・・

 そう思ったセスが立ち上がろうとするや否や、ティナはセスの耳を甘噛みする・・・

「あっ、んっ・・・」

 セスは力が抜けて腰砕けになり、元の位置に戻るだけだった。

「あたし、約束は破ってないよ。人前では、べたべたしない・・・だから、人前じゃなかったらOKなんだよね?」

 ティナは耳元でそう囁くと、セスの弱点である耳にそっと息を吹きかけるのであった。

 そう・・・ティナはこの数日でセスの性感帯を見つけていたのだ。

 女性には性感帯があるもの・・・

 同性ならではの知識で、セスを翻弄するティナ・・・

 彼女は生殖器などが無い分、耳に性感帯が集中していたのだ。

「もう、許して・・・お願い、離れて欲しいの・・・」

 力が入らないセスはティナに懇願する。

「ダメよ。昼はこういうことが出来ないから、今はタップリと甘えたいの・・・あ、そうそう。このことを皆に言ったら、セスの弱点もバラしちゃうからね。」

「そ、それは困るの・・・」

「だったら、これは二人だけの秘密だからね。あと、一睡もしないで起きておこうとしてもムダだよ。絶対にあなたは寝ちゃうんだから。」

「え?それはどういうことなの?」

「それは、教えられないよ。教えちゃったら、こういうことがもう出来なくなっちゃうじゃない。」


 ティナはニャンに特殊なエサを毎日あげていた。それは、一定時間後に体表から催眠効果のあるガスを出すエサだった。

 とある町でティナが見つけたものであったが、そんなことをセスは知る由もなかった。

こうして、二人だけの秘密の甘い一時は、毎晩のように続く・・・


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