第四十七話 マックラ②
俺は考えた・・・
更に考えた・・・
めっちゃ考えた・・・
「ウケる・・・やっぱ、キミって面白いわ。」
さっきの謎の声がまた聴こえた。
何なんだ?俺の考えが解るのか?イヤイヤ、有り得ないだろ。念波も念話も機能しなきゃ、考えが伝わることなんて有り得ないし・・・
ちきしょう!何か面白くないな。もし仮に、俺の考えが伝わっているんなら、話が一方通行じゃないか。俺にも出来ないのか?相手の考えが解る方法はないのか?・・・
ん?待てよ・・・
これなら、出来るんじゃね?
今の俺に出来るのか?かつての俺ならば出来ていた魔糸・・・
魔糸は本来、相手の気を自らに取り込んだり相手に還元したりするシロモノ。
だがそれを応用して、相手の思考を読み取ったり、相手に自らの思考を送ったりすることが出来るんじゃないか?
何故ならば、意思というものは気を使って生まれるものだから・・・
気を使って意思が生まれ、それを言葉にして相手に伝える。
だから、無気力のヤツには自分の意思が無い。無意識で行う行動は気を使っていないから、記憶になかったり理解不能な行動になる・・・
試したいが、周囲にいるのは俺のことを面白いと言ったヤツのみっぽい・・・
他には心臓の鼓動は感じない。
ん?でも、何か感じるものもあるな・・・
心臓の鼓動は無いが、ゆるりとした存在を感じる・・・
何なんだろう?
人などではない存在?
もしかして、精霊とか妖精とかの類のものなのかな?
聴覚だけ研ぎ澄まされた、今の状況だからこそ感じることが出来たのかもしれないな・・・
ヴァンが世話になった大自然の力っていうのも、この領域にあるのだろう。
魔糸を使って意思の疎通を図ってみたいのは山々だが、得体の知れないヤツと接触するのはリスクがデカイ。とりあえず、魔糸を出すことが可能なのかだけでも試すとするか・・・
俺が魔糸を出すことが出来たのは、放屁の如くってアドバイスがあったからだよな・・・
今の俺に出来るのか?
口や手足どころか、放屁を出す尻の穴ですら、あるのかどうか解らないこの状況で・・・
まぁ、練習だ。やってみて、出来なければ仕方がない。やらないで後悔するよりもやってみて後悔する方が建設的である。
口が無い・・・ということは、食べる必要が無いということ。即ち、飲食にて生じたガスが体内に発生しないということ。
だから、今の俺には放屁は有り得ない・・・
だとしても・・・やってみようじゃないか。要は、放屁を行う感覚だけイメージして、やってみるだけで良いのだ。
転生して何もない今の自分・・・
その可能性を知ることから始めなければ、何も始まらない。
俺は踏ん張った・・・
とりあえず、踏ん張った・・・
頭痛がするほど、踏ん張った・・・
そして、出たのだ。
沢山の魔糸が・・・
お~出た出た!波糸に比べて、こっちの方がやっぱ独特なオーラがあるな。理論上はこれで相手の意思をくみとり、こちらの意思を伝えることが可能なはずだ。
「ウフフッ、面白すぎるよ、キミ!・・・何てサイコーなんだ!」
まただ、あの声が聴こえてきた。
でも、この声って何て可愛らしい声なんだろう。声優って言われても、何か納得しちゃうほど声に色艶があって魅力的だ。
「ありがとう。褒めてくれて・・・嬉しいよ。でもさ、キミのフォルムからまさか魔糸が出てくるとは思いもしなかったよ。」
え?やっぱ、俺の念が伝わっているのか?それに魔糸が見えるなんて・・・
魔糸は上位魔族じゃないと観えないって、前に聞いたことがあるが・・・
もしかして、覚醒魔人級のヤツが目の前にいるのか?
あ、俺の思っていることが伝わっているのなら、女の子にヤツなんて言っちゃいけなかったな。
ゴメン・・・俺はどうやら転生した者で、まだ自分自身のことも良く解っていない無礼なヤツなんだ。勘弁してくれ。
「ん?そんなこと、別に気にしてないよ。それよりも笑ったのなんて、いつ以来だろう・・・何百年、いや何千年ぶりかな?ワン、滅多なことじゃ驚かないし、笑いもしないんだよね。」
ワンって、何なんだろう?話の流れ的に、自分ってことなのかな?初めて聞く単語だから解らなくて・・・
「あぁ、ゴメン。チョッと言葉が異なる場所に長期でいたからさ、ついそこの言葉が出ちゃって・・・そう、ワンは自らのことを言う言葉だよ。」
そうか・・・独特な言語を使う地域もあるんだな・・・
なぁ、単刀直入に聞く・・・
俺って、変わった姿しているのか?さっき、俺のフォルムがどうのとか言っていたし、五感が無かったり手足の存在が感じられないからさ・・・
やっぱ、人ではないんだよな?・・・




