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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第四十五話 マシマシ③

「ねぇ、キャンディ。あんた、あたしたちと一緒に旅しようよ。あたしたちは、カイって男の子を探すことと、この混沌とした世の中を少しでも良くしたいってのを目的に旅してるんだ。でもさ、あたしはヨワヨワだから、アタッカー的な仲間を探していたの。きっとこの出会いは、キャンティが繋いでくれたものなんだよ。どうかな?・・・」

「そうですよ。共にこの世を良くしていきましょう。ジブン、鍛冶師になる為にキャンティ師匠の弟子になりました。この世を良くするための作品を作りたいという想いで・・・もっと色んなことを知りたい。沢山の知識で良い作品を作りたい。あなたのことももっと知って、気について学びたいです。」

 

 わたしも同じことを考えていた。

 彼女のスキルは衝撃的だったしな・・・

 今のパーティに欠けていたピースを埋めるには、うってつけの人物だ。


 あれ?そういえば、ティナの言葉が普通になってるな。何でだろう?

《ね?ワレが言った通りでしょ?時間が解決してくれるって。レイ、でもね・・・ティナは昔の言葉を無意識で使った影響で脳は活性化され、ディールの精度も上がったみたいって予測演算で出たよ。》

 えっ?脳とディールって、そんな繋がりがあるのか・・・

でも、今はその案件は後回しだ。

重要なのは、キャンディを仲間に迎えることが出来るか否かで戦力も大きく変わってくるということ・・・

 今、考えるべきことは、そちらの案件なのだ。

「アタイがお前たちと?イヤイヤ、デメリットの方がデカイよ。自分よりも能力が劣る者と一緒に行動したら、ストレスが増える一方じゃん。お断りさせてもらうよ。」

「では、わたしがお前よりも能力が高ければ問題ないのだな。」


 わたしは気を少しずつ放出し、戦闘態勢に入る。

 一方の彼女は、やれやれという表情で間合いを取り、応戦体制に入った。

 さて、そうは言ってもどうするか?・・・

気の質や量に関しては、わたしにも絶対的な自信がある。無限竜魔気は、そこに突出した独特な気だからな。

 だが、彼女のオーラマスターとしてのスキルはハンパない。それにあの変形する魔槍も得体が知れんしな・・・

 わたしが自問自答している最中、アイちゃんが助け舟をだしてくれた。

《レイ、お待たせ。プロテクション、サーチ、それにディーノの予測演算が完了したよ。ディーノは頼まれてなかったけど必要かなって・・・》

 待ってました!!

 流石はアイちゃん・・・

 プロテクション、サーチ、ディーノはわたしがGOサインを出せば、アイちゃんの誘導でスキルは発動可能になった。

 でも、あくまで疑似バージョンのスキルなので、オリジナルのキャンディには敵わない。それは致し方ないが、全くの無策よりかは心強い。

 

 まずは竜魔トルネードで、様子をみよう・・・

 わたしの中で必殺技ではあるが、ハンパなスキルでは彼女には通用しないのは明白だ。

 後のことは、アイちゃんと相談しながら考えよう・・・

 なんていってもアイちゃんは、奇才キャンティが作り上げたブレーンなのだから、優秀なのは間違いない。

 この時、わたしの中でいつもより感覚が研ぎ澄まされている感じがした。それは無意識でアイちゃんのことを褒めたことにより、彼女が喜びめっちゃやる気になっていたのだった。そんなことを知る由もなかったが、嬉しい誤算であった。

「竜魔トルネード!」

 わたしは両手を手刀状に変化させ、天にかかげた。無限竜魔気をフルスロットルさせ、その力を回転力にまわし飛行する。

 巨大なドリル状になり、キャンディの元へと突撃を試みる。

「プロテクション!」

 予想通りキャンディは、防御に特化したスキルを発動させた。このプロテクションは、魔糸に魔気を付与しバリア状になったものだ。

 しかも、厄介なことに魔糸に相手が接触すると魔気が彼女に奪われるということだ。

 フフフッ、だがこれから起こることは彼女にとって誤算になるに違いない。そう考えるとバトル中ではあるが、自然と笑いが込み上げてくる。

 オーラマスターの彼女は、わたしの気が異質ということは把握していた。その予測を超えることが出来るのか、ワクワクが止まらない。


 ドリル状になったわたしの先端が彼女のプロテクションと接触する。当初の想定では、バリア状になった魔糸と激しくぶつかりあうと思われていた。

 しかし、彼女はわたしの竜魔トルネードに対して作戦を変更し、強固になった魔糸を柔軟にしてきたのだった。

 そのことによって、多量の魔糸は回転して突き進むドリルに絡みつき、両者の動きは停止する事態となった。

 これにはわたしも驚いたが、何とアイちゃんは想定内だった。

《レイ、予定通りよ。このまま無限竜魔気を使い続けて回転を再開して・・・この身体が耐えることが出来るレベルまでね。》

 そっか、つまり大量の魔糸を引きちぎれってことか・・・

 わたしはギアを上げていき、竜魔気を少しずつ上げていく。一気に上げることも可能なのだが、身体がもたなくなるからな・・・徐々に身体を慣らしていったほうが無難なのだ。

「ほぉ、この状況でまだ抵抗するか・・・じゃあ、そのパワーの根源の気を頂くとするよ。」

 彼女は、わたしに絡みついた魔糸から、わたしの気を吸収し始めた。時間にして、十秒ほどであろうか?お互い、時が止まったかのような時が経過する・・・

「グアッ!」

 彼女が苦痛の叫びをあげる・・・

 色白でキレイだった全身は、どす黒くまがまがしいものへと変貌したのだった。

「残念だったな。魔糸の特性は理解しているから、その先の展開も解っていたのだ。わたしの気は異質の無限竜魔気。今の状況は、水に油を流し込んだと言えば理解出来るだろう。」

わたしはここぞとばかりに回転力を上げ、弱った彼女目がけて突入を再開する。

「こ、こんな気が存在するのか?魔気以外の波気と王気はアタイも体内に吸収したことがある。だが、お前のは吸収不可能な気・・・」

 苦痛にあえぐ彼女は、体内にある異質の気を吐き出していくのだった。

 彼女の魔糸は遂に引きちぎれ、プロテクションは解除された。あと数メートル突入すれば、わたしの攻撃は彼女にヒットする。

 異質の気を全て吐き出した彼女にわたしは遂に攻撃をヒットさせた・・・

 ・・・かに思えたが、ドリル状になったわたしは激しく吹き飛ばされる。

 驚きを隠せない状態の中、地べたに横たわってしまったわたしの目前に、彼女は平然と立ちはだかったのだ。

「残念だったな・・・アタイもお前の気の異質さは想定外だったが、お前も吹き飛ばされるとは思っていなかったろう?」

 わたしの気を取り込んだ彼女は確実に弱っていた。そんなことで油断した訳ではないものの、わたしはものの見事に吹っ飛ばされたのだ・・・

《レイ、今の彼女の気は魔気じゃないよ。この感じ・・・あれは王気だね。まさか、彼女は一度取り込んだ気を使いこなせるのかな?さっき、そんなことを言っていたから間違いないよ。》

 王気って確か神レベルの気って聞いたことがあったような・・・

 ティナが喰らった神撃二は、不老不死の彼女でも自然回復は出来ずに瀕死の重傷になった。

 神撃二は神のスキル・・・

 神レベルのスキルや気は、わたしたち下界の者のスキルや気を凌駕するというのか?・・・それも圧倒的に・・・

 そういや以前、カイとファイの合身で新王気なるものが誕生していたっけ。あの時の気は凄まじかった。

 そんなことを考えていたら、彼女は魔槍を取り出しムチのように形態を変えてきた。

《レイ、ワレたちもかましてやろうよ!》

 一瞬、え?アイちゃん、何を?と考えたが、今までの展開を考えたら、これしかないなって思えてきた。

「プロテクション!」

 わたしはスキル発動をアイちゃんに丸投げし、自らはスキル名をカッコよく叫ぶことと、スキルのイメージのみ念じた。なんて楽なんだろう・・・

 わたしは大量の魔糸を放出し、竜魔気を付与させたバリア状のもので全身をガードする。

「な、何だと・・・プロテクションは、魔糸と魔気を同時操作する高等スキル。オーラマスターのアタイにしか出来ないハズなのに・・・見れば見せかけじゃないのは理解出来た。だがな、この王気をまとった魔槍メドゥーサの敵では無い。」

 そりゃそうだよな・・・

 さっき、竜魔トルネードが吹っ飛ばされたから、その気の質のレベルが違い過ぎるってことは百も承知だ。わたしの身体が耐え得る限界値まで気を引き上げても、このプロテクションも容易に破られてしまうだろう。

 だが秘策、我にアリなのだ・・・

 

 彼女は王気をまとったメドゥーサを用いて、容易に魔糸を薙ぎ払っていく。

 わたしが魔糸を彼女に絡めようものなら、王気で簡単に吹き飛ばされてしまうのだ。

 だが、そんなことは想定内。事前に念にてアイちゃんと新必殺技を打ち合わせしておいたのだ。

《レイ、王気の予測演算が完了したよ。次の段取り、いってみようか。》

 わたしは無言でうなずき、手刀で亜空間の入口を作り出す。手刀は空を切り、割れた空間の先の亜空間へと飛び込んだ。亜空間の入口はすぐに閉鎖され、彼女は驚きの表情を見せていた。

「何?何なのだ?空間が切り裂かれたが・・・」

 ティナとイリヤンを魔界に置き去りにしてきたのは一抹の不安材料ではあったが、生死を問うバトルではないので特に問題なかろう。


 亜空間の時間軸は魔界の時間軸と異なる。

 亜空間での五分という時間は、魔界では一瞬にしか過ぎない。

 わたしとアイちゃんは、新必殺技をイメージして集中していた。イメージの材料は神撃二・・・

 無限竜魔気を限界レベルまで圧縮し、神撃二の如く一点貫通型竜魔気弾を放つのだ。

 予測演算では、九十九パーセントの確率で彼女を貫通出来るとのこと・・・

 もっとも、傷を負わせるのが目的ではないので、目標は魔槍メドゥーサ。あの王気をまとった魔槍に一撃をお見舞いする。


 五分間、わたしは精神集中し気を一点集中させつつ圧縮していった。だが、魔界ではこの時間は一瞬の時間、故に何の違和感もなくわたしは颯爽と再び魔界へと登場する。

「どこへ行ったかと思えば、瞬間移動であったか。隠れても気を探れば居場所は解るハズ・・・だが、お前の気はこのエリアでは探知出来なかった。一体どこへ行っていたのだ?このまま勝利しても腑に落ちないことがあっては、何かしこりが残るからな。」

 こいつ、もうすでに勝ったつもりでいるとは・・・まぁ、油断してくれていたらラッキーだけどな。

「わたしは手刀で、亜空間の入口を作り出すことが出来る。どんなに気の達人でも、亜空間まで探知するとなるとそれなりの時間もかかるんだろ?」

「あぁ、そうだな。どんな理由で亜空間に行ったのかは知らんが、何か勝算があってのことであろう。アタイには何をしてもムダだよ。この王気をまとったからには、通常の魔気では全く歯が立たないからな。」

 彼女はドヤ顔で言い放ったが、そんなことはアイちゃんの予測演算で解っていることだ。

 さて、楽しかったバトルに終止符を打つぞ・・・

 わたしは、彼女に向かって突入する・・・ように見せかけた。実際は極端に接近すると、何をされるか解らない。王気は危険、危険過ぎるのだ。

 王気は防御特化型の気ではない。

勿論、攻撃面やスピード面なども付与すれば、明らかに魔気よりも破格なレベルアップが予測出来る。

「残念だったね。今のアタイには全ての行動が無意味だよ。」

 彼女は信じられないほどのスピードで、わたしの考えていたセーフティゾーンを超えて入ってきたのだった。

 そして、ムチ状に変形した魔槍メドゥーサでわたしの両手を縛りあげる。

「残念だったな・・・この状況で、お前に勝算があるとすれば膨大な気を一点集中型に収束して、アタイを撃ち抜くってことくらいしか思いつかなかった。だから、そうなる前にお前の両手を拘束させてもらったよ。」

「そうか、お見通しだったって訳だな。イヤ~残念残念・・・違った意味で残念。」

「何だ?その含みのある言い方は・・・恐らく、お前が亜空間に行ったのは、一点収束型攻撃の為の準備だろう?負け惜しみを言うな。でも、アタイの予想を超えることがいくつかあって、正直ビックリしたよ。オーラマスターに気の力でここまで迫ってきたのはお前が初めてだ。十分に自慢して良いレベルだぞ。」

「フフフッ・・・残念だが、お前の予想をわたしは遥かに超える。さっきの残念って言ったのは、そういうことだ。」

「何を今更・・・この拘束された状況で、お前は一体何が出来るというのだ?力ずくで拘束を引きちぎろうとしてもムダだよ。この魔槍メドゥーサは決して破壊不能。アタイの母上が作りし、最高傑作なのだから。」

「破壊不能なのは知ってるよ。八百年前、まだ魔剣だった時のメドゥーサの物凄さを体感しているからな。」

「もういいだろ、ハッタリをかますのは。アタイも十分バトルを堪能できたし、異質な気に関しても学びになった。だが、アタイよりも劣るお前たちと旅をすることはないかな・・・」

「ありがとう・・・その言葉を聞けて、嬉しく思うよ。でも、考えを改めてもらうよ。気が王気にまで至ってなくても、勝てるってことでね。」


 わたしとアイちゃんは、ここで一気に新スキル一閃で勝負をかける。

「一閃!」

 両手を拘束されてはいたが、わたしたちには秘策があったのだ。

 それはカイが復活した時に、赤の一撃、青の二撃、ロゼオンがより身体に負担がかからないようにしたことによる偶然の産物・・・

 そう、わたしが人化するにあたって、瞳は赤と青に編成したことがここでたまたま活かされたのだ。

 わたしたちが気を圧縮したスキルを発動するのは、恐らく彼女の中で想定内だろう。一閃を成功させる為には、攻撃用の赤眼をここで使用する。流石に瞳から圧縮された膨大な気が放出されるとは予想だにしまい。


 膨大かつ圧縮された一筋の気光は、赤眼から放出される・・・

 瞳からの攻撃など想定外だった彼女は、交わすこともままならない。魔槍メドゥーサを盾替わりにし、必死にこらえるのみであった。

「グッ!まさか、瞳から気を放出するとは・・・魔王様ならいざ知らず、一介の魔人がこのような高等技術をもっているとは・・・」


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