第四十五話 マシマシ①
三つの混合スキルって・・・
二つなら理解出来るしカイだけでなく、ヴァンやゲンも使用可能であった。
しかし、三つとなると話は別だ・・・
例えば、雷を弾丸のように打ち出す雷弾は、雷に波動エネルギーを付与している。これに気を混合するとなると、三つのバランスが保てずに自爆してしまうことも想定内だ・・・
但し、成功すれば効果はマシマシになるので、かなりの威力を発揮するだろう。
おっと、また変なクセで色々と考え込んでしまった。今は目の前のバトルを静観中だったのだ・・・
謎の精神生命体と謎の魔族は話を続ける・・・
「わが名は、キャンディ・・・名門、キャン一族のオーラマスタ―と知っての狼藉か?」
「ボクの名前は03・・・見ての通りの精神生命体だ。ボクらは憑依する肉体がないと活動が出来ないからね・・・残念ながら、そこに転がっている肉体じゃ、思ったことが出来なかったんだ。だから、膨大な気を感じた君の身体をもらうことにした。ボクらの目的達成の為に力を貸してくれよ。」
「は?何でアタイが、お前なんかの頼みを聞かなきゃならないのさ。随分と自分勝手な解釈だな。」
えっ・・・?
チョッと待って、アタイって・・・
この魔族の名前がキャンディって・・・キャン一族?声に聞き覚えがあったから、まさかとは思ったが・・・キャンディとキャンティって、似すぎだろ。しかも、オーラマスター?キャンティはソードマスタ―であのスキルレベルだから、彼女も相当なスキルレベルに違いない。
遠くからではあったが、顔の認識は可能であった。間違いない・・・キャンティと同じ顔と体格だ!異なるのは髪色くらいか?
八百年前にキャン一族の八人とは面識があったが、皆同じ顔と体型、同じ声だった。今、目の前にいる彼女も同様で、キレイな緑髪でワンポイントの銀髪。透き通るような髪色は、観ていてウットリさせるものがある。
そして、魔糸は優秀な魔気使いでなければ、使用不可能だけにオーラマスターと言い切るのも合点がいく。しかも、魔糸に魔気を付与するという高等スキルも垣間見たしな・・・
彼女は、魔糸を広範囲で張り巡らせている。魔糸には魔気が付与されている。アイちゃんの予測演算によると、これはバリアのようなものだという。魔糸って、ここまでのことが出来るものなのか・・・
対する精神生命体の方の名前は03?
03ってことは、01とか02もいるってことなのか?何か面倒そうなヤツがそんなに複数いるのか・・・一体ずつ、何とかしていったほうが良いかもしれないな。
《レイ、あれは危険、危険過ぎるよ・・・ワレの予測演算だと、恐らくあれは邪悪神で間違いない。しかも、邪悪神の中でも上位の存在の邪神の数値が計測出来たよ。やばいよやばいよ・・・》
いつも余裕をもった反応をするアイちゃんが、初めて見せる余裕のない反応・・・
03は見た目、得体が知れないヤツだ。実態がうっすらとしか観えない為なのだろう。バリアを張り巡らせたキャンディの判断は、ヤツがどういった存在なのかを知るのに非常に有効だ。
アイちゃん、邪悪神と邪神について詳しく教えてくれ。今は直接関与していないが、こちらに火の粉がかかる可能性もあるからな。神って肩書きが付く以上は只者じゃないんだろ?その為にも情報は皆で共有しておきたい。
《うん、わかった・・・邪悪神はね、神の中に眠る闇が心をもった存在。神っていっても、クリーンな心だけじゃないんだよ。一ミリも闇の部分がない神なんていないって言っても過言じゃない。その闇のリミッターが外れて、精神生命体となった。神っていっても、全てを制御出来るものじゃないんだよね。》
03はキャンディに向かって突進していく。
彼女は魔気を付与した魔糸にての防御を図ったが、実態がない03は魔糸をスルーしていく。
「もらったよ。君の身体・・・」
そう言った03は、キャンディの肉体へ接触を開始したかに見えたが、03はキャンディの肉体をスルーしたのだった。接触したと思った彼女の肉体は、彼女の魔気が作り出した鏡に投影されたもの。故に03の想定外の結果となったのだった。
そして、鏡の対称に位置する場所には腕組みをしたキャンディの姿があった。
「へぇ~、君ナカナカやるね。ボクもあんな風にいなされるなんて思ってもみなかったよ。でも、同じ手はくわないよ。」
再び、キャンディに向かっていく03・・・
「アタイも同じ手は使わないし、お前の思う通りにはならないよ。」
キャンディは高速移動で03とは接しないように間合いを常にキープしていた。
「ナカナカのスピードだね。じゃあ、ボクも手を変えていこう。」
03が消えた・・・
まがまがしい気を放っていた03は、姿も気も消失したのだ。
高速移動をしていたキャンディは、周囲に気を張り巡らせる。
アイちゃんによると大気の揺れを感じるようにしているとの見解だった。カイが昔、天空の力で行っていたことをどうやら気の力だけで行おうとしているらしい。
物が動けば、ほんのわずかでも大気は揺れる。例えそれがガス状の精神生命体といえど、それは変わらない。
緊迫した空気がプレッシャーとなっていく。この様子を遠くから静観していたわたしたちも生唾を飲まざるをえなかった。
《まずいね・・・キャンディは時間と共にかなりの気を消耗してきているよ。レイみたいに気は無限じゃないんだから、短期決戦じゃないと・・・》
そっか・・・天空の力と異なり、気だけで大気を察知するのは、かなりの気を消耗してしまうのか。
助太刀するか?
わたしなら、彼女に魔糸で気を与えることが可能だからな。無限竜魔気のレベルを落として、魔気を作成し供給すれば問題ない。
《予測演算完了。レイ、03ってヤツは亜空間にある邪悪神界にいるよ。ヤツは瞬間的にこの魔界と邪悪神界を行き来出来るみたい。だから、いきなりまた登場するに違いない。ヤツには解るんじゃないのかな?彼女の気がどんどん消耗しているのが。》
わたしは手刀で亜空間の入口を作り出し、スティール星と亜空間を行き来出来るが、そこは腐っても神・・・そんなことをしなくても空間転移が出来るんだな・・・
そんな状況であれば、助太刀はしないほうが賢明だな。仮に無限竜魔気をもったわたしの存在をヤツが知ったら、矛先を変えて我身が狙われるかもしれないし・・・
まぁ、最悪ヤツが再び現れたとしても、大気の揺れは察知出来るから、彼女は回避可能だしな。




