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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第四十四話 イリヤン②

「イリヤン、解ったよ。お前も同行したらよい。そして、何かあった時には力を貸してくれよな。」

「ハイ、勿論。ジブンに出来る事は限られているかもしれませんが、出来る事は精一杯させてもらいます。」

 イリヤンはキリッと引き締まった表情で言ったが、先程垣間見たケラケラと笑っていた表情とは雲泥の差だ。何とも表情にメリハリのあるヤツだ。

「わぁ~イリヤンが仲間に加わったら、旅も賑やかになるね。イリヤン、飛行は出来るの?あたしは一応出来るケド、レイのスピードには程遠いんだ。」

「えぇ、一応飛行スピードに関しては人並みにはあるかと思います。ジブン、社畜だった時にスピード感ある仕事を常に求められていましたので。」

「そうか、それは助かるな。ティナのスピードがイマイチだから抱えてここまで来たのだが、イリヤンも抱えるとなるとわたしの負荷が大きくなる。もしやの時に瞬時に対応出来なくなるのを危惧していたのだ。」

「待て待て、あたいはまだ許可していないよ。イリヤ、いやイリヤン、お前の考えは理解出来る。未知なる魔剣を間近で観たり接してみたいという想いは、あたいの若かれし時と同じだしな・・・でも、お前こいつらとの旅は危険を伴うものというのを理解しているのか?明日の命は保証出来かねるのだぞ。」

「ハイ、師匠。それは想定内です。でも、ジブンは悔いを残したくないんです。だって、こんなに素晴らしい逸品の魔剣が目の前にあるんですよ。それも人化して、人と変わらずの行動が出来るなんて感動ものじゃないですか。レイを心底理解出来るなんて思いません。ですが、ジブンのこの高ぶる気持ちは抑えられないんです。旅から戻ったら、師匠の弟子として社畜精神で頑張りますので許可をお願いします。」

 イリヤンの眼差しは真剣そのものだった。いつの間にかイリヤンは、キャンティの手を両手でギュッと握っていた。男慣れしていないキャンティは、頬を赤らめ少々照れている様子であった。

まぁ、あのカイでさえキャンティには指一本触れずに剣の特訓を行っていたからな・・・

女性として照れるのは理解が出来る。イリヤンもまじまじと観たら、イケメンだしスラッとしたスタイルで高身長・・・まぁ、カイには負けるがな。

 わたしは両者を比較しながら、クスッと笑う。それに気付いたキャンティは、自らが笑われたと勘違いをしてその場を取り繕うとしたが、それも可愛らしいものであった。まぁ、見た目は十六歳くらいの可愛らしい少女だしな・・・

「わ、解った。お前の想いは理解した。行って来い。その代り、戻ってきたらビシバシ指導してやるからな・・・それよりも早くこの手を離してはもらえんか?何やら胸の高まりが収まらん。」

 イリヤンはそう言われてから我に返り、慌てて両手を離し、キャンティにペコペコと何度も頭を下げ謝罪した。何とも二人ともカワイイ限りだ。


 わたしはここへ来る道中、何者かにティナが射貫かれた旨をキャンティとイリヤンに話した。

緊急であった為、その相手やどこからという場所は不明とも伝えたが、アイちゃんの予測演算による解析結果スキルの種類が【神撃二】ということは伏せておいた。これを伝えたら、話がややこしくなるし、わたしたちの会話を犯人がどこかで聞かれているかもしれないからだ。

「話は解った。しかしティナ、お前よくケガが全回復出来たな。」

「そ、それはこいつが不老不死だからじゃないのか?意識は失っていたが、内外部ともに完全回復しているから、問題あるまい。」

 わたしは取って付けたようなウソを言ってしまったが、今は真実を隠ぺいして話を逸らさねばならない。彼女を何としても守らねばならんからな・・・

「まぁ、トラブルがあったにしても、無事であれば問題あるまい。それよりも・・・お前たちはこれからどうするんだ?どこへ向かおうというんだ?目的地が決まっていなければ、望んだ成果は得られないぞ。」

 確かにキャンティの言う通りだ・・・

 カイの所在が不明な現状、考えられる選択肢は二つだ。

 

 一つは、強力なスキル習得の為にバトル優先での行動をとる・・・

 ブレスのカラッポ状態はなくなったが、依然としてスキルとしては何も習得していない。ブレスには五個のスキルの石がセット可能なので、残り四個を集めるか?

 

 もう一つは、強力な仲間を引き入れる・・・

 ティナは攻撃手として弱い。相手に攻められれば、カウンタースキルのディールがあるので盾役としては心強いが・・・

 弱めにして発動した無限竜魔気は、ディールでもどきとして習得したので遣おうと思えば彼女は使えるだろう。

 しかし、それは単発的な時のみである。わたしの様に無限竜魔気が常時対流していて、いつでも発動が可能という訳ではない。正に身を守る時にのみの保険的なものだ。

 新たな仲間、イリヤンは謎の存在。人物的には真面目で明るく笑う気さくなヤツだ。全般的には良い印象を与えてくれる存在・・・

 だが、謎の人種、スキル不明、加護不明・・・それが意図的なものなのか、誰かにもたらされているのかは現状判断が出来ない。アイちゃん的には特殊結界という認識だ。


 わたしは考えた・・・

 現状、これからのこと、周辺を取り巻く環境を・・・

《レイ、それでいいと思うよ。それでいこう。》

 わたしの念を読み取って、アイちゃんは同意してくれた。そう、わたしたちの進むべき道は決まったのだ。

「皆、わたしたちは新たなる仲間を探して旅を進めることにする。理由としては、現状のわたしたちは若輩チームだからだ。わたしは気に関しては無限だが、スキルや体の耐久性が追いついていない。ティナは攻撃を受けた際には、カウンターのディールで対応が出来るが、自ら攻め込むタイプではない。また、単独での飛行スピードや攻撃力は高くはない。新参者のイリヤンは、まぁ言わなくても皆が解っている通りだ。全般的には主力となるべき存在が皆無なのだ。キャンティが旅に同行してくれれば心強いのだが・・・」

 わたしは、可能性的にはかなりの低確率であったが、さりげなくキャンティの参戦を促してみた・・・乗ってくれればラッキー、拒否られてもヨシのダメ元精神での発信である。

「悪いが、あたいは行かれないよ。武具なんかの注文が山ほどあるんだ。お客様をないがしろには出来ないからな。」

 オイオイ、年がら年中フラフラと人間界に遊びに行っているヤツの発言か?比率で言ったら、仕事二割、遊び八割が妥当な評価だろう。長い年月を間近で観てきたわたしが言うのだ、間違いない。そうだ、チョッとからかってみるか・・・

 わたしは一度なった形態に再度なることが可能だ。そして、無限竜魔気を使用して思った通りの生命体にも変化が出来る。

 

 さてと・・・

 わたしの中に巡る無限竜魔気を使って、細胞の組織変換を行うのだ。おっと、その前にこれはサプライズでなければ意味がない。

 皆の意識がわたしに向いていない瞬間を見計らって・・・っと、気を圧縮して高めていき一気に開放しつつ目の前を手刀で切り裂いた。わたしは亜空間の入り口を作り出すことが可能・・・

 そして、その入り口が出来た瞬間にそこへ突入した。この亜空間では魔界や人間界とは時間の流れが異なる。ここでは長時間経過しても魔界や人間界では、ほんの一瞬の時間しか経過しないのだ。

 よし、準備完了だ・・・さて、どうするか?ここはアイちゃんに相談だな。

 アイちゃん、キャンティの理想のタイプにわたしを作り変える。まぁ、見た目だけだがな。予測演算を頼むよ。理想のタイプをイメージしてくれ。

《は~い・・・っていうか、マスターは単純だからね。解りやすいよ。理想のタイプは前世のカイだよ、カイ。あの子以上の存在は認めないって感じがひしひしと伝わってくる。》

 そっか、やっぱそうだよな・・・

 カイがこの世を去ってから、わたしは苦悩で毎日が苦痛であった。同様に、キャンティも苦しんでいたのを目の前で見てきたのだ。あの陽キャの塊みたいなキャンティが、しばらくは陰キャそのものだったのだ。それだけ、彼を想う気持ちが強かったのであろう。

 遊び八割魔人が、遊びにも行かずに只単に天を見上げるだけの日々・・・そして、時折見せる切ない乙女の表情。カイの魅力を考えれば当然といえば当然か・・・

 わたしは亜空間内でレイの身体から前世のカイの身体へと細胞変革を行った。ゼロからイメージして新たなる身体を作るのとは異なり、一度なった形態へ再度なることはアイちゃんの中の履歴に残っているので容易い。

 ふむ・・・やっぱ、ほれぼれするような容姿だな。気も疑似だが極力、カイに近いものを発していこう。服はブレスの中に男女物をいくつか収納してあるので、それを適当に見繕ってっと・・・


 準備が完了したわたしは、再度手刀で亜空間を切り割き魔界のキャンティの工房へと何食わぬ顔で戻った。

「な、なんでお前が・・・」

「君はだぁれ?」

「あれ?レイがいなくなったと今話していたところに謎の人物登場とは・・・ここではジブン、驚きのオンパレードです。」

 三人は各々のリアクションを取ったが、今回のサプライズの目的はキャンティだ・・・

 

 キャンティに考える猶予を与えず、おどおどしているこのタイミングで、わたしは彼女に急接近する。

 わたしは彼女をギュッと抱きしめ、耳元でそっと囁く・・・

「キャンティ・・・会いたかった。」

 彼女がビクンと反応したのを確認し、意識が通常でないことを悟ることが出来た。

 耳たぶを甘噛みし、両手を彼女の背中と腰の辺りにまわした。アイちゃんの演算では彼女の体温、心 拍数、血圧は上昇しているということでサプライズは成功だ。

「あ、ん・・・」

 彼女は微小な声を発し、いつもとは異なる反応を示す。

 ここで止めても良かったのだが、今まで上から言われることが多かったわたしとしてはSっ気がムラムラと沸き上がり、引き続き彼女を攻め上げる。

 ティナやイリヤンは、頬を赤らめながらゴクリと生唾を飲んで生々しい絡みをチラ見していた。

 トロンとした彼女の瞳を優しい瞳で見つめ返し、そっと唇を重ねる。彼女は身を委ねるほどの状態、抵抗感も無かった。わたしは調子に乗って、更に熱い口づけを交わし、舌を使ったプレイを試みる・・・

 彼女の方も積年の想いがあったのであろう。わたしに同調し、舌が躍動する。

アイちゃんの演算だと彼女は臨界点を突破しそうということだったので、ここでストップすることにした。

 あんなことやこんなことも出来たのだが、彼女をもてあそぶようなことはこれ以上、出来ないと理性が働いたのである。

 流石は、わたし・・・と自画自賛しかけた。

 しかし、アイちゃんから突っ込まれそうだったので、それを念じなかったのは、ここだけの話である・・・


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