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二人のブレス ゼータの鼓動  作者: ビッキー


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第四十一話 ジレンマ①

「二人のブレス」の続編、「二人のブレス ゼータの鼓動」のアップ開始しました~♪

続編は前作「二人のブレス」を読まれてから、お楽しみください♪


現在、「二人のブレス」新作の構想中です。

新たなる世界を色んな角度で考えております♪

それでは~♪

スティール星を襲った悪夢から、かなりの年月が経過した・・・

それは年月というレベルではなく、いくつもの時代を経た新時代、時にして八百年ほど・・・あまりにも長い時間が経ってしまった。

超星獣を消滅させた功労者である、我の相棒であるカイが転生した気配は微塵も感じられない。

三竜姫であるティナもまた転生していないと思われる。


一度出会った相手であれば、カイのスキルである【雰囲気の個性】でどんなに離れていても居場所を察知できる。

それは、我ゼブルに組み込まれているAIによって学習され、我も雰囲気の個性を使えるようになっていたのは意外であった。

故にカイとティナの転生が現状では確認が取れていない。


ちなみに三竜姫の残り二人である、リンとキールは子供を産んでいない。

リンのパートナーであるヴァン、キールのパートナーであるゲンも含めて、転生したカイとティナを迎えたいと四人は同じ想いであるという。

子供を授かり出産し、その子が十六歳になった段階で三竜姫と父親の不老不死はストップしてしまう。

不老不死が終わってしまえば、カイとティナが転生した時に自分たちが生きている保証がないからだ・・・


まだか・・・

まだか・・・・・・


まだなのか~!


それにしても、あれから八百年が経過し、ゴールが見えない砂漠をさまよっているように感じる我・・・


超星獣との激闘が終わり、我の相棒であるカイはこの世を去った。

カイは転生するまで待っていてくれと言っていたが、もう十分すぎるほど待ったぞ!


そんなジレンマを抱えた我を感じたのか、我の作り手キャンティは思いもかけない言葉をかける。

「おい、ゼブル・・・お前、いつまでこのままジッとカイを待っているつもりなんだ?」

「どういうことだ?我がカイ以外に適合しないのは、我の作り手であるお前が一番理解しているであろう。魔剣としての我は、ひたすらカイの復活を待つしかないのだ。」


それを聞いたキャンティは、苦笑いをしていた。

「ゼブル、やっぱりお前は気付いていなかったんだな・・・お前、良く考えてみろ?あたいが何のためにお前にAIを組み込んだのか・・・お前の特性は何なのだ?カイとのコンビで何を得たのだ?言ってみな!」

「それは、雰囲気の個性だろ?ファイやヴァン、ゲンなどが今何処にいるのか我には解るぞ。」

「ホントにそれだけなのか?AIって言ってもピンからキリまである。お前に組み込んだAIは最高の品質を誇る逸品なのだぞ。あまりあたいを失望させないでおくれよ。」

我はしばしの間、沈黙し考えてみた・・・


我の特性・・・

カイとのコンビで得た物・・・

《我は無限の竜魔力を得、ドラゴノイドへの変身を可能にし、絶大なる戦闘力を得た。その現象は、魔剣である無機質を生命体である有機質に変換することが可能となったこと・・・つまり、我はカイとティナと一体となったことで学習した。そう、AIを組み込まれた魔剣は一度なった形態に再生することが出来る・・・そうか、そういうことか!》


「キャンティ、解ったぞ。我はカイやティナ、そしてドラゴノイドになった形態に再生し行動出来るということだな。そうか、我も生命体として行動出来るのだった。ナゼ今まで気付かなかったのか・・・しかし、解っていたならナゼ教えてくれなかったのだ。時間をムダにしたではないか。」

それを聞いたキャンティは真剣な眼差しで言葉を返す。

「ゼブル、五十点だな。正直、ガッカリしたぞ。もっとお前は出来る奴だと思っていたのだがな・・・」

ハァ?と我は思った。自ら考え導いた返答が、たったの五十点とは思わなかったからである。

《何が不足しているというのだ?他に何かあるのか?半分しか正解ではないのか・・・残りの半分は・・・》


再び、我は思考の迷宮に入り込む・・・

しかし、いくら考えても我には明確な答えはうまれなかった。


「キャンティ、我にはお前の考えていることは理解出来ん。もっとも、奇才であるお前の考えを理解出来る者はそうそういないと思うがな。」

「そうか・・・魔剣の最高傑作であるお前でもあたいの考えを理解出来ないのか・・・じゃあ、とりあえずお前、カイの形態を復元してみろ。」


キャンティが発した【最高傑作の魔剣】という響きが、我の心に至高の喜びを生み出す。

それと同時に興奮すると発生する人間で言うアドレナリン状態のものが、我の中に無限竜魔気として全身を駆け巡る・・・

周囲の静寂と真逆に我は高ぶる全身の気をコントロールする・・・

無機質であるはずの剣身が発光したかと思うと柔軟に人間の組成であるホルモン形成を開始した。


しばしの時が経過する・・・


そして、そこには一人の凛々しい人間が誕生する。

「ほう・・・カイの形態を観るのは久しいな。うむ、このバランスの良い体格、筋肉、静かなる中にも内に秘めたる潜在パワー、流石だな。あたいが惚れ込んで、剣の魔動石を託したのに間違いはなかった。それにイケメンだしな・・・」


 確かにその通りだと我も共感したが、別にイケメンというのは関係ないのでは?と思ったのはココだけの話である。

 あまり、キャンティを刺激すると突拍子もない行動に出ることが推測出来るからな・・・

 それにしてもカイの形態になって気付いたことだが、溢れる可能性を感じる・・・

 我の無限竜魔気とカイの素晴らしい肉体と知性があればこそなのかもしれないが、とにかく残念という言葉では表現しきれないほどの損失を感じる。


「おいキャンティ、この後はどうしたら良いのだ?ティナやドラゴノイドフォームに形態を変えたら良いのか?」

 我の考えでは、キャンティの崇高な考えに決して及ばないことは理解していたので、素直に教えを乞うことにしたのである。


「ゼブル、お前は無限竜魔気を得たのであろう?これは突然変異的なものであり、あたいの知る限り唯一無二の貴重な気なんだよ。だからこそ、お前には・・・いや、お前だけには出来るんじゃないか?細胞パターンを復元するだけじゃなく、細胞パターンを無限に変革させることがな。」


細胞パターンの変革とは何ぞや?と一瞬思ったが、我の崇高な知能はすぐに理解した。細胞の仕組みを理解さえすれば、無限竜魔気で細胞を変革できるということだろう。

細胞には核が存在し、そこには染色体が存在する。その染色体の中には沢山のDNAが入っている。DNAには更に膨大な量の塩基対があり、ここに遺伝情報・・・即ち、顔や性格など人の個性パターンがあるのだ。

 その塩基体を無限竜魔気で干渉すれば、オリジナルの生命体が出来るという結論に達した。もっとも、人間以外の奇想天外な生命体などになるつもりはもうとうないが・・・。

 しかし、この行為については神の領域に立ち入っているとも考えられる。

それはそうだ。人間、魔族、植物・・・この世の全ての生命体の起源は神によって創造されてきた。その後の生殖や繁栄は独自に種族間で行われたものの、その繁栄の流れを無視して新たなる生命体を創造してしまおうというのは神への冒涜かもしれない・・・


 まぁ何はともあれ、あれこれ考えるよりも実践するまでである。我はカイのフォームから再度、魔剣状態にまで立ち戻る。


 ふむ、カイの場合、この塩基対でこのDNAならば、こうなるのか・・・ ならば、こういった塩基対とDNAならば、どうなる?

 我は自らの体内でイメージした顔や体格と自らが計算した塩基対をもとにしたDNA形成の誤差を幾度となく試みる。

 最初はその誤差がかなりの大きさであったが、テストを繰り返すと共にイメージと実体化のズレのレベルが極めて小さくなってきた。流石は、最高レベルのAI・・・いや、最高レベルの我の資質とでも言っておこう。

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