霊能探偵 謎の腹話術人形
この物語は、霊能探偵・伊田裕美が不可解な怪奇事件に挑むシリーズの一つです。今回は、腹話術人形に秘められた恐ろしい謎に迫ります。
人形というものは、古くから人の思念を宿しやすい存在だと言われています。特に大切にされ、長年使われた人形ほど、その持ち主の感情を吸収し、時には“何か”が宿ることさえあると……。
本作では、腹話術師とその人形をめぐる怪異を描き、現実と霊的な世界の狭間で繰り広げられる戦いをお届けします。恐怖とスリル、そして人間の業が交錯する物語を、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。
【登場人物】
伊田裕美:霊能探偵、旅行ルポライター、ショートカットの黒髪を持ち、知的な印象を与える黒のスーツに身を包んでいた。端正な顔立ちと鋭い眼差しが特徴で、どこか探偵のような雰囲気を漂わせている。全身には梵字の刺青が刻まれており、顔・胸・秘密の花園を除いてほぼ隙間がない。
伝兵衛:旅行雑誌編集長。
村田蔵六:陰陽師で湯川寺の住職、幽霊探偵の相談相手。
高橋霊光:自称怪奇事件解決人。裕美の弟子といったり、裏切ったりする。
第一章:売れない腹話術師
瀧波理恵は、ある事故が原因で下半身不随となった。日々の生活は単調で、何か新しい刺激を求めていた。そんなある日、公園を散歩していた父親が、一枚のリーフレットを拾ってきた。それは「館山談市の腹話術ショー」の案内だった。
「腹話術……?」
理恵はなぜかその言葉に強く引かれた。幼いころに見た記憶はなかったが、どこか心の奥底に眠っていた懐かしさのようなものを感じた。どうしても見てみたくなり、父親に頼み込んで会場まで連れて行ってもらうことにした。
小さな劇場に入ると、客席はまばらだった。観客は十人程度。人気のない興行なのだろう。ステージの中央には、一人の男と人形が座っていた。男は館山談市という名の腹話術師。そして、その膝の上に座る人形は「玉介ちゃん」と呼ばれていた。
談市は二枚目で、涼しげな顔をしていた。落ち着いた声色で話す彼に、理恵は一瞬で魅了された。だが、それ以上に理恵を引き付けたのは、人形の存在だった。
玉介ちゃんは、ただの人形のはずなのに、生きているかのように見えた。
その動き、表情、目の輝き——それらすべてが異様なほど自然で、理恵は目を離すことができなかった。ショーが終わると、理恵は心を奪われたようになり、貯金をはたいて談市のチケットを買い漁るようになった。そして、それを知人に配り、できるだけ多くの人に見てもらおうとした。
おかげで、回を重ねるごとに談市の公演は少しずつ観客が増えていった。
そんなある日、理恵はとうとう意を決し、談市の楽屋を訪ねた。
「お嬢さん、お待ちしていましたよ」
楽屋に入ると、談市は微笑みながら言った。
「えっ、どうして?」
「お嬢さんがいつかここに来ると思っていました」
談市は理恵を一瞥すると、膝の上に座る玉介ちゃんが、突然動き出した。
「うそよ! うそ!」
人形が勝手に喋った。
「お嬢さんの魂をいただくよ」
玉介ちゃんの声が響いた瞬間、理恵は全身の力を失った。
目の前が真っ暗になる。
口から何かが抜けるような感覚がした。
そして、意識が途絶えた——。
翌日、劇場の楽屋前で、理恵は車椅子に座ったまま息絶えていた。
警察の捜査が始まった。最も疑わしいのは当然、館山談市だった。しかし、彼には犯行を示す証拠が一切なかった。検視の結果、理恵の死因は「心臓発作」とされ、事件はそこで片付けられた。
だが、何かがおかしい。
この事件の裏には、ただならぬものが潜んでいる。
そして、その異様な腹話術人形・玉介ちゃんがすべての鍵を握っているのだった——。
第二章:突然の疾走
館山談市の人気は急上昇していた。かつて閑古鳥が鳴いていた小劇場も、今では多くの観客で埋まり、彼の腹話術を一目見ようと押し寄せていた。特に女性たちの間で彼の魅力は絶大で、公演が終わると、楽屋の前には多くの女性たちが詰めかけた。
その列の最後尾に、一人の内気な娘が立っていた。
太田兼子——彼女は人混みが苦手で、普段はこういった場所に足を運ぶことはなかった。しかし、どうしても談市に会いたかった。劇場で初めて彼の公演を観たとき、心の奥底から湧き上がるような不思議な感情があった。まるで、自分が彼に導かれてきたかのようだった。
やがて順番が来て、彼女は緊張しながら談市と握手を交わした。
「応援しています……」
それだけ言うのが精一杯だった。
談市は優雅な微笑みを浮かべ、優しく「ありがとう」と言った。
それだけで、兼子の心は幸福感で満たされた。彼女は頬を赤らめながら楽屋を後にし、帰路についた。
しかし、何かがおかしい。
帰り道、ふとした瞬間に強烈な視線を感じた。まるで何かにじっと見つめられているような感覚。
「……気のせい?」
不安を振り払おうと、彼女は足を速めた。
だが、背後で奇妙な音がした。
ギィ……ギィ……。
まるで何かがゆっくりと動いているような音。
恐る恐る振り返ると、そこに——
壁の上に、玉介ちゃんがいた。
人形はまるで笑っているように見えた。
「……え?」
次の瞬間——
「お前の魂が欲しい!」
高笑いとともに、玉介ちゃんが飛びかかってきた。
兼子は悲鳴を上げる間もなく、顔にしがみつかれた。
冷たい手が額に触れた瞬間——
彼女の口から、魂が抜けていった。
バタンッ!
大きな音を立て、兼子の身体は地面に崩れ落ちた。
静寂が戻る。
そして、暗闇の中で、人形の瞳が怪しく輝いた——。
第三章:高橋霊光の挑戦
警察がこの怪事件の解決を依頼したのは、一人の男だった。
高橋霊光——自称「怪奇事件解決人」。
「霊能探偵」を名乗る伊田裕美とは違い、霊光のスタンスは実に軽薄だった。彼は正義感というよりも、自らの名を売ることに躍起になっている男であり、実際の能力も決して高いとは言えない。だが、時折見せる勘の鋭さと行動力だけは買うべきものがあった。
警察の依頼を受けた霊光は、捜査会議に顔を出すなり、呆れたように鼻を鳴らした。
「警察がオカルトに頼るとはねえ……世も末ですよ。まあ、俺の手にかかれば一発解決ですけどね!」
得意げに言う彼に、刑事たちは渋い顔をした。実際のところ、警察としてはオカルトじみた事件には手が出せない。だからこそ、裏の仕事をする霊光に頼るしかなかったのだ。
「金は払えないぞ」
警部が釘を刺す。
「ええ!? 俺も商売でやってるんですよ!」
「せめて調査費くらいは……」と霊光はぶつぶつ言いながら、それでも事件に首を突っ込むことを決めた。
事件の共通点を洗い出した結果、霊光はある人物に目をつけた。
「館山談市……この腹話術師、かなり怪しいな」
死者たちは皆、彼のショーを観た後に不可解な死を遂げている。しかも、その死には何かしらの“異変”があった。霊光は、ひとまず談市の楽屋を訪ねることにした。
劇場の裏口から、堂々と楽屋に入り込む霊光。見張りなどおらず、人気もない。
「こんなに堂々と忍び込めるってのも、逆に不気味だな……」
と呟きながら、楽屋を探る。舞台衣装や化粧品が並ぶ化粧台。そして、部屋の隅には一体の人形が座っていた。
玉介ちゃん。
その無機質な瞳が、まるで霊光を嘲笑うように見つめている。
「なんだよ……ただの人形じゃねえか」
霊光はため息をつきながら、その場に近づいた。
——その瞬間だった。
「お前の魂をいただくよ」
不意に、耳元でささやくような声が響いた。
「……え?」
次の瞬間、人形が異様な速度で飛びかかってきた。
「なっ……!?」
霊光は反射的に後ずさるが、手遅れだった。
人形の小さな手が額に触れた刹那、霊光の口から白い霧のようなものが漏れ出した。それは彼の生命の輝き——魂そのものだった。
「ぐ……あ……っ……」
抗う間もなく、霊光の身体は急速に力を失っていく。
やがて、膝から崩れ落ち、そのまま静かに横たわった。
死んだ——わけではない。
霊光の体は仮死状態に陥り、無造作に楽屋のロッカーへと押し込まれた。
闇の中で、玉介ちゃんの笑い声が響いた——。
第四章:腹話術人形の由来
東京都荒川区日暮里——ここには、霊能探偵・伊田裕美のもう一つの顔があった。
彼女は普段、旅行雑誌のライターとして働いている。
「裕美、今度の新潟の温泉ツアーの準備はできているか?」
編集長の伝兵衛が声をかける。裕美は手際よくコーヒーを淹れ、彼の前に差し出した。
「大丈夫ですよ。新潟は初めてだから、頑張りますよ」
そう言いながら、裕美はスマホを弄る。SNSでは、瀧波理恵の謎の死、そして第二の被害者・太田兼子、さらには第三の被害者の話題で持ち切りだった。
「新潟に行く前に調査をしなくては」
「変なことに首を突っ込むなよ」
「はい、仕事に影響が出ないようにします」
***
調査を進めるうちに、裕美は三人の被害者に共通するものを見つけた。それは、いずれも館山談市の腹話術ショーを見に行っていたこと。
会場に足を踏み入れると、異様な熱気に包まれていた。満員の観客たちが談市の登場を待ちわびている。その空間に足を踏み入れた瞬間——
裕美の肌に刻まれた梵字の刺青が疼いた。
彼女の身体には、顔・胸・秘密の花園を除き、びっしりと梵字の刺青が刻まれている。それは護符としての役割を果たし、彼女の身を守るだけでなく、危機に際しては発光する。
——何かがいる。
裕美はステージを見つめた。館山談市のそばに座る人形・玉介ちゃん。
「あの人形が鍵ね」
ショーが終わると、裕美は考えを整理するため、近くのディスカウントスーパー「ビッグA」に立ち寄った。半額の弁当を手に取ろうとしたそのとき——
「お前に生きていられると困るんだ」
店の前に、玉介ちゃんがいた。
その人形が、突然飛びかかってきた。
「なっ——!?」
裕美は即座に反応し、スーパーを飛び出した。だが、玉介ちゃんはどこまでも追いかけてくる。
細い路地へと逃げ込むも、その無機質な笑みはすぐ背後に迫っていた。
やがて行き場を失い、裕美は川へと身を投げた。
***
翌日、東京都港区麻布の湯川寺。
村田蔵六の前で、裕美は震える身体を落ち着かせようとしていた。
「裕美を危機に陥れるとは……すごい霊力じゃな」
住職であり陰陽師でもある村田蔵六は、目を瞑り、静かに呟いた。
「こんなことを言っても詮無いが……今回の相手は、得体の知れぬ大きな力、まるで霊そのもののような存在じゃ」
「……わかっています」
蔵六は裕美をじっと見つめ、しばし沈黙した。そして、意を決したように口を開く。
「裕美……お前の顔・胸・秘密の花園には梵字の刺青がない。今回ばかりは、胸と秘密の花園にも彫るべきかもしれん。霊彫師の惣兵衛を呼ぼう」
「いいえ、それはダメよ」
裕美は即座に拒否した。
「それでは、せめて胸だけでも」
「ダメよ! そんなことをしたら……あたし、人間じゃなくなってしまう!」
蔵六はため息をつき、少し考えた後、折衷案を出した。
「ならば、いつものように霊墨と霊筆で梵字を刻もう。それなら洗い流せる」
「……それならいいわ」
裕美は迷うことなく、上着を脱ぎ捨て、半裸になった。
やがて、両手で胸を覆いながら静かに言った。
「お願い、蔵六……」
蔵六は頷き、筆を手に取った——。
第五章:霊能探偵・伊田裕美 対 腹話術人形
夜の帳が静かに落ちる頃、伊田裕美は公園のベンチに腰掛け、スターバックスのラテを片手に待っていた。
劇場の観客が帰り、館山談市が一人になるのを見計らっていた。しかし、待つまでもなく、談市は自ら姿を現した。膝の上には、あの玉介人形が鎮座している。
「霊能探偵・伊田裕美……」
談市の声が夜闇に響く。
「数々の霊を苦しめてきたお前も、今日で終わりだ」
玉介人形の瞳がギラリと光る。
裕美は静かに立ち上がり、腰に差した“たむならの剣”を抜いた。
「それはどちらかしら?」
淡々とした声に、鋭い気迫が滲む。
「邪悪な霊と手を組み、人間を苦しめてきたあなたと、正義のために戦うあたし……どちらが勝つか、試してみましょう」
月の光を背に受け、裕美は剣を構えた。
戦いの幕が上がる。
次の瞬間、玉介人形の口から不気味な光が放たれた。その光が近くの花畑に降り注ぐと、花々は一瞬にして枯れ果て、黒く変色した。
裕美の目がわずかに見開かれる。
「……これは」
だが、驚きも束の間、玉介人形は宙に跳ね上がった。
「お前の魂を喰らうぞ!」
鋭い声とともに、人形の口が異様に開いた。まるで無限の闇を抱えたかのような深淵。その中から、無数の黒い手が伸びる。
裕美はすかさず後方に跳び退く。だが、黒い手の一本が彼女の腕を掠めた。
「っ……!」
瞬間、氷のような冷たさが走り、肌に触れた部分が黒ずむ。呪いだ。
「面倒ね……」
裕美は冷静に呟き、全身の梵字を発光させた。その光が呪いを吹き飛ばし、黒い痕跡が消える。
「ぬぅっ……!」
談市が舌打ちした。
玉介人形は再び跳躍し、鋭い爪のような手を振り下ろしてくる。裕美は剣を横に振り、手の一部を弾いた。だが、それはすぐに再生する。
「切っても再生するってわけ?」
「この人形は、ただの人形ではない。死者の魂を糧にして生き続ける存在……貴様の剣ごときで滅びるものか!」
談市が笑う。
「そうかしら?」
裕美は微笑むと、足元から静かに呪文を唱えた。
刹那、空気が震え、梵字が宙に浮かび上がる。
「封じよ、邪悪なるもの——」
玉介人形の動きが一瞬止まった。
「——今よ!」
裕美は瞬時に間合いを詰め、剣を振る。
一閃。
人形の首が、宙を舞った。
「ぐあぁぁぁっ……!」
談市が絶叫する。
人形の胴体が黒い煙を噴き出しながら崩れ落ちる。
「これで終わりよ」
裕美は剣を収め、静かに呟いた。
しかし。
玉介人形の首が、にたりと笑う。
「まだ……終わらんぞ……」
首だけになった人形が、地面に転がりながら不気味に呟く。
裕美は、静かにそれを見つめていた——。
第六章:真実
「よくも弟を殺したな! まだ、俺がいるぞ!」
館山談市の怒声が夜の闇に響いた。
彼の目は憤怒に燃え、涙が滲んでいた。幼い頃に亡くした弟・玉介。談市は弟の死を受け入れることができず、やがて彼そっくりの人形を作り、それに「玉介」と名付けて腹話術を始めた。
長年にわたり、人形に「弟の魂が宿っている」と信じ込んでいた。しかし、それは妄想ではなかった。談市の強すぎる執念が、現実をねじ曲げたのか——いや、実際に弟の霊が人形に宿ってしまったのだ。
それは呪いだった。
談市が亡くなった後も、人形には弟の霊が宿り続けた。そして、今や談市自身もまた霊となり、弟のそばにいる。二つの魂が絡み合い、恐るべき怨念となって現世に留まっていた。
「伊田裕美……貴様だけは許さない!」
談市の周囲の空気が歪む。玉介人形が宙を舞い、異様な笑い声を響かせる。
「ニィィ……!」
裕美は静かに剣を構えた。
「終わりにしましょう。あなたたちの怨念は、もう長く続きすぎた」
“たむならの剣”が光を帯びる。その輝きは、まるで月光が降り注ぐように優しく、それでいて容赦のない神聖な力を持っていた。
裕美は剣を一閃。
談市の身体が光に包まれる。
「ぐあああああっ!」
霊の身体が弾け、黒い炎となって燃え上がる。玉介人形もまた、ギシギシと音を立てながら激しく震え、やがて崩れるように塵となった。
静寂——。
公園には、何も残されていなかった。
裕美は剣を鞘に納め、長く息を吐く。
——すると。
「うぅ……」
近くの地面に、誰かが倒れていた。
「……高橋霊光?」
裕美は呆れたように眉を寄せた。
彼は地面に仰向けになり、ぼんやりと虚空を見つめている。
「このおじさん、一体何なの……」
裕美は仕方なく彼を介抱し、意識を確かめる。
「なんで俺、ここに……?」
霊光が困惑した表情で呟いた。
裕美は溜め息をつき、彼を無視して立ち上がる。
「まあ、どうでもいいわね。さっさと帰らないと」
「裕美さん、待ってください!」
霊光が慌てて立ち上がる。
しかし、裕美は足早に公園を後にする。
「早くしないと、ビッグAの半額弁当が売り切れちゃうのよ!」
夜の街に、彼女の軽快な足音が消えていった——。
第七章:エピローグ
翌朝、湯川寺の湯殿にて、伊田裕美は静かに湯に浸かっていた。
零墨と霊筆で刻まれた梵字が、湯の中で薄らぎ、ゆっくりと流れ落ちていく。肌の上から護符が消えていく感覚は、まるで長き戦いの終焉を告げる儀式のようだった。
裕美は胸に手を当てながら、小さく呟いた。
「ここまで刺青を入れたら……あたしはあたしでなくなっちゃうね」
護符としての梵字は、彼女を守る力を持つ。しかし、それが増えれば増えるほど、彼女の“人間”としての部分が削がれていく気がする。邪悪を断ち切るのがあたしの使命——。
「千万人にひとりいるかいないかの人間、か……」
彼女の言葉は、湯けむりの中に溶けて消えていった。
***
湯殿を出ると、縁側で村田蔵六が待っていた。目の前には湯気の立つ紅茶と、小さな皿に盛られたティラミスとショートケーキ。
「お風呂上がりには甘いものがいいじゃろう」
裕美は少し驚いた顔をしたが、すぐに微笑み、ティラミスのスプーンを手に取った。
「裕美がいてくれてよかったよ」
蔵六はしみじみとした声で言った。
「この世には、人間だけではどうにもならないことが多いからね。大した力はないが、生きている限り協力するよ」
裕美はスプーンを咥えたまま、にっと笑う。
「頼りにしてるよ、おじいちゃん」
湯川寺の庭には春の風が吹き、桜の花びらがひらひらと舞っていた。
(完)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回の物語では、腹話術人形「玉介」を中心に、死者の怨念が生み出す恐怖を描きました。人形というものが持つ神秘性や不気味さを存分に活かし、霊能探偵・伊田裕美がいかにしてこの怪異を打ち破るのかを綴りました。
また、物語の最後には、日常へ戻る裕美の姿を描き、霊的な戦いの後にも続いていく日常の大切さを表現しました。
読者の皆様が、この物語を楽しんでいただけたなら幸いです。今後も、霊能探偵・伊田裕美の活躍を続けていく予定ですので、ぜひお付き合いください。
それでは、また次の物語でお会いしましょう。




